ブリッジの紹介:2006年アメリカ映画。サンフランシスコの巨大吊り橋、ゴールデンゲート・ブリッジから飛び降り自殺した人々の背景や心理に迫る衝撃のドキュメンタリー。撮影は1年間、橋の両側にカメラを設置して内密に行われ、自殺者が飛び降りる実際の映像が何度も挿入される。主に遺族や友人、一命を取り留めた人物らへのインタビューで構成される作品。人は何故自殺するのか、自殺することで本人は救われるのか、そして遺された人々の心は。生々しい実情と共に、命の尊さを訴える。
監督:エリック・スティール 出演者:C・プレスリー、R・マーカー、タラ・ハレル、ライル・スミス、D・ウィリアムズ、ほか
映画「ブリッジ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ブリッジ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ブリッジの予告編 動画
映画「ブリッジ」解説
この解説記事には映画「ブリッジ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ブリッジのネタバレあらすじ:目撃者
舞台は現代アメリカ、サンフランシスコ。1937年に開通した巨大吊り橋ゴールデンゲート・ブリッジは、観光名所として知られる一方、自殺の名所でもありました。
ある晴れた日、カイト・ボーディングを楽しんでいたE・ジェレインスとC・ブラウンは、間近の水面に自殺者が激突したのを目撃します。「人生の謳歌と終焉が同じ場所に存在してた」と振り返る2人。
カリフォルニア在住のS・ジンウォーラは気持ち良く車で橋を渡っている最中、欄干の上にいる男性に気が付いたそうです。彼は腕を伸ばして視界から消えていきました。生前の彼を最後に見たのは自分かも知れないと考えると、泣きそうになると語るジンウォーラ。ハイウェイ・パトロールに通報すると、しょっちゅうあることだと苦笑いをされたそうです。
R・ウォーターズはアルカトラズ島を撮影中、欄干に身を乗り出した女性を見つけました。悩む彼女を撮影した後、自分の方に引き上げて通報。彼女がどう思ったのかは分かりませんが、きっと助けて欲しかったはずだとウォーターズは信じています。
ブリッジのネタバレあらすじ:E・“リサ”・スミスの自殺
E・“リサ”・スミスは、14歳までは普通の女の子だったと姉タラ・ハレルは語ります。しかし10代で父親を亡くし、元々繊細なところがあったリサは心を病んでいきました。妄想型統合失調症と診断され、一生治らない苦しみを抱えて生きてきたリサ。入退院を繰り返した彼女は、15年かけて安定した精神状態を手に入れます。
しかし友人の自殺をきっかけに急激に不安定になり、ある夜ふらりと施設を出て二度と戻りませんでした。信心深いリサの兄ライル・スミスは、事故か誰かに唆されたのではないかと疑っています。しかしリサの母R・マーカーは、自殺したことでリサは今きっと楽になれているはずだと語りました。
ブリッジのネタバレあらすじ:フィリップ・マニコウの自殺
ヴァージニア州在住のマニコウ夫妻は、息子フィリップを自殺で亡くしました。心を病み、入退院を繰り返したフィリップを両親は何度も説得したそうです。しかし何度目かの自殺未遂の後、フィリップは今度こそ成功させると決めてゴールデンゲート・ブリッジを目指しました。
父親は、フィリップはずっと牢獄に囚われている気分だったのだろうと話します。それが自殺によって自由になったのだと。母親は生前のフィリップが異様なほど橋に魅了されていたのを思い出します。引き寄せられるように橋へ向かい、自殺した息子。彼がいなくなった時、自殺するつもりだろうと父親は気付きました。しかしそこまでの決意なら逝かせてやろうと考えたそうです。
ブリッジのネタバレあらすじ:ケヴィン・ハインズの自殺未遂
ケヴィン・ハインズは長い間、死にたいと思い続けていました。遺書を残した彼は、学校を抜け出して泣きながらゴールデンゲート・ブリッジまで移動したそうです。近くには観光客もいましたが、親身に声をかけてくれる人はいませんでした。ついに欄干に両手をつき、頭から飛び降りたケヴィン。
しかし手が離れた瞬間、彼は「死にたくない」と強く思いました。そこで咄嗟に姿勢を変え足から水面に突っ込みます。ケヴィンは腰骨が砕け、その骨が内臓に刺さるという重傷を負いましたが、奇跡的に助かりました。とてつもなく恐ろしかったと振り返るケヴィンは、周囲からまた自殺するのではと未だ疑われています。腫れ物に触るような扱いに、普通の自分に戻りたいと望むようになりました。
ブリッジのネタバレあらすじ:デヴィッド・ペイジの自殺
デヴィッド・ペイジの同居者でサンフランシスコ在住のG・スミスは、デヴィッドは賑やかなことを好む陽気な性格だったと振り返ります。しかし50歳を過ぎて失業し、自らの人生に絶望していました。デヴィッドは生活を立て直すため抗うつ剤を飲み始めますが、すぐに止めてしまいます。デヴィッドは自殺する5ヶ月、友人達に自殺するかも知れないとメールを送りました。大半の人が返信したそうですが、スミスは本気ではないだろうと返信しなかったそうです。
自殺を何もせず見守るか、阻止行動に出るか。それを決めるのは難しいとスミスは語ります。しかし遺された人間が自分を責めるのは違うと言います。どちらにせよ、彼がゴールデンゲート・ブリッジを普通に渡れる日は二度と来ません。
ブリッジのネタバレあらすじ:D・“ルビー”・ルーベンスタインの自殺
D・“ルビー”・ルーベンスタインは自慢の友人だったと、身元を隠した女性は語ります。ルビーは重度の鬱病と不眠症に悩んでいました。女性は以前、自分が服用していた抗うつ剤を渡します。しかしルビーの不眠症はどんどん悪化していきました。抗うつ剤を渡した2ヶ月後、一緒に映画を見たルビーは女性の家に寄りたいと話したそうです。しかし女性は独りになりたかったので断りました。それがルビーと会った最後の記憶です。
女性は積極的にプライベートに踏み込まなかったことを今も悔いています。彼女はゴールデンゲート・ブリッジにはロマンがあると語りました。しかしそれは偽りのロマンだと。ルビーは最期を飾ることが出来たかもしれません。しかし最期を飾って何になるのかと女性は訴えます。ルビーは死んでしまったのですから。
ブリッジのネタバレあらすじ:J・“ジム”・シンガーの自殺
J・“ジム”・シンガーの友人G・マシューズは、ジムは温かい人柄で人の輪を広げるのが好きだったと振り返ります。ジムと親しかった人は、彼の自殺以降、皆何かを抱えてしまいました。また誰かが自殺するのではないかという恐怖、そして良い友人ではなかったという罪悪感。皆ジムは助けを求めていなかったと考え、自分を納得させようとしていました。
ブリッジのネタバレあらすじ:ジーン・スプレイグの自殺
ジーン・スプレイグは浮世離れしていたと語るのは、ジーンの友人C・プレスリーです。死ぬまでほとんど母親と2人きりの生活をしていたジーン。母親が癌で亡くなった後、ようやく終わりに出来ると呟きました。友人のD・ウィリアムズは、ジーンとよく愛について語り合ったそうです。彼はジーンの死に心から泣くことが出来ませんでした。とにかく腹が立っていたのです。ジーンは彼を愛する大勢の人を苦しめました。もしジーンとまた会えたなら、それを叱りつけたいと思っています。
友人ロッシ夫妻は、ジーンは大げさですぐに「いっそ殺せ」「死にたい」と言っていたと振り返ります。あまりにも何度も口にするので、彼の言葉を真に受けることはなくなっていきました。ジーンは女性を追い求めることが多く、その度に理想と違う愛に傷ついていました。
ゴールデンゲート・ブリッジは、ジーンにとって理想的な舞台です。しかしもう少し待てば、オークランドの会社から採用通知が届いたはずでした。もし採用の知らせを聞いていれば、ジーンは自殺を思いとどまったのか、それは誰にも分かりません。プレスリーはジーンの死の知らせを受け、内心ホッとしたそうです。ジーンはもう、失望も悲嘆もしなくていいのだと。プレスリーは自殺の心理は分からないと話します。けれど死への一歩は小さなものだと思うとも語りました。
誰しも人生に絶望する時はやって来ます。大抵の人は、朝日が昇ればまた新しい1日だと思って割り切り、前に進んでいきます。けれどジーンは、そしてあの橋で自ら命を絶った人々は、きっとそうではなかったのでしょう。
ブリッジのネタバレあらすじ:ゴールデンゲート・ブリッジ
今日もゴールデンゲート・ブリッジには様々な人がやって来ます。重度の覚醒剤依存性になり、人生に絶望して命を絶とうとした男性。まるで引き寄せられるかのように何度も来てしまう女性。彼女はゴールデンゲート・ブリッジに自殺者が集まる理由を、簡単だからだと話します。手を離すのは難しいけれど、その後はただ落ちていくだけです。
「破壊的な行為だけど 理性で考えてもいるの」と語る女性。しかし彼女は、誰かに止めて欲しかったとも言いました。撮影カメラはジーンの自殺も捉えていました。彼は長い時間、橋を行ったり来たりして、欄干にもたれ掛かって考え事をしています。そして欄干に後ろ向きに立ったかと思うと、そのまま落ちていきました。ひとつの命が潰えたにしては、あまりに小さい水しぶきが上がります。
2004年には24人がゴールデンゲート・ブリッジから飛び降りました。うち3人の遺体はまだ見つかっていません。ゴールデンゲート・ブリッジで命を絶つ人の数は世界最多であると告げ、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「ブリッジ」のあらすじと結末でした。
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