モロ・ノ・ブラジルの紹介:2002年ドイツ,フィンランド,ブラジル映画。フィンランドの映画監督ミカ・カウリスマキが、4000Kmの旅でブラジル音楽のルーツを辿った音楽ドキュメンタリー。監督自身がガイド役としてカメラを取り、各地に根付いた多種多様な音楽とそこに生きる人々の姿を記録している。30年前、ブラジル音楽に魅了されたミカ・カウリスマキは、ついにフィンランドを飛び出して憧れの地ブラジルに足を踏み入れた。ミカは音楽の歴史や進化を撮影しながら、貧困と犯罪に脅かされながらも生きる喜びを忘れない人々の演奏をカメラに収めていく。
監督:ミカ・カウリスマキ 出演者:セウ・ジョルジ、ミカ・カウリスマキ、マルガリッチ・メネーゼス、ヴェーヤ・グアルダ・ダ・マンゲイラ、ワウテル・マウファイアッチ、ほか
映画「モロ・ノ・ブラジル」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「モロ・ノ・ブラジル」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
モロ・ノ・ブラジルの予告編 動画
映画「モロ・ノ・ブラジル」解説
この解説記事には映画「モロ・ノ・ブラジル」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
モロノブラジルのネタバレあらすじ:ブラジルへ
舞台は2000年12月5日、フィンランドのヘルシンキ。映画監督ミカ・カウリスマキは、30年前にブラジル音楽のレコードを手に入れて以来、彼の地の音楽に魅了され続けてきました。
数年後、ついに夢のブラジルへ旅立ったミカ。ブラジル音楽とサンバのルーツを求めて、ジープに乗って旅をします。彼が訪れたのは、ペルナンブゴ州のアグアス・ベラス市。ここに住むフルニーオ族は音楽を通して部族の若者や家族を励まし、伝統やルーツを守り、受け継いでいきたいと感じています。
ブラジル音楽の起源はインディオです。彼らの伝統舞踊トレー・デ・ブージオが後に黒人文化と融合し、世界を魅了するサンバが生まれました。サンバのリズムはフルニーオ族が作ったものだと言われています。ブラジルは人種の坩堝です。世界中からの移民が独自の音楽を持ち寄り、特にアフリカやポルトガルの影響が強いと言われています。
ミカはカルアルの青空市場へ、ミュージシャンの路上演奏を聴くために向かいました。歌手のシルヴェリオ・ペッソアは、ジャシント・シウヴァのビデオを見てカルアルに興味を持ったそうです。シルヴェリオの生まれ故郷レシーフェへ向かうミカ。シルヴェリオは、フォホーは町のアイデンティティーだと語ります。ジャシントはフォホーを世界中に広めた人でしたが、残念ながら映画撮影中に帰らぬ人となりました。
モロノブラジルのネタバレあらすじ:土着の音楽マラカトゥ
ミカが次に出会ったのはマラカトゥです。マラカトゥは本来黒人の集会を意味しましたが、現在は音楽の式典を表し、マラカトゥ・フラルとマラカトゥ・ナサォンのふたつが存在しています。ミカはオリンダでマラカトゥ・フラルのリーダー、メストリ・サルスチアーノに会うことが出来ました。彼は、マラカトゥは田舎で生まれたと話します。農民が憩いの時間に農具を使って歌い踊ったのが始まりだと。
ペルナンブゴは伝統的な音楽の宝庫です。かつては抑圧されていましたが、現在は新しい文化と上手く共存しているようです。ゼー・ネギーニョ・ド・コーコは、皆で一緒に歌う、それがコーコだと話しました。コーコはアフリカから持ち込まれたものらしく、モーダや即興演奏の要素も取り入れマラカトゥの演奏者のような歌い方になりました。
町に出たミカは、兄弟ユニットのカジュー・アンド・カスターニャから話を聞きます。彼らは食べ物が無い幼少の頃、空き缶でパンデイロを作ってジャボアトンの街へ歌いに行ったそうです。即興で周囲の出来事を歌う彼らは当時から非常に人気でした。しかし撮影から数ヵ月後、兄のカジューが亡くなります。その後は彼の息子のカジュージーニャが後を継ぎ、カスターニャと一緒に歌っているそうです。
モロノブラジルのネタバレあらすじ:宗教であり信仰心のカンドンブレ
マラカトゥ・ナサォンの起源はアフリカ文化です。ペルナンブゴの伝統音楽であり、アフロブラジル人の宗教「ガンドンブレ」の儀式や踊り、リズムと深く結びついています。
ミカが次に出会ったのは、激しく踊る少女達のグループ、マジェ・モレでした。創設メンバーのグロリアとジルソンは、踊りによってドラッグや売春に走ろうとしていた子ども達を立ち直らせることが出来たと語ります。アフリカ人奴隷達は、かつて歌と踊りで神オリシャを崇拝しました。カトリックの聖人をオリシャに見立て、集会に見せかけて宗教儀式を行ったのです。
ミカはバイーア州サルバドールに到着しました。バイーア州はカンドンブレの中心地。カンドンブレでサンバは神を呼び起こす祈りとされています。バイーアの若手歌手マルガリッチ・メネーゼスは、アフリカの様々な部族出身の黒人が見知らぬ土地に連れて来られ、信仰も奪われたと語ります。そんな厳しい環境の中でそれぞれの文化が融合しました。
今日のバイーア州は、幅広い変化に富んだリズムの宝庫です。新しいものを常に取り入れることで、バイーア特有のリズミカルな歌が生まれています。ミカは2ヵ月がかりで4000kmを旅し、サンバが持つ様々な意味を知りました。インディオと黒人文化の接点としてのサンバ。カンドンブレから生まれたサンバ。そしてブラジルリズムの融合を。
モロノブラジルのネタバレあらすじ:サンバとスラム街のファンク
ミカは、最もサンバが似合う街、リオ・デ・ジャネイロに到着しました。歌手のセウ・ジョルジは、サンバはまるで素晴らしいスポーツだと話します。彼は軍隊を除隊させられ、弟を殺されて家もなく、7年間路上で暮らした過去を持っています。その間誰も助けてくれず、存在を否定され続けました。1990年4月26日、歌手のガブリエル・モウラに出会い、そこから独学で音楽を始めたそうです。
ミカはリオ・デ・ジャネイロのマンゲイラに足を向けました。ファンクグループ、ファンキン・ラタの創設者アリジーニョは、今もスラム街で生活しています。彼は強い意志で誘惑に打ち勝ってきた自分を子ども達に見せることで、麻薬の売人にならなくても成功出来ることを伝えたいと願っています。ファンキン・ラタはサンバの小刻みなリズムを打楽器で連打し、聴衆と共に盛り上がります。
モロノブラジルのネタバレあらすじ:ブラジルで生きる
ミカはブラジルを旅した後、リオ・デ・ジャネイロでクラブを始めました。色々な音楽のライヴを毎日のように行っています。彼はブラジルで暮らし、この国をもっと深く知りたいと感じています。
ブラジル音楽に乗せて旅の光景を振り返り、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「モロ・ノ・ブラジル」のあらすじと結末でした。
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