サイコXXの紹介:1970年アメリカ映画。心を病んで視力を失った男性が、謎の幻覚や幻聴に襲われていく姿を描いたホラー作品。突然の火事で父を亡くしたアランは、精神的ショックで視力を失い、州立病院に入院していた。顔に大火傷を負った姉キャサリンに連れられ退院したアランは、空き部屋をハロルドという学生に貸すと告げられる。他人を強烈に拒むアランは動揺し、やがて気味の悪い声や影に心を狂わされていくのだった。映画『サイコ(1960年)』でノーマン・ベイツ役を演じたアンソニー・パーキンスが本作の主演を務めるが、サイコシリーズとは無関係の作品。
監督:カーティス・ハリントン 出演:アンソニー・パーキンス(アラン・コーリー)、ジュリー・ハリス(キャサリン)、ジョーン・ハケット(オリーブ)、ケント・スミス(レイモンド)、ロバート・H・ハリス(エリンズ博士)ほか
映画「サイコXX」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「サイコXX」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
サイコXXの予告編 動画
映画「サイコXX」解説
この解説記事には映画「サイコXX」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
サイコXXのネタバレあらすじ:悪夢の火事
舞台はアメリカ、ユニバーシティ街988番地。真夜中、高名な学者であるレイモンド・コーリーの自宅が火事になりました。息子のアランは立ちすくみ、炎に巻かれるレイモンドに息を呑みます。アランは火の中に飛び込もうとする姉キャサリンを抑えることしか出来ませんでした。結局レイモンドは焼死し、キャサリンは顔半分に酷い火傷を負います。父を見殺しにし、姉に火傷を負わせたアランはその精神的ショックから視力を失ってしまいました。
治療のため8ヶ月もの間州立病院に入院したアランは、ぼんやりした影が見えるところまで回復します。アランの担当医であるエリンズ博士は、「完全な回復は罪の意識に打ち克つことだ」とアドバイスしました。迎えに来たのは既に社会復帰を果たしていたキャサリンです。姉弟の再会はどこかぎこちなく、懐かしい家に着いてもまだ打ち解け合うことは出来ませんでした。
翌日。キャサリンは家計の足しにするため、空いている2階の部屋を学生に貸すと言い出します。ハロルド・デニスというその学生は、喉の損傷で声が非常に小さく、異様に静かな人物でした。他者を拒絶するアランは嫌がりますが、キャサリンから授業とバイトで忙しい彼はほとんど家に帰って来ないと説得されてしまいます。
サイコXXのネタバレあらすじ:謎の間借り人
翌日。アランの恋人で婚約間近だったオリーブが様子を見に来ました。彼女は積極的に距離を縮めようとしますが、アランはどこか冷淡です。夜遅くになって、ハロルドが帰宅する音が聞こえました。起きていたアランがこっそり廊下に出ると、掠れた声に名前を呼ばれます。ぼんやりとしたアランの視界には何者かの影が映りました。慌てて明かりをつけましたが、周囲には誰もいません。
翌日。アランは下見の際、二言三言話しただけのハロルドを疑い、強い拒絶と嫌悪感を持つようになります。その様子に、オリーブはいつまでも閉じこもっていては駄目だとドライブに誘いました。大学に本を返しに行くだけだと説得され、渋々車に乗ったアラン。しかし車を降りたオリーブを待っている間、学生達の笑い声が自分を嘲笑しているように聞こえてなりません。
そして車を覗き込む黒い影を見たアランは、ハロルドだと感じて咄嗟にハンドルを握ってしまいました。パニックになったアランは車をめちゃくちゃに運転し、事故を起こしてしまいます。アランは全てハロルドの責任だとキャサリンに怒りをぶつけ、姉弟仲はどんどんこじれていきました。
サイコXXのネタバレあらすじ:疑心暗鬼
次の日、謝罪にやって来たオリーブは町でエリックを見かけたと話します。エリックとはキャサリンの元恋人で、火事以降オーストラリアに行って連絡が取れないと聞いていました。そこでアランはある可能性に気付きます。この家に住んでいるのは、ハロルドの振りをしたエリックなのではないかと。エリックは家を乗っ取るために、キャサリンと共謀して自分を病院に追い返そうとしているのではないかと。
真偽を確かめるため、オリーブに協力を頼み、こっそりハロルドの部屋に侵入してみましたが、特に不審な点はありませんでした。アランは自分を呼ぶ声と影に怯え、ますます部屋にこもるようになります。キャサリンはアランを入院させるべく医師に連絡を取りました。
ところがある日、気が狂うような日々を過ごすアランの前に意外な人物が現れました。タクシードライバーとして働くエリックです。彼はまだキャサリンに会っていないらしく、アランの考えは完全に否定されました。
サイコXXのネタバレあらすじ:幻覚の正体
苦しむアランを前に、思いつめた様子でオリーブが口を開きます。「間借り人はいない」と。実はハロルドという間借り人は存在していませんでした。アランを病院に戻してしっかりした治療を受けさせるため、キャサリンとオリーブが嘘をついていたのです。
ショックを受けたアランは大声で暴れだし、オリーブを追い返しました。事態を知ったキャサリンは明日病院に連絡して入院させて貰おうと決意します。
翌日。こっそり家を出て行こうとしたアランは、いつもの幻聴と幻覚に襲われます。警戒していると、突然背後から何者かに襲われました。必死に抵抗するアランの視界がどんどん明瞭になっていきます。そして犯人の顔をしっかり見ました。その正体は、キャサリンだったのです。
サイコXXの結末:取り戻した光と蘇る闇
顔の火傷もすっかり綺麗に治っていたキャサリンは、アランの視力が戻ったことを知ると、台無しだと叫びました。何故殺そうとするのか問いただすと、キャサリンはこの世で最も素晴らしい人物、敬愛するレイモンドをアランが殺したからだと答えます。彼女はレイモンドを盲目的に愛していました。「お父さんを返して!」と泣き叫ぶキャサリン。
やがて、州立病院に収容されたのはアランではなくキャサリンでした。アランはオリーブと一緒に暮らし始め、精神的にも余裕が生まれます。ある日、入院中のキャサリンから手紙が届きました。許しを請う内容に、アランは穏やかに笑います。キャサリンは回復して退院した暁には、また一緒に暮らそうと書いていました。
その文章を読んだ途端アランの笑みが歪みます。そして視界がどんどん暗くなっていきました。景色が闇に潰れていく中、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「サイコXX」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する