眠狂四郎 勝負の紹介:1964年日本映画。柴田錬三郎の小説『眠狂四郎』シリーズの劇場版第5作で、市川雷蔵が主人公・眠狂四郎を演じるシリーズとしては第2作となる時代劇です。ある老武士の護衛を買って出た狂四郎はその人物が権力を傘に猛威を振るう将軍の娘や豪商らから命を狙われている勘定奉行であることを知り、裏側でうごめく陰謀に挑んでいくことになります。
監督:三隅研次 出演者:市川雷蔵(眠狂四郎)、藤村志保(采女)、高田美和(つや)、久保菜穂子(高姫)、成田純一郎(増子紋之助)、丹羽又三郎(神崎三郎次)、五味龍太郎(榊原喜平太)、戸田皓久(海老名良範)、浜田雄史(赤座軍兵衛)、加藤嘉(朝比奈伊織)、須賀不二男(白鳥主膳)ほか
映画「眠狂四郎 勝負」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「眠狂四郎 勝負」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「眠狂四郎 勝負」解説
この解説記事には映画「眠狂四郎 勝負」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
眠狂四郎 勝負のネタバレあらすじ:起
愛宕神社の階段前で、一人の老いた侍(加藤嘉)が参拝者の手助けをする“尻当て小僧”の少年に補助を依頼しました。その頃、神社境内でスリを退治した眠狂四郎(市川雷蔵)は、茶屋の女からこの尻当て小僧の少年の父は江戸で評判の道場主だったものの道場破りに道場を奪われてしまったことを聞きました。
少年がこの茶屋で寝泊まりしていることを知った狂四郎は少年を哀れに思い、たまたま知り合った老侍を立会人として道場に乗り込み、道場破りを倒して道場を取り戻してあげました。その時、この道場の前を占い師の采女(藤村志保)が通りかかっていました。
その後、狂四郎は老侍から、近頃の凶作で年貢が入らず、江戸にも盗賊が増えてきたという愚痴を聞きました。狂四郎が老侍と別れた直後、老侍は赤座軍兵衛(浜田雄史)と名乗る者に襲われました。狂四郎の加勢で事なきを得ましたが、赤座はその老侍は必ず斬ると捨て台詞を吐いて引き上げていきました。老侍の正体は勘定奉行の朝比奈伊織だったのです。
眠狂四郎 勝負のネタバレあらすじ:承
時の将軍・家斉公の娘・高姫(久保菜穂子)は越後の堀家に嫁いだのですが、夫に先立たれてからは奔放で傲慢な暮らしを送っており、朝比奈の方針で年間2万両にも及ぶお化粧代を廃止されたことを逆恨みして用人の白鳥主膳(須賀不二男)に朝比奈を消すよう命じていました。
朝比奈邸を訪れた狂四郎は朝比奈から高姫の話を聞き、自ら朝比奈の護衛を買って出ることにしました。狂四郎は主膳の屋敷に潜り込み、主膳が札差し大内屋や米問屋和泉屋と密談している様を盗み聞きしました。主膳は商人たちに賄賂を要求すると共に目障りな朝比奈を排除することを約束していました。その後、狂四郎を兄の敵として追っていた榊原喜平太(五味龍太郎)という浪人が現れ、狂四郎に槍を突きつけてきました。
ちょうどその時に高姫の乗った駕篭が通りがかり、狂四郎はわざと喜平太の槍の矛先が高姫の駕篭に向かうよう仕向けました。激怒した高姫に、同行していた主膳は朝比奈の仕業であると吹き込みました。そして主膳は配下である采女を通じ、朝比奈と狂四郎の暗殺のため海老名良範(戸田皓久)、増子紋之助(成田純一郎)、神崎三郎次(丹羽又三郎)、喜平太、赤座、といった五人の刺客を呼び寄せ、狂四郎を襲わせましたが、狂四郎は朝比奈を決して斬らせないと宣言するとその場から姿を消しました。
眠狂四郎 勝負のネタバレあらすじ:転
狂四郎は采女の元に向かい、彼女が主膳に操られていることを指摘すると、采女にはキリスト教布教のために来日した宣教師である夫がおり、彼女は投獄されている夫を救いたいがために主膳と組んだことを明かしました。それから間もなく、狂四郎は出された茶に盛られていた毒により身体がしびれてしまい、主膳の屋敷に拘束されました。現れた高姫は狂四郎を誘惑しようとしますが、狂四郎は逆にからかったうえに増子が投じた手裏剣を利用して拘束から逃れ、屋敷から脱出しました。
数日後、つや(高田美和)の屋台でそばを食べる朝比奈と狂四郎の前に槍を持った喜平太が現れ、狂四郎は円月殺法で喜平太を倒しました。その後、朝比奈は浄閑寺という寺に泊まることにし、弁当を持ってきてくれたつやは、この寺は死んだ貧しい遊女が投げ込まれる寺であり、自分の姉もそうだったと打ち明けました。身よりのない朝比奈はつやの身をはかなむと、狂四郎はこの世は殺し合いであり、つやのような優しい人ばかりではないと諭しました。
その日、狂四郎が銭湯の風呂につかっていたところに刺客が入り込んできました。その時、采女が女風呂から狂四郎に刀を渡し、狂四郎は刺客を斬り倒しました。采女は主膳と手を切って江戸から出ようと考えており、二度と狂四郎の前には現れないと告げて去っていきました。その直後、采女は何者かに連れ去られてしまいました。時を同じくして、主膳は高姫に朝比奈と狂四郎を一気に始末する方法があると進言していました。それは、狂四郎を柳生但馬守と御前試合で真剣勝負させ、その前に狂四郎の刀の目釘を緩めておき、刃先を朝比奈に向けるというものでした。
眠狂四郎 勝負の結末
御前試合当日。会場には将軍・家斉の姿はありませんでした。主膳の企みに最初から気付いていた狂四郎は渡された刀の目釘が緩んでいることに気が付き、円月殺法を振るうフリをして刀を主膳と組んでいる米問屋和泉屋の胸に突き刺しました。狼藉する高姫は狂四郎に猿芝居を見破られて観念、老中の命により越後で謹慎を命じられました。狂四郎は主膳に近づき、采女の居場所を聞き出そうとしましたが、既に采女の夫は処刑されていました。
采女は武蔵野の枯野原にある木に十字架のように縛り付けられていました。狂四郎は主膳一味の放った矢に傷つきながらも采女を助け出し、駆け付けた海老名や神崎、主膳の家臣たちと斬り合いました。病を患っていた神崎は血を吐きながら「俺を斬れ!」と狂四郎に迫りましたが、狂四郎は「死にたくば勝手に死ね!」と突き放しました。海老名は円月殺法を見切ったと威勢を張りますが、最後は狂四郎の刃の前に倒れました。
駆け付けた朝比奈は狂四郎にその刀の腕を世間のために役立てないかと言いましたが、狂四郎は笑顔で断り、采女の顔を一目見るとその場から立ち去って行きました。
以上、映画「眠狂四郎 勝負」のあらすじと結末でした。
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