引き裂かれたカーテンの紹介:1966年アメリカ映画。サスペンス映画の帝王アルフレッド・ヒッチコックが贈る、東西冷戦時代のドイツを舞台にしたサスペンスです。突如東ドイツ(当時)へ亡命したアメリカの原子物理学者。果たしてその真意とは? そして学者の正体とは?
監督:アルフレッド・ヒッチコック 出演者:ポール・ニューマン(マイケル・アームストロング)、ジュリー・アンドリュース(サラ・ルイーズ・シャーマン)、リラ・ケドロヴァ(クチンスカ伯爵夫人)、ハンスイェルク・フェルミー(ハインリッヒ・ゲルハルト)、デヴィッド・オパトッシュ(ヤコビ)、ルドウィッグ・ドナス(グスタフ・リント)、ギュンター・ストラック(カール・マンフレッド)、ウォルフガング・キーリング(ヘルマン・グロメク)、ギセラ・フィッシャー(コスカ)、モート・マイルズ(農夫)ほか
映画「引き裂かれたカーテン」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「引き裂かれたカーテン」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
引き裂かれたカーテンの予告編 動画
映画「引き裂かれたカーテン」解説
この解説記事には映画「引き裂かれたカーテン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
引き裂かれたカーテンのネタバレあらすじ:起
アメリカの原子物理学者マイケル・アームストロング(ポール・ニューマン)は、助手で婚約者のサラ・ルイーズ・シャーマン(ジュリー・アンドリュース)を伴い、デンマーク・コペンハーゲンで開かれる国際物理学者会議に出席するため科学者の一団と共に船で現地に向かっていました。
旅の途中、アームストロングは「本が届いた。コペンハーゲンのエルモ書籍店」という電報を受け取り、一応「了解した」との返信を送りました。
やがて一行はコペンハーゲンに到着、アームストロングがホテルでシャワーを浴びている間に、代わりにサラが科学者団のひとりカール・マンフレッド教授(ギュンター・ストラック)と共に本を受け取りに向かいました。サラから本を受け取ったアームストロングは、その中から「兀(パイ)に接触せよ」との暗号を受け取り、慌ただしく旅券の手配をすると、サラにスウェーデン・ストックホルムに向かうと告げました。
これで結婚式が延期になると思ったサラは、アームストロングが自分をコペンハーゲンに来させないよう必死だったことを問い詰めますが、アームストロングは「結婚式までには戻る」と言うのみでした。サラは怒りのあまり、ホテルのフロントでニューヨーク行きの飛行機のチケットを手配しようとしましたが、アームストロングはなぜか東ドイツ(当時)・東ベルリン行きの便を予約していました。
引き裂かれたカーテンのネタバレあらすじ:承
マンフレッドと共に東ベルリン行きの飛行機に乗ったアームストロングは、サラが同乗していることに気付き、「僕に近づくな。東ベルリンに着いたら次の便で帰れ」と厳命しました。ところが、アームストロングは東ベルリンに着くなり記者会見を開き、核兵器に対抗する迎撃ミサイルの開発を理由に東ドイツへの亡命を大々的に発表しました。
困惑するサラをマンフレッドがなだめるなか、アームストロングは国家保安省の役人ハインリッヒ・ゲルハルト(ハンスイェルク・フェルミー)の出迎えを受け、案内役としてヘルマン・グロメク(ウォルフガング・キーリング)を紹介されした。サラはアームストロングに「前々から計画していたのか」と問い詰めましたが、アームストロングはサラに詳しい事情は話せないとしてアメリカに帰るよう命じました。
その後、アームストロングは尾行するグロメクをベルリン美術館でまき、郊外の農家で農夫に扮していた諜報員、コードネーム“兀(パイ)”(モート・マイルズ)と接触しました。あえて売国奴を演じていたアームストロングはこれから科学者グスタフ・リント教授(ルドウィッグ・ドナス)から核兵器を無効化する新型ミサイルに関する情報を聞く予定であることを告げ、“兀(パイ)”はライプチヒにいる諜報員コスカ(ギセラ・フィッシャー)と接触するよう指示しました。
ところが、その場にグロメクが現れ、アームストロングの正体を暴こうとしたため、アームストロングは“兀(パイ)”の妻(キャロリン・コンウェル)と共謀してグロメクを殺害しました。その後、何食わぬ顔で街に戻ったアームストロングはゲルハルトからサラが東ドイツに留まることを知らされました。
引き裂かれたカーテンのネタバレあらすじ:転
ライプチヒに向かったアームストロングはコスカと接触しました。コスカはゲルハルト側が失踪したグロメクの行方を追っていることをアームストロングに伝え、アームストロングとサラを東ドイツから脱出させる手筈を整えると告げると、これからレニングラードに向かう予定のリントに会いに行くよう指示しました。
その頃、ゲルハルトはアームストロングを農家に乗せていったタクシー運転手から、農場でグロメクらしき人物を目撃したという情報を聞き出していました。
アームストロングはサラに、自分は亡命を装った諜報活動をしていることを打ち明け、サラはアームストロングが売国奴でないことを知って安堵しました。コスカはグロメク殺害がバレるのは時間の問題だとして早くリントから情報を聞き出すよう促し、リントと接触したアームストロングは自らの実験をダシにして新兵器に関する数式を聞き出すことに成功しました。
一方、ゲルハルトは“兀(パイ)”の農場からグロメクの死体を発見していました。リントは自分が騙されたことに気付いてアームストロングを保安省に差し出そうとしましたが、アームストロングとサラはコスカの手引きで大学から脱出、諜報員のヤコビ(デヴィッド・オパトッシュ)の手引きでベルリンに向かいました。
引き裂かれたカーテンの結末
何とかベルリンに到着したアームストロングとサラは、アメリカ行きを望んでいるポーランドのクチンスカ伯爵夫人(リラ・ケドロヴァ)の協力を得て旅行代理店に行こうとしましたが、当局の追跡は確実にアームストロングとサラに迫っていました。旅行代理店に着いたアームストロングとサラは“兀(パイ)”と合流、彼の手引きでバレエ団の荷物に隠れて船でスウェーデンに向かうことにしました。
決行は当局に怪しまれないよう劇場で協力者の案内を受けることになりましたが、アームストロングたちが劇場に来たことはすぐさま当局に通報され、ゲルハルトも劇場に乗り込みました。アームストロングは「火事だ!」と叫んで劇場内を大混乱に陥れ、その隙に協力者の手引きで荷物のカゴに入れられてそのまま船に運ばれました。
途中で二人の乗ったカゴは危うく同乗者に通報されそうになりましたが、アームストロングたちは協力者の助けを借りて船から脱出、無事にスウェーデンへの脱出を成功させました。まんまと任務を成功させたアームストロングとサラは愛を確かめ合いました。
以上、映画「引き裂かれたカーテン」のあらすじと結末でした。
この監督さんの作品は好きなので、期待して見ていました。最初のうちは本当にヒッチコック監督の作品かと疑いたくなるぐらい、イマイチな感じでしたが、中盤から終盤にかけての盛り上がりがすごかったです。トータルでは大満足でした。知的な主人公が歴史ものにありがちな亡命をするというストーリーだが、主人公の心理描写が素晴らしかったです。公が胸中で何を企てているのか判然とせず、疑心暗鬼に陥りながら彼の後を追い続けるジュリー・アンドリュースの立ち位置も煮え切らない。しかしそうやってフラストレーションを溜めながらも、後半は一気に伏線を回収し、ギミックといい、アイディアといい、脇を支える登場人物といい、これぞヒッチコック映画というべき品質を取り戻す。
ヒッチコックがこれほどの人気俳優を起用したのも珍しい。とりわけアクターズスタジオ出身のニューマンとのコラボには、良かれ悪かれ、新時代の風をひしひしと感じる。