ナイトホークスの紹介:1981年アメリカ映画。ニューヨーク市警の敏腕刑事と国際的テロリストとの闘い。刑事は『ロッキー』で大スターとなったシルベスター・スタローン。テロリストは母国オランダでポール・バーホーベン監督等の作品でキャリアを積んできたルトガー・ハウアー。『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』等のビリー・ディー・ウィリアムズ、テレビシリーズ『地上最強の美女バイオニック・ジェミー』等のリンゼイ・ワグナー等が共演。
監督:ブルース・マルムース 出演者:シルベスター・スタローン(ディーク・ダシルバ)、ルトガー・ハウアー(ウルフガー)、ビリー・ディー・ウィリアムズ(マシュー・フォックス)、リンゼイ・ワグナー(アイリーン)、パーシス・カンバッタ(シャッカ)、ナイジェル・ダヴェンポート(ピーター・ハートマン)その他
映画「ナイトホークス」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ナイトホークス」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ナイトホークスの予告編 動画
映画「ナイトホークス」解説
この解説記事には映画「ナイトホークス」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ナイトホークスのネタバレあらすじ:残酷なテロリスト
12月31日。ニューヨークでは冷静なダシルバと熱血漢のフォックスの二人組の刑事が強盗をおとり捜査で逮捕していた。一方ロンドンではウルフガーというテロリストが客でにぎわう商店に置いた爆弾を爆発させ、犯行声明を出す。
元日も二人の刑事は仕事を続ける。デザイナーをしている、ダシルバの別居した妻アイリーンは、異動を希望せずいつまでも危険な犯罪捜査に従事するダシルバが理解できなかった。一方、ウルフガーは新年パーティーに来ている彼を逮捕しに来た3人の刑事と、彼を売った裏切り者を、隠していた機関銃で殺して逃亡する。
ナイトホークスのネタバレあらすじ:特捜班
ダシルバとフォックスが捜査中に突然署に呼ばれる。国際警察の特捜班に参加せよという異動命令が出た。不満だが命令には逆らえない。ロンドンから来たインターポールのハートマン警部が特捜班の警官たちにオリエンテーションを行う。ためらいは死だと言う。そして特捜部のターゲットはウルフガーだった。
やりすぎのために組織のリーダーからもてあまされている彼はパリで仲間のシャッカと会い、顔を整形して、ハートマンの推定通りニューヨークヘ渡っていた。この大都市でテロを起こして新しい後援者を得るためである。
ナイトホークスのネタバレあらすじ:君なら殺せる
ウルフガーは早くも爆破事件を起こし、さらに大きな施設の爆破を予告する。ハートマンは警官たちにテロリストと戦うために彼らと同じように冷酷になれと教える。
だが、テロリストを殺せというハートマンの教えは犯人逮捕のために生きてきたダシルバには許しがたく、彼は特捜班を去ろうとするが、フォックスの忠告により特捜班にとどまる。ハートマンは、ベトナム戦争で52人射殺した君ならいざとなれば殺せるとダシルバに言う。
ナイトホークスのネタバレあらすじ:地下鉄での追跡
一人の客室乗務員の死体が見つかる。ウルフガーが遊んで利用した女に違いない。ダシルバとフォックスは夜の盛り場の捜査を始める。ダシルバはディスコで一人の男に目をつける。男もダシルバの視線に気づく。ダシルバが「ウルフガー」と叫び、逃げるウルフガーを二人の刑事が追う。
地下鉄工事現場から地下鉄ホーム、地下鉄車内へと追跡が続く。人質を取って移動するメッツガーをダシルバは撃つことができず、メッツガーにナイフで顔を斬られたフォックスを介抱しているうちにメッツガーに逃げられる。意外と重傷ではなかったフォックスはダシルバに病院で、撃つべきだったと言う。
ナイトホークスの結末:標的にされた刑事
遅れてニューヨークに着いたシャッカを使ってウルフガーは国連職員や特捜班について調べ上げた。ハートマン以下特捜班は国連のパーティーの警護をするが、エスカレーターでハートマンがシャッカに殺される。続いて国連関係者とその妻を乗せたロープウェイがウルフガーとシャッカにハイジャックされる。ウルフガーは大使館職員の妻を見せしめに殺した後、ダシルバをロープウェイに上げ、赤ん坊と声明文を託して下ろす。次に脱出用の飛行機とバス、政治犯釈放を要求する。バスの運転をダシルバに求めた。
ロープウェイから人質をバスに移すとき、ダシルバは、ハートマンがシャッカについて講義した録音テープを再生させてシャッカを動揺させ、その結果彼女は射殺され、ウルフガーだけを乗せたバスが川に沈んでいく。
逃亡したウルフガーは調査済みのアイリーンのアパートへ。鍵をこじあげて中に入りナイフを手に背後から彼女を襲おうとするが、振り向いたのは、いつものおとり捜査の要領で女装したダシルバだった。彼は今度こそウルフガーを射殺する。
以上、映画「ナイトホークス」のあらすじと結末でした。
この映画「ナイトホークス」は、シルヴェスター・スタローン主演の刑事映画。
刑事映画の最大のポイントは二つあって、一つは主人公の刑事に、どんなキャラクターを持たせるか。
スーパーマン刑事にするのか、人間味豊かな、個性的な刑事にするのか。
もう一つは、犯人の作り方だ。犯人がどんな性格の持ち主で、いかなる形の犯罪を意図しているのか。
その設定によって、映画は膨らみもすれば、しぼんだりもする。
「ナイトホークス」は冒頭、女装したシルヴェスター・スタローンの刑事が、相棒の刑事と共に三人組の強盗を逮捕するシーンから始まる。
続いて、ロンドンのデパートに爆弾をセットする犯人が描かれるが、刑事と犯人のこのカットバックは、ラストシーンをも暗示している。
女装した刑事は、どんな形で国際的テロリストの犯人と対決するのか。
ウルフガーという国際的テロリストが、ニューヨークへ潜入したとの情報を、FBIはキャッチする。
対テロリストのコマンド部隊が作られることになり、ニューヨーク市警の刑事だったスタローンは、コマンド部隊に編入される。
このスタローン刑事は、美しい妻と離婚している。妻の職業はデザイナー。
夫の危険な仕事に耐えられないというのが、離婚の原因だが、スタローンは、彼女に未練を持っている。
この設定は、刑事映画ばかりでなく、一般の映画でもよく使われ、何とも常套的で陳腐のようにみえるが、別れた妻の存在が、ストシーンに巧みに生かされていて、実にうまい。
サスペンス映画などで、よく出来た、うまい脚本というのは、奇抜な発端から意外な展開になり、そして、ちょうど話のど真ん中に”中ヤマ”という山場があり、続いてクライマックスを迎え、そしてラストシーンでのドンデン返しになると思っています。
この映画の脚本も、まさにこれにピタリと当てはまっていて、女装の刑事が強盗を逮捕する発端から、顔を整形手術したテロリストが、ニューヨークに潜入するという展開になり、ディスコで刑事が犯人を見抜き、追いつめようとする。
犯人は地下鉄を利用して逃げようとするが、その追いかけが”中ヤマ”。
そして、犯人は逃げ切り、爆破計画に出る。
犯行を未然に阻止しようとする刑事は、再び犯人を追いつめる。
追いつめられた犯人は、今度は乗客を人質にしてロープウェイに立て籠もる。
この部分がクライマックス。
刑事の活躍があって、乗客を無事救出するが、映画は、ここでは終わらない。
ロープウェイから犯人の姿は、消えている。犯人は、一体どこへ逃げたのか? 。
犯人は、復讐のために、刑事の別れた妻を狙っているのではないか?。
映画はラストにきて、もう一度、クライマックスを迎え、ドンデン返しでエンドマークとなる。
この映画は、このようにサスペンス映画の脚本のお手本のような作品で、厳密に観ていると、辻褄が合わずに、強引に飛躍してしまっている部分もあるけれど、これでもかこれでもかと、スリリングなシーンを用意して、たたみかけてくる。
この「ナイトホークス」は、1981年の作品なので、「ロッキー」で大ブレークして、スタローンがスーパースターにのし上がった後の作品なので、その意味では、スタローンのワンマン映画なのだが、その割りには、スーパーマン刑事の物語だという印象は、さほど強くない。
一方、犯人の国際的テロリストのウルフガー(ルトガー・ハウアー)は、テロ行為そのものに取り憑かれた男である。テロのためのテロ。
テロ行為に取り憑かれているうちに、目的と手段を見失い、ニューヨークそのものを爆破することに生き甲斐を見い出しているような男なのだ。
どちらかと言えば、「ダーティハリー」の系列に属する映画だとは思うが、しかし、この映画は、捜査の連携プレーや、刑事の人間的な悩みも過不足なく描かれていて、質のいいエンターテインメント作品に仕上がっていると思う。