虹いくたびの紹介:1956年日本映画。建築家が別々の女性に生ませた三人の娘。三女は芸妓の母と京都に住み、次女はまだ見ぬ妹を気にかけ、長女はつらい恋の思い出に苛まれている。三人が幸福の虹を見出すまでの物語。川端康成の同名小説の映画化。
監督:島耕二 出演者:京マチ子(百子)、若尾文子(麻子)、川上康子(若子)、上原謙(水原常男)、船越英二(大谷)、川崎敬三(青木啓太/青木夏二)、川口浩(竹宮)、市川春代(菊枝)その他
映画「虹いくたび」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「虹いくたび」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「虹いくたび」解説
この解説記事には映画「虹いくたび」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
虹いくたびのネタバレあらすじ:箱根
著名な建築家・水原常男には、母親を異にする三人の娘がいる。百子の母は水原の愛人だったが自殺し、百子は水原に引き取られた。妹麻子の母である水原の妻は、百子を大切に育てたが、百子にとってやはり継母でしかなかった。
家庭的で優しい麻子は、昨年死んだ母が亡くなる前に気にかけていた百子と麻子の妹、水原が京都の芸妓菊枝に生ませた若子に会いたいと願っていたが、百子は麻子の母が若子の存在を許したのは、やさしさと言うよりは自尊心からではないかと考え、若子に関心を持つ様子はなかった。
麻子と水原は熱海に遊びに行くつもりだったが、直前に予定を変えて箱根に行く。箱根で麻子は、姉が竹宮という大学生と遊びに来ているのを目撃してしまう。竹宮は「お姉さまに捨てられたら死ぬ」と言うが、百子は一時の遊びのつもりだった。
年下の男と遊ぶ姉の気が知れない麻子。父は実母の自殺が百子の心の傷になっているのではと考える。夜、二人は、おそらく百子と竹宮が湖で乗るモーターボートの騒音を聞く。
虹いくたびのネタバレあらすじ:京都
娘二人を伴って京都へ出かけた水原は、ある寺で待ち合わせ、菊枝と久々に対面する。水原はかつて菊枝と別れて以来、若子とも会っていなかった。そのころ娘たちは祇園甲部歌舞練場に都をどりを観に行っていたが、そこで麻子は以前京都に来た時の帰りの汽車の中で、赤ん坊のおしめを取り換えていた大谷という男と再会する。
今日は赤ちゃんの母親の妹が同行して子守をしていた。だが、百子と麻子の父が建築家の水原であると知ると、子守は赤ちゃんを抱いたまま逃げるように会場を後にしてしまった。それが若子だった。
虹いくたびのネタバレあらすじ:空襲警報下の恋人たち
京都の宿に百子と麻子を、かつての百子の恋人で戦死した青木敬太の弟、夏二が訪れる。兄とそっくりの夏二は青木家へ二人を招く。夏二の父が水原に茶室の設計を依頼したのだった。
だが、敬太が特攻隊員として出撃する前に百子の乳型を石膏でとって椀を作ったこと、椀を作った後、空襲警報が発令される夜に百子と結ばれたのに「がっかりした。君は女でない」というひどい言葉を残して敬太が去ったことを知るのは百子だけだった。それが百子の心の傷になっていた。
虹いくたびのネタバレあらすじ:妊娠
夏二は東京で学生生活を送っていて、麻子と親密になっていく。ある日、夏二は兄の遺品の椀の意味を知りたいと思い、椀を百子に見せるが、それは百子の心の傷に触れ、百子を怒らせてしまう。麻子は姉の態度を批判するが、そのまま高熱を出して入院する。
嵐の夜、水原家を訪れた竹宮に百子は、竹宮の子を妊娠したことを打ち明ける。竹宮が駈け去ったのと入れ違いに帰宅した父親に、百子は敬太とのいきさつをすべて話す。そしてその後家出をしてしまった。
虹いくたびの結末:東京へ来た妹
青木から、百子が京都にいることを教わった水原は、京都に百子を訪れる。その時百子は竹宮が自殺したことを知りショックを受ける。
百子を救ったのは青木だった。息子と百子との間に起ったことをすべて知った青木は、息子がむごいことを言ったのも百子を思ってのことだろうと推測する。そして、悪いことは死んだ人に任せて、生きている人の幸せを大事にしようと言う。
若子は父親から贈られた東京行きの切符で東京に行く。東京駅から若子が迎えの運転手に連れてこられたのは、麻子が入院中の病院だった。麻子が退院するので百子、水原、夏二が来ていたが、病室の扉を開けた若子を見て水原は驚く。
実は若子を招いたのは百子だったとわかる。そして百子は若子に、夏二を麻子の婚約者として紹介する。百子は窓を見て「虹」と叫ぶ。春に虹を見るといいことがあるのだそうだ。
以上、映画「虹いくたび」のあらすじと結末でした。
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