東京の女性の紹介:1939年日本映画。自動車会社の事務職として勤務する節子は、家計の事情から営業職への道へと踏み出します。まだ女性に確とした地位を与えようとしない戦前の日本社会の中で、節子は稀な存在として男性社員と互角に営業成績を競い合っていきます。
監督:伏水修 出演者:原節子(君塚節子)、江波和子(妹・水代)、立松晃(木幡好之)、水町庸子、若原雅夫、水上玲子、藤輪欣司、ほか
映画「東京の女性(1939年)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「東京の女性(1939年)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「東京の女性(1939年)」解説
この解説記事には映画「東京の女性(1939年)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
東京の女性のネタバレあらすじ:起
興産自動車の事務職として働く君塚節子は、営業職への転身を考えています。父と母に妹を加えた4人家族ですが、事業家を気取る小心者の父親は、資金不足を理由にいつまでも働く気を起こしません。さらに外出先で大ケガをし、入院してしまう始末です。家計を担う節子には先行きが不安でたまりません。
営業職に就いて実力で給料を上げる、節子はそう考えます。しかし、営業職の木幡からは「やめておけ」と一蹴されます。男の僕たちでさえ辛いことが多い職業だ、ならば「女性のキミには、なおさら辛いことが多く待っている」と言って取り合ってはくれません。
しかし節子は食い下がります。最後には、節子の熱意に根負けしたかたちで「やるだけやってみたまえ」と木幡が協力を約束してくれることになりました。
東京の女性のネタバレあらすじ:承
木幡の指図通り、自動車のイロハを学ぶために製造工場へ向かいます。もちろん自ら望んだ人事です。汗と油にまみれることは覚悟のうえでした。しかし工場へ日参していると、時折うるさく蠅のように節子目がけて女性を蔑視する男たちの視線が飛んできます。
販売先まわりでは、さらに風当たりが強くなってきます。下衆なからかいもさることながら、女を利用して仕事をするな、と言われ、さすがに落ち込みます。「もうこんな仕事は」と投げたくなりますが、家族に病人を抱えている今は闘っていく以外にありません。
仕事で苦悩する節子に、さらに追い打ちをかけるかのように、父親の容体が悪化します。手術代の捻出に頭を悩ませていると、病院の院長室へ呼ばれます。「手術代のことか」と不安に苛まれる節子を待っていたのが商談です。運命の逆転劇。それから間もなく、顧客第一号が病院長に決まったのです。
東京の女性のネタバレあらすじ:転
天から降ってきた贈り物で節子の困難が終わったわけではありません。好成績を上げはじめた節子に対して、社内のベテランたちが彼女を敵視しはじめます。節子が営業成績を鼻にかけるようになったことにも一因しています。節子に助言と忠告を惜しまなかった木幡でさえ、しだいに節子の行き過ぎたやり方に顔を顰めるようになってきます。
節子は、得意先担当を押しのけて構わずに、興産自動車を語ってコンタクトを取っています。そのうえ、先回りして商談をまとめる小細工も駆使しています。あまりの無軌道ぶりに先輩が腹を据えかねても、どこ吹く風です。むしろ、今までとは打って変わって、腕で勝負しろとけしかけてきます。
東京の女性の結末
自動車販売の荒波の中で頭角を現し、勝利を誇示する節子に、木幡はお株を奪われたかたちです。誰よりも熱心に節子を指導し、見守っていましたが、いまでは関心も示しません。仕事への集中力が失せたのか、近頃では営業成績も冴えず覚束ない面持ちです。
木幡はその後、節子の妹・水代からの求愛を受けて結婚します。節子は木幡から離れ、彼女自身が求める道を進みはじめています。木幡と水代の結婚式のあとも、節子はすぐに仕事に向かいます。
節子は、妹と違う幸せを求めている自分に気づきはじめています。そして、休みの日も厭わず、自ら勝ち取った仕事で納車に向かう姿を誇らしく思って微笑みます。
以上、映画「東京の女性」のあらすじと結末でした。
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