堕天使のパスポートの紹介:2002年イギリス映画。社会的弱者が自由を手に入れるため足掻く姿を描いたサスペンス・ドラマ。ロンドンで暮らす不法入国者オクウェは、政治亡命による難民シェナイの部屋に泊めて貰いながら日々を必死に生きていた。ある日、職場のホテルで人間の心臓を発見したオクウェ。ホテルではイギリスのパスポートを手に入れるため、訳ありの人間達が臓器を売っていたのだった。義憤に駆られるオクウェだったが、自由を望むシェナイも腎臓を売ることを決意してしまう。
監督:スティーヴン・フリアー ズ 出演者:オドレイ・トトゥ(シェナイ)、キウェテル・イジョフォー(オクウェ)、セルジ・ロペス(ファン)、ソフィー・オコネドー(ジュリエット)、ベネディクト・ウォン(グォイ)ほか
映画「堕天使のパスポート」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「堕天使のパスポート」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
堕天使のパスポートの予告編 動画
映画「堕天使のパスポート」解説
この解説記事には映画「堕天使のパスポート」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
堕天使のパスポートのネタバレあらすじ:人間の心臓
舞台は現代イギリス、ロンドン。ナイジェリア出身のオクウェは、昼はタクシードライバー、夜はホテルのフロントとして休みなく働いています。彼は不法入国の移民で、故郷では医師をやっていました。オクウェは政治亡命による難民でトルコ国籍のシェナイの部屋に泊めて貰っています。シェナイもまた法に反し、オクウェと同じホテルでメイドとして働いていました。従姉が住むニューヨークへ移住することを夢見ています。
そんなある夜、フロントにいたオクウェは娼婦のジュリエットから部屋の様子を確かめて来るよう言われました。510号室に入るとトイレに何か詰まっており、取り除いてみるとそれは人間の心臓です。仰天したオクウェはホテルの支配人ファンに警察へ通報すべきだと訴えますが、彼は口封じの金を渡して来ようとする始末でした。少なくとも、ファンは心臓の出処を知っているようです。しかし不法滞在者のオクウェ自ら警察に通報することは出来ません。
後日、シェナイの部屋に移民局がやって来て家探しを始めました。移民である彼女には部屋を貸したり、働いたりする権利がまだ無いのです。移民局がホテルにまで現れたため、シェナイは仕方なくメイドを辞めて縫製工場で働くことにしました。責任を感じたオクウェは彼女の部屋を出て、友人グォイの職場である霊安室で寝泊りすることにします。
堕天使のパスポートのネタバレあらすじ:臓器売買
ホテルの事務所で異様に苦しんでいる男性を見つけたオクウェ。診察してみると、手術痕が化膿していました。どうやら彼はホテルの510号室で腎臓を摘出し、それと引き換えにパスポートを得たらしいのです。
ホテルでの臓器摘出を取り仕切っているのは、もちろんファンです。ファンはオクウェのことを調べ上げ、彼が医者だったことを突き止めました。そして臓器摘出を担当しないかと持ちかけてきます。ファンは腕の良い医者を雇っていないらしく、オクウェが見つけた心臓も腎臓を摘出した際死亡した人間のものだったのです。
報酬は、オクウェとシェナイのパスポート。新しい身分さえあれば故郷に帰ることも出来ると言われ、オクウェの心は激しく揺れ動きますが、誘惑には頑として乗りませんでした。
堕天使のパスポートのネタバレあらすじ:シェナイが見た地獄
一方のシェナイは、縫製工場にまで移民局が現れ窮地に陥ります。工場長は匿ってやる見返りとして、シェナイに性的な奉仕を要求しました。屈するしかないシェナイの心は次第に疲弊し、ついに工場を逃げ出してファンの臓器売買取引に乗ることにします。
それを知ったオクウェは危険だからと止めようとしました。しかし一刻も早く地獄から逃れたいシェナイは、結局ファンを頼ってホテルへ行き510号室に足を踏み入れます。ところが、そこでファンに脅され処女を奪われてしまいました。
シェナイを探してホテルへやって来たオクウェは、ボロボロの彼女を見てある決意をします。ファンの前に現れたオクウェは、シェナイを死なせないために自分が手術を担当すると告げました。見返りに新しい身元とパスポートを要求するオクウェ。ファンは少々驚きながらも快諾します。
堕天使のパスポートのネタバレあらすじ:復讐
オクウェはグォイに協力して貰い、彼の勤め先である病院から手術に必要な物を片端から盗み出します。そしてついに手術の時がやって来ました。ファンが510号室に入ると、既に部屋は本格的な手術室になっていました。シェナイは手術台の上で眠っています。ご満悦のファンはオクウェが差し出したビールを何の疑いも持たずに飲み始め、混入されていた薬物によって意識を失いました。
眠った振りをしていたシェナイがすかさず跳ね起きます。ジュリエットにも手伝って貰い、オクウェはファンの腎臓を摘出する手術を始めました。無事摘出した腎臓を売人の手に渡し、オクウェとシェナイはグォイの運転で空港へ向かいます。
道中、オクウェはずっと秘密にしていた自分のことを話し始めました。オクウェはラゴスの病理学者でしたが、政府要人が射殺された際証拠隠滅を命じられました。それを断ると家は焼かれ、妻を殺害されたそうです。オクウェは殺人罪で起訴され何とか逃げ出したものの、7歳の娘が今も故郷の姉の元で暮らしていました。
堕天使のパスポートの結末:新しい道へ
グォイとの惜別を済ませ、オクウェとシェナイは空港内に足を踏み入れました。シェナイはラゴスについて行こうとしますが、オクウェは首を縦に振りません。2人は泣きながら別れを惜しみ、これまで秘めていた愛を静かに囁き合いました。
シェナイはオクウェに見送られながら、新しいパスポートを握り締めてニューヨーク行きの飛行機に乗り込みます。オクウェは公衆電話から娘に連絡を取りました。彼が万感の思いで「お前の元に帰るよ」と話し、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「堕天使のパスポート」のあらすじと結末でした。
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