僕たちは希望という名の列車に乗ったの紹介:2018年ドイツ映画。1956年、ベルリンの壁の建設の5年前に旧東ドイツで起こった実話を、元教員ディートリッヒ・ガルスカの手記『沈黙する教室』を基に『アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男』のラース・クラウメ監督が映画化したヒューマンドラマです。東ドイツのごく普通の高校生たちが取った“たった2分間の黙祷”が国家から問題視され、高校生たちは友情をとるのか、密告してエリートへの道を進むのか選択を迫られることになります。
監督:ラース・クラウメ 出演者:レオナルド・シャイヒャー(テオ・レムケ)、トム・グラメンツ(クルト・ヴェヒター)、レナ・クレンク(レナ)、ヨナス・ダスラー(エリック・バビンスキー)、イザイア・ミカルスキ(パウル)、ロナルト・ツェアフェルト(ヘルマン・レムケ)、ブルクハルト・クラウスナー(ランゲ国民教育大臣)ほか
映画「僕たちは希望という名の列車に乗った」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「僕たちは希望という名の列車に乗った」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
僕たちは希望という名の列車に乗ったの予告編 動画
映画「僕たちは希望という名の列車に乗った」解説
この解説記事には映画「僕たちは希望という名の列車に乗った」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
僕たちは希望という名の列車に乗ったのネタバレあらすじ:起
1956年、まだ“ベルリンの壁”で西側と遮断されていなかった頃の東ドイツ。スターリンシュタットの町に住む高校生のテオ・レムケ(レオナルド・シャイヒャー)と、親友のクルト・ヴェヒター(トム・グラメンツ)は一緒に西ドイツへ列車で向かい、元ナチス党員だったテオの祖父の墓参りに行きました。
その帰り道、テオとクルトは東ドイツでは決して上映されることのない娯楽映画でも観ようと思い立ち、映画の前に上映されたハンガリーの民衆蜂起を伝えるニュース映画に心を強く奪われました。
テオとクルトは東ドイツに戻るなり、クラスメイトのエリック・バビンスキー(ヨナス・ダスラー)たちにこのことを語りました。そしてクルトは、テオやそのガールフレンドのレナ(レナ・クレンク)らと共にクラスメイトのパウル(イザイア・ミカルスキ)の叔父エドガー(ミヒャエル・グヴィスデク)の家に行き、そこで西ドイツのラジオ局の放送を聴きました。
ラジオのニュースによるとハンガリーでは民衆蜂起により多数の死傷者が出ており、犠牲者の中にはクルトたちの憧れの存在だったサッカー選手のプスカシュも含まれていたというのです。
翌日、クルトは学校で同級生たちに対し、ハンガリーのために2分間の黙祷をしようと提案しました。ハンガリーの民衆放棄は社会主義国家である東ドイツにとっては許されざることであり、エリックは反対するもの多数決でクルトの提案は受け入れられ、生徒たちは授業の最中に2分間の黙祷を決行しました。これが後に大変な事態を招くことになるとも知らずに。
僕たちは希望という名の列車に乗ったのネタバレあらすじ:承
教師から報告を受けたシュヴァルツ校長(フロリアン・ルーカス)は、クラスのリーダー的存在であるテオから事情を聞き、テオはあくまでも政治的意図はないと釈明しました。しかし、学校には郡学務局から女性局員ケスラー(ヨルディス・トリーベル)が調査のため派遣されました。
その後、プスカシュは実は生きていたという情報がもたらされ、窮地に陥ったテオは、とにかくことを誤魔化そうと提案、クルトやレナは反対するも、多数決でほとんどのクラスメイトがテオに賛同しました。テオに失望したレナはクルトと付き合い始め、テオは衝撃を受けてしまいます。
やがてケスラーの調査が本格的に始まり、生徒たちは口裏合わせをするのですが、テオは元々黙祷に反対だったエリックが裏切らないかどうか怪しんでいました。ところがケスラーは生徒たちを揺さぶるため、エリックがテオの発案だと告げ口したと嘘の情報を流し、生徒たちに動揺が深まりました。
そして当局は追及の手を緩めず、遂には国民教育大臣のランゲ(ブルクハルト・クラウスナー)までもが調査に乗り出し、1週間以内に首謀者を明かさなければ、クラス全員の卒業試験を受けさせないと脅しをかけてきました。
その後、ランゲはエリック一人だけ残るよう告げ、首謀者はエリックなのかと尋ねてきました。エリックは自分の亡き父は偉大な社会主義者であり、自分は国家を裏切るわけがないと完全否定しましたが、ランゲの執拗な責めに耐えられず、自分を除く一部の生徒がエドガーの家で西側のラジオを聴いていたことを白状してしまいました。
すぐさまエドガーは逮捕され、クルトは自首を考えましたがテオから「お前が自首してもまだ終わらない」と止められました。帰宅したテオは普段は温厚な父から激しく責め立てられ、ついクルトが首謀者であることを白状してしまいました。テオの父はクルトが責任を負うべきだとしながらも、誰も言い出さないのならばテオが言うよう命じました。
僕たちは希望という名の列車に乗ったのネタバレあらすじ:転
ケスラーは全生徒の経歴や家族の情報などを徹底的に調べ上げ、エリックを呼び出すと、彼の父は実はナチスに寝返って処刑されたという事実を付きつけました。今まで知らなかった事実に衝撃を受けたエリックは、首謀者はクルトだと白状してしまい、写真を持って走り去りました。
そしてエリックは射撃の授業中に教師を撃って怪我を負わせ、銃を持ったまま母と義理の父の元へ逃げると、母から父の件は真実だったと告げられました。絶望したエリックは駆け付けたクルトらに取り押さえられましたが、クルトはエリックの持っていた証拠写真に自分の父が写っていたことに驚きを隠せませんでした。
その夜、ケスラーは市会議員であるクルトの父の元を訪れ、傷害罪で懲役10年の刑をくらうであろうエリックに罪を擦り付ける提案をしてきました。クルトは父から明日エリックが首謀者であることを告白するよう命じましたが、クルトはエリックの父を殺したのかと反発しました。
やがてクルトは父に抑圧され続けてきた母から「逃げなさい。そして二度と戻ってこないで」と告げられ、密かに家を抜け出してテオの元に向かうと、一緒に西ドイツへ行こうと持ち掛けました。テオは家族を見捨てることはできないと断ると、クルトはせめてクラス全員が無事卒業試験を受けられるよう取り計らってほしいと頼みました。
僕たちは希望という名の列車に乗ったの結末
クルトは西ドイツ行きの列車に乗るため駅に向かいましたが、駅員に行動を怪しまれて連行されてしまいました。ところが、クルトに助け舟を出したのは何と父でした。母に説得され、自分が全ての責任を負うという父はわざと大声で夕食までに帰るよう告げ、父の意図に気付いたクルトはなるべく早く帰ると告げて西ドイツ行きの列車に乗り込みました。
翌朝、ケスラーはクラス全員にクルトが逃亡したことを伝えると、テオを指名してクルトが首謀者であることを告発するよう命じました。テオはみんなで決めたことだと告げ、ケスラーから退学を命じられましたが、何とクラスの全員がクルトとテオを庇って自分が首謀者であると告げ、ケスラーから全員退学を告げられました。
これからどうすると問う同級生たちに、テオは年末休暇を利用して賛同者が西ドイツへ行こうと持ち掛けました。ほぼ全員が西ドイツ行きを決断するなか、テオは家族との別れを決意、後で合流すると告げて駅に向かいました。テオの意図を読んだ家族は涙を流しながらテオを見送りました。そしてテオは列車で同級生たちと合流、その後西ドイツに脱出した全員は無事卒業試験を受けることができました。
以上、映画「僕たちは希望という名の列車に乗った」のあらすじと結末でした。
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