私に近い6人の他人の紹介:1993年アメリカ映画。ジョン・グェアの戯曲「六次の隔たり」を映画化。上流階級に潜む虚飾と偽善を炙り出すミステリー・ドラマ。ニューヨーク五番街の高級アパートに住むウイザとフランの夫婦は、ある夜怪我をして転がり込んで来た青年ポールを保護した。世界的スターの子どもと名乗るポールは、洗練された所作と弁舌爽やかな教養であっという間にウイザ達の心を掴む。ところがそれらは全て詐欺のための張りぼてだった。ポールの謎を暴くため動き出したウイザは、やがて自分自身を取り巻く「張りぼて」に気付いていく。
監督:フレッド・スケピシ 出演者:ストッカード・チャニング(ウイザ)、ウィル・スミス(ポール)、ドナルド・サザーランド(フラン)、イアン・マッケラン(ジェフリー)、メアリー・ベス・ハート(キティ)ほか
映画「私に近い6人の他人」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「私に近い6人の他人」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
私に近い6人の他人の予告編 動画
映画「私に近い6人の他人」解説
この解説記事には映画「私に近い6人の他人」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
私に近い6人の他人のネタバレあらすじ:謎だらけの青年
舞台は現代アメリカ、ニューヨーク。五番街の高級アパートに暮らす画商のフラン・キトリッジとその妻ウイザは、朝から恐ろしい事態に遭遇し、パニック状態で部屋を駆け回っていました。2人は何とか身なりを整え、友人の結婚式に参加します。彼らはそこで、同じ上流階級の友人知人に昨夜の出来事を語って聞かせました。
昨夜は夫妻の友人で、大富豪のジェフリーを自宅に招いていました。実は破産寸前まで追い詰められているキトリッジ夫妻は、何とかしてジェフリーと商談をまとめられないかと企んでいたのです。そこへ、突然暴漢に襲われ怪我をしたという黒人青年ポールが転がり込んで来ました。困惑しつつも手当てをしてやると、彼は夫妻の子ども達と同じくハーバード大学に通う学生で、子ども達の親友だと言い出します。はじめは半信半疑のウイザ達でしたが、家の間取りや所有している絵のことなど、詳しく知っているポールを信じ込みました。何より彼は優雅で洗練された所作と、絵や文学を深く理解する素晴らしい教養の持ち主だったのです。しかも父親は有名な世界的スター、シドニー・ポワチエだと言われウイザ達はすっかり夢中になってしまいました。ポールを気に入ったジェフリーが快く商談に応じてくれたこともあり、キトリッジ夫妻はとにかく上機嫌。2人はポールに小遣いを渡し、泊めてやることにしました。ところが翌朝、ウイザがポールを起こしに行くと驚くべき光景が広がっていました。ポールは青年を連れ込み、裸で激しく抱き合っていたのです。驚いたキトリッジ夫妻は、慌ててポール達を家から追い出しました。
私に近い6人の他人のネタバレあらすじ:ポールについて
後日。至るところでポールの話を披露していたキトリッジ夫妻は、友人のキーランとキティ夫妻もポールの被害者だと知ります。更に医師のファインも加わり、ポールに騙された5人の大人達は詳しく調べてみることにしました。5人の共通点は、子ども達がハーバード大学で寮生活を送っていること。そこで大学に乗り込んだウイザ達は、ポールについて心当たりはないかと子ども達に詰め寄りました。一方的な嫌疑に子ども達は反発しますが、調べてみた結果、MITに通う同級生トレントの存在が浮上します。
トレントは出会ってすぐにポールに夢中になり、三ヶ月同棲したそうです。その間、無教養だったポールに上流階級の所作を教え込み「シドニー・ポワチエの息子」を作り出しました。同時に同級生達の友人として家に転がり込めるように、各家庭の情報を渡していったそうです。それを娘から聞いたウイザは、呆れ半分、尊敬半分で驚きました。そして「地球上の人は誰でも――6人の他人をたどるとつながるの」と語ります。人と人との間には6人いて、関係を作るには正しい6人を見つけなければいけないのだと。
私に近い6人の他人のネタバレあらすじ:新たな展開
ローマ旅行から帰って来たキトリッジ夫妻は、今度は別の形でポールから被害を受けることになります。夫妻の前に現れたのは、恋人リックと共に俳優を目指す女性エリザベス。彼女はフランの息子を名乗るポールが金を盗んで消えたと糾弾してきたのです。ポールは母と共にフランから捨てられたと言ってエリザベス達の同情を引き、しばらく彼らの家に居候していました。
そしてあろうことかリックをセックスの虜にした挙句、2人が必死に貯めていた金を手に失踪してしまったのです。その後リックは自殺してしまい、怒り狂ったエリザベスはポールを告訴することにしました。フランはエリザベスの誤解を解き、ポール探しを手伝うことにします。
私に近い6人の他人のネタバレあらすじ:逮捕の夜
ある夜、ポールがキトリッジ家に電話をかけてきました。応対したウイザは、警察に出頭するよう諭します。匿って欲しいと頼むポールを、ウイザは時間をかけて丁寧に説得しました。説得されたポールは、ならば、せめて同伴してくれと言い出します。ウイザは承諾し、渋るフランと共にポールのところへ向かいました。しかし道が酷く渋滞していたため時間を食ってしまい、結局ポールは1人パトカーで連行されてしまいます。
翌日、ポールが連行された警察署を訪ねたウイザ。しかしポールが捕まった記録は無いと言われてしまいます。検事局や裁判所にも当たってみましたが、家族でもなくポールの本名すら知らないウイザには、これ以上のことを調べる術はありませんでした。そしてある日の新聞に、黒人の服役囚がポールと同じシャツで首を吊ったと記事が出ます。それがポールなのかどうか、ウイザには分かりませんでした。
私に近い6人の他人の結末:自分を見つめ直すこと
仕事の重要な会合にフランと出席したウイザは、ポールの話をしながら涙ぐみます。彼女は確かにポールに魅力を感じ、出来るなら助けてやりたいと考えていました。ウイザは必死に訴えますが、フランは商談に話を持っていこうと、こちらも必死です。ウイザはたまらず席を立ってしまいました。
慌ててウイザを追いかけたフランは、ポールにこだわる彼女に金が全てだと怒鳴ります。ウイザはフランを冷めた目で見つめ、自分達は違いすぎると告げて、その場を去っていきました。涙を堪えながら歩くウイザの前に、ポールの幻が現れます。ウイザは口元に笑みを浮かべました。彼女が街を堂々と歩き始め、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「私に近い6人の他人」のあらすじと結末でした。
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