真昼の死闘の紹介:1970年アメリカ映画。『マンハッタン無宿』で初めてタッグを組み、その後も本作の後に『白い肌の異常な夜』『ダーティハリー』でもタッグを組むことになる監督:ドン・シーゲルと主演:クリント・イーストウッドのコンビが贈るアクション西部劇です。革命に揺れるメキシコを舞台に、流れ者の凄腕ガンマンと訳ありの修道女の闘いの旅路を描きます。
監督:ドン・シーゲル 出演者:クリント・イーストウッド(ホーガン)、シャーリー・マクレーン(サラ)、マノロ・ファブレガス(ベルトラン大佐)、アルベルト・モリン(ルクレール将軍)、アルマンド・シルヴェストレ(盗賊)、ジョン・ケリー(盗賊)、エンリケ・ルセロ(盗賊)、デヴィッド・エスチュアルド(フアン)ほか
映画「真昼の死闘」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「真昼の死闘」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
真昼の死闘の予告編 動画
映画「真昼の死闘」解説
この解説記事には映画「真昼の死闘」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
真昼の死闘のネタバレあらすじ:起
革命に揺れるフランス占領下時代のメキシコ北部。修道女のサラ(シャーリー・マクレーン)は三人組の盗賊(アルマンド・シルヴェストレ、ジョン・ケリー、エンリケ・ルセロ)に襲われ、暴行されようとしていました。そこにたまたま偶然通りがかった流れ者ガンマンのホーガン(クリント・イーストウッド)が瞬く間に三人組を射殺し、サラを助けました。
サラは姉が娼婦なので、その罪を償うために修道女になったというのです。ホーガンはサラが修道女だと知って驚きますが、サラは自らショベルを手にして自分を襲った三人組を埋葬しました。ホーガンは貴重な水を三人組の墓にばら撒くサラに呆れてしまい、彼女に別れを告げて立ち去ろうとしましたが、そこにフランス軍の騎兵隊が近づいてきたため、ホーガンはサラに騎兵隊に連れて行ってもらうといいと告げました。
しかし、革命派のサラはメキシコ軍の支援資金を奪ったことでフランス軍に追われる身となっており、ホーガンは仕方なくサラを助けることにしました。ホーガンは墓から三人組の死体を掘り起こし、フランス軍を引き付けるための囮として死体を乗せた馬を野に放ちました。ホーガンとサラは川を渡って廃墟で野宿を取り、身を隠してフランス兵の追っ手をやり過ごしました。
真昼の死闘のネタバレあらすじ:承
ホーガンはフランスに抵抗する革命派ゲリラに雇われており、これから北部のチワワにあるフランス軍駐屯地襲撃作戦に協力することで多額の報奨金を手に入れようと考えていました。ホーガンはチワワに住んでいたというサラから駐屯地の情報を聞き出し、ゲリラと手を組んだのは革命のためではなくただ金のためだけだと語りました。サラはホーガンの捨てたタバコを隠れて吸いました。
翌朝、出発するホーガンはサラから結婚しているのかと尋ねられ、酒とギャンブルをやめさせられるくらいなら別に結婚しなくてもいいし他に女はごまんといるからと答えました。ホーガンは美人でスタイルも良いサラがなぜ修道女になったのか未だに信じられず、彼女が神の道に入る前に出会いたかったと本音をもらしました。
その後、ホーガンとサラはフランス軍がサンタマリア行きの列車を待っているという情報を嗅ぎつけ、サラは偵察のためにフランス軍が駐留する村へ潜入しました。そこでサラは危篤の大佐に祈りを捧げて欲しいと頼まれ、仕方なく大佐の元に向かいましたが、サラと面識のあった大佐は彼女を見るなり「汚れた女め」と呟きました。間もなくして大佐は息を引き取り、サラは正体を感づかれることなくホーガンの元に戻りました。
真昼の死闘のネタバレあらすじ:転
ホーガンはサラからの情報で、サンタマリア行きの列車には武器弾薬が積載されることを知りました。フランス軍はサンタマリアに潜伏するゲリラを一掃しようとしていると考えたホーガンとサラは、先回りしてダイナマイトで鉄橋を爆破する作戦を立てました。ところが、途中でホーガンたちはインディアンに襲われ、ホーガンは肩に矢を受けて負傷してしまいます。このインディアンたちはどうやらキリスト教を信仰しているらしく、サラは十字架をかざしてインディアンを追い払うとホーガンの傷の手当てをしました。
ホーガンとサラは目標の鉄橋に到着しましたが、ホーガンは治療の際に飲んだ酒の影響で銃の腕が鈍ってしまいます。ホーガンは嫌がるサラに強引に橋げたに登らせてダイナマイトを仕掛けさせ、見事に鉄橋ごと列車を木っ端微塵にすることに成功しました。サラはホーガンに自らの秘密を打ち明けようとしますが果たせず、ホーガンは報酬をもらったらアメリカ・サンフランシスコで賭博サロンを開く夢を語りました。
ホーガンとサラは山中の砦に潜伏する革命派ゲリラのリーダーのベルトラン大佐(マノロ・ファブレガス)と合流しました。ホーガンとベルトランはサラから、7月14日のパリ祭の日には駐屯地のフランス兵たちは全員酔い潰れるだろうから警備が手薄になるだろうという情報を聞き、駐屯地の襲撃は7月14日に決行することにしました。
真昼の死闘の結末
そして迎えた7月14日。ホーガンやベルトランたちはフランス軍の駐屯地に到着しました。しかし、駐屯地は列車を爆破された影響で警備が強化されており、酔い潰れている兵士などいませんでした。ホーガンとベルトランはサラから駐屯地に通じる秘密の地下道があることを知らされ、その入り口がある建物に向かいますが、実はそこは売春宿であり、サラの正体は実は修道女ではなく売春宿で働く娼婦であることが明らかになりました。
騙されたことに気付いたホーガンは憤慨するも、作戦決行のため地下道を通って駐屯地地下に到着しました。しかし、地上への出口は塞がれてしまっており、ホーガンやベルトランたちは新たな作戦を立てる必要に迫られました。そこでサラはフランス軍に追われている自分をフランス軍に引き渡す作戦を提案しました。
入念に計画を練り上げたホーガンはサラを連れて駐屯地に向かい、ルクレール将軍(アルベルト・モリン)から歓待を受けました。そして予定時刻ちょうどに駐屯地内に仕掛けたダイナマイトが爆発し、ホーガンはルクレールを射殺しました。
爆破を合図にベルトランたちはゲリラを率いて駐屯地になだれ込み、フランス軍を全滅させることに成功しました。大金を手に入れたホーガンはサラと愛を確かめ合い、彼女を連れてサンフランシスコへと旅立っていきました。
以上、映画「真昼の死闘」のあらすじと結末でした。
この映画「真昼の死闘」は、主演のクリント・イーストウッドがイタリアで「荒野の用心棒」などで大ブレイク後、アメリカ映画界に凱旋帰国後の作品で、マカロニ・ウエスタンの時みたいな髭づらで登場するが、さすがにアメリカ映画だから泥臭くない。
まず岩陰の凹地で、シャーリー・マクレーンが、三人の無法者に丸ハダカにされている光景を悠然と楽しんでいたイーストウッドが、やおら拳銃をぶっぱなし、さらにダイナマイトに口火をつけて脅かした上で、あっという間に片づけてしまう。
そして、シャーリーに服を着ろと言うと、なんとこれがアマさんのいでたちなのだ。
映画を数多く観てきた者なら、シャーリーが尼僧なんて眉唾だと思うだろう。
ドン・シーゲル監督もその点を心得ていて、二人で旅するうちにイーストウッドが彼女に好意を持ってくるが、尼さんだと思うがゆえに、手が出せないというおかしみや、彼女が隠れて煙草を吸ったり、たびたび尻尾を出しそうになる場面を織り込んで、興味をつないでいくところは、さすがにドン・シーゲル監督うまい。
そして、もうひとつの興味は、各場面の芸のこまかさにあるんですね。
革命時代のメキシコで、威張っているフランス守備隊をやっつけ、大金をいただこうというイーストウッドが、スパイ行為でフランス側に追われるシャーリーと、数々の冒険を経てゲリラと合流し、敵の本拠の村を襲撃、大金も手に入れて、実は娼婦だったシャーリーとめでたく旅に出る。
この冒険の途中で、退治したガラガラ蛇を利用してフランス兵の眼をそらしたり、イーストウッドがインディアンに射込まれた矢を抜いたりする場面などを、こまかく丁寧に描写することで、面白さを出していると思う。
だから、ゲリラと一緒に村を攻撃するクライマックスが、かえってありふれた感じでつまらなくなったのが、ちょっと残念な気がしましたね。
それにしても、シャーリーが真っ赤なゴテゴテ衣裳になる最終のお笑いなど、やはり、役者としてはシャーリーの方がイーストウッドより一枚も二枚も上手ですね。