帰ってきたムッソリーニの紹介:2018年イタリア映画。イタリアで政治家にして独裁者だったベニート・ムッソリーニ。亡くなったとされる1945年4月28日から70年余りたった同日、あの軍服姿で突如ローマの街に現れた。今や時代は変わり、街には褐色の肌の人々が溢れ、同性愛カップルもいる。これまでにムッソリーニが見たこともない世界が広がっていた。イタリアで最も多くの賞を獲得した作品を制作した監督、ルカ・ミニエーロの初の日本公開作品。ドイツで200万部以上を売り上げたベストセラー小説『帰ってきたヒトラー』からミニエーロ監督が着想を得て映画化。ムッソリーニがかつて実際におこなった演説のシーンなど歴史的映像が挟まれ、インタビューの部分のほとんどはドキュメンタリーとして撮影された。
監督:ルカ・ミニエーロ 出演:マッシモ・ポポリツィオ(ムッソリーニ)、フランク・マターノ(アンドレア・カナレッティ)、ステファニア・ロッカ(カティア・ベッリーニ)、ジョエレ・ディクス(ダニエーレ・レオナルディ)、エレオノーラ・ベルカミーノ(フランチェスカ)、アリエッラ・レッジョ(レアおばあちゃん)ほか
映画「帰ってきたムッソリーニ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「帰ってきたムッソリーニ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
帰ってきたムッソリーニの予告編 動画
映画「帰ってきたムッソリーニ」解説
この解説記事には映画「帰ってきたムッソリーニ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
帰ってきたムッソリーニのネタバレあらすじ:起
イタリア、ローマのとある広場。売れない映像作家のカナレッティは移民をテーマとしたドキュメンタリー映像を撮影していました。
するとそこへ突如、足をしばられた軍服の男が空から落ちてきました。威厳を備えた彼の名前はムッソリーニ。イタリアの政治家にして独裁者だった男です。キオスクの新聞の日付は2017年4月28日。偶然にもムッソリーニが命を断った1945年4月28日と同日でした。
驚きショックを受け倒れてしまったムッソリーニ。キオスクを経営しているゲイのカップルが面倒を見てあげました。
目を覚ましたムッソリーニはむさぼるように倉庫の本を読み漁り、自分が死んでから現在までの空白時間を埋めていきます。そこには、同性カップルを容認する内容や移民や失業の問題など、これまでのムッソリーニが想像もできない世界が広がっていました。
帰ってきたムッソリーニのネタバレあらすじ:承
カナレッティは自分が撮った映像に、軍服を着たおかしな人が映り込んでいることに気付きました。それはどこからどうみてもムッソリーニそのもの。クビ寸前の状態から逆転できるチャンスになるかもしれないと、ムッソリーニ似の男とタッグを組んでドキュメンタリー映画を作るアイディアを思いつきます。
映画撮影は車でイタリア中を駆け巡り、ムッソリーニが国民にインタビューを取る形で進められていきました。町の人々はムッソリーニをそっくりさんだと思い、屈託なくスマホを向けると、彼は戸惑いながらも撮影に応じたり、挨拶を返したりとどこに行っても人気者でした。
インタビューでは移民問題や政府に失望した市民の不満も聞くことができました。その様子を早速カナレッティが動画サイトに投稿すると、再生回数はみるみる上昇。あっと言う間に拡散されていきました。
この人気に目をつけた新編集局長ベッリーニは、テレビ番組「ムッソリーニ・ショー」に出演させることを決めます。これによりカナレッティもプロデューサーに昇進。後ろ盾を得てさらに撮影に気合が入ります。
帰ってきたムッソリーニのネタバレあらすじ:転
出演したテレビ番組は次々に大成功を収めていきます。ムッソリーニのカリスマ的な演説は人々の心をつかみ、常に高視聴率をたたき出しました。
しかし、ムッソリーニには思惑もありました。イタリアに失望している国民のためにもファシズムを再度構築してもう一度イタリアを征服しようと考えていたのです。
そんな彼が窮地に追いやられる出来事が起こります。
撮影の途中で知り合った婦人の犬を撃ち殺した映像が出てしまったのです。ベッリーニに編集局長の座を取られた次長レオナルディの仕業でした。
これを機にムッソリーニは世の中を一気に敵に回すこととなり、カナレッティもなすすべをなくしてしまいました。
夜の広場にムッソリーニが現れます。舞い降りた場所に寝転がり、元いた場所へ帰ろうとしていました。が、その時。覆面をした謎の人物に取り囲まれ袋叩きに遭ってしまいます。
目を覚ますとそこはベッリーニの家でした。ベッリーニは優しく看病をしながら、ムッソリーニに新たな番組に出ないかと誘います。それは番組を通じて銃殺された犬の飼い主である婦人と国民に許しを請うものでした。
なんと、ムッソリーニを襲うことから始まったこの計画は、すべて番組の視聴率のためにベッリーニが仕組んだことだったのです。そんなことは当然気付かないムッソリーニはこれを了承します。
帰ってきたムッソリーニの結末
カナレッティは自宅で動画を確認していました。そして気づいたのです。これまでにずっとムッソリーニのそっくりさんだと思っていた男は、過去からやってきた本物のムッソリーニだったと。
テレビからは、ベッリーニが司会者となりムッソリーニ公開謝罪の番組が流れています。ムッソリーニに飼い犬を銃殺された婦人が、彼の饒舌な演説を聞き謝罪を受け入れようとしていたところでした。
カナレッティは戦犯者ムッソリーニを再び許していけないと思い、全力でテレビ局へと向かいました。生放送でしたが、そんなことは眼中にありません。ベッリーニを見つけると、すぐさま番組を中止するよう忠告します。しかし、願いは聞き入れられずカナレッティは拘束されてしまいました。
見事な演出により、婦人はムッソリーニを許しました。その瞬間、会場からは拍手喝采。ベッリーニは満足げに笑みを浮かべました。
放送が終わり、テレビ局をあとにしたベッリーニとムッソリーニ。2人はオープンカーに乗って、まるでパレードかのようにローマの街を走ります。街の人々は彼に一礼したり、手を振ったり、ムッソリーニに対して希望を見出しているかのようにも見えます。
車はかつて「帝国通り」と呼ばれた大通りを走っています。偶然にもこの通りは、古代と現代をつなぐためにムッソリーニが建設した通りでした。
以上、映画「帰ってきたムッソリーニ」のあらすじと結末でした。
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