シークレット・ヴォイスの紹介:2018年スペイン,フランス映画。事故で記憶を失くし歌えなくなってしまった90年代の国民的女性歌手のリラ。コンサートのために、カラオケでリラの歌を本人さながらに歌いこなすシングルマザーのヴィオレッタから歌を教わる、オリジナルとコピーの奇妙な関係。
監督:カルロス・ベルムト 出演者:ナイワ・ニムリ、エバ・ジョラチ、カルメ・エリアス、ナタリア・デ・モリーナ、フリアン・ビラグラン、ほか
映画「シークレット・ヴォイス」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「シークレット・ヴォイス」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
シークレット・ヴォイスの予告編 動画
映画「シークレット・ヴォイス」解説
この解説記事には映画「シークレット・ヴォイス」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
シークレットヴォイスのネタバレあらすじ:起・記憶を失くした歌手
海で溺れたリラは病院で目覚めると記憶を失っていた。仕事の話をしに来たと言うブランカに連れられ帰宅すると、音楽賞の盾や楽器が置かれた部屋あった。
ブランカによればリラは、引退して10年になる一世を風靡した歌手で、印税生活が苦しくなり、コンサートを開いて稼がないと、この家を売らなければならない状態だった。しかし、記憶喪失のリラは、リズムを感じる事はできても歌うことができなくなっていた。
ネットで自分の名前を検索してみると、ヴィオレッタという女性がリラのマネをして歌っている動画を見つけた。
シークレットヴォイスのネタバレあらすじ:承・リラのファン、ヴィオレッタ
カラオケバーで働くヴィオレッタはリラのファンで、プレイヤーも無いのにサイン入りのリラのアルバムを大事に持っていた。娘のマルタは仕事にも付かず、母親のヴィオレッタを脅してはお金をせびっていた。
リラを真似るヴィオレッタに近づいたブランカは、このままではコンサートを開けないリラに、ヴィオレッタの真似たリラの歌とダンスを教えて助けて欲しいと頼んだ。
彼女と契約を交わし、他にバレないように弁護士のオルガを仲立ちにして、リラの家に通うようになったヴィオレッタは、はじめこそ緊張していたものの、歌と振付を教えた。
リラはヴィオレッタに止められるほど歌を繰り返したが、以前の自分には戻れないと痛感した。
シークレットヴォイスのネタバレあらすじ:転・母親の秘密を暴いたマルタ
ヴィオレッタがカラオケバーに病欠だと嘘をついているの知ったマルタが、カラオケバーに飲みに行くと言うと、ヴィオレッタは来週にして欲しいとだけ告げた。
ブランカからは、リラのツアーに同行してほしいと頼まれたが、これ以上娘に嘘はつけないと言うヴィオレッタに、リラはコンサートの席を用意する約束をした。
後をつけてリラの家に出入りしている事を知ったマルタは母親を詰問、事情を説明されると、マスコミに打って大儲けできる大喜び。しかしそれ以上語らないヴィオレッタに苛立ち、自分の喉を切り裂くと脅した。ヴィオレッタは脅すだけの娘に、やればいいと突き放した。
シークレットヴォイスの結末:リラの記憶と秘密
コンサート直前、うなされて起きたリラは全てを思い出し、元のリラには戻れないとヴィオレッタとブランカに告げた。そして、ブランカが去った後、娘が生まれたことで歌を辞めたヴィオレッタに対して、リラは歌手を目指していたものの挫折した母の世話をするために自分が歌を歌っていた事を打ち明け、母のリリ・カッサンがヘロイン中毒になると、昔の母を思い出して歌いコンクールに出てブランカに出会ったこと。デビュー曲は母の試作品のコピーだったが、母親の名は表に出ず、二人で一つという心づもりで、曲は母が全て作ったこと。5枚目のアルバムを作った時、再び中毒になった母を憎んだリラは、60歳の誕生日にヘロインを贈り、過剰摂取で母を亡くし、それ以来歌わなくなったことを打ち明けた。それがリラ引退の真相だった。
コンサートの準備を諦めないヴィオレッタ。場面が転換し、ステージに立つヴィオレッタ、ホールの広告にはヴィオレッタ・カッサンと広告されていた。家に帰れば、娘のマルタの死体。リラの舞台衣装をまとったヴィオレッタは、リラが溺れた海へと入り消えていった。
以上、映画「シークレット・ヴォイス」のあらすじと結末でした。
シークレットヴォイスのレビュー・考察:ふたりで一人、コピーとオリジナル
リラは、冒頭で自分の名前を聞かれ、自分の乗っている誌面を見せられた時、母親の「リリ」とつぶやいている。リラが歌い方を忘れても覚えていた母親の名は、海に入った理由こそ明かされないまでも、母親の死後、歌を歌わなくなったリラの根底に忘れず残されていた。二人で一つという言葉が後に語られるが、リラを模倣していたヴィオレッタは、リラにリラの歌や振りを教える事で、印象が被っていく。最後に鏡で化粧を直すヴィオレッタと思しき姿は輪郭がぼやけていて、リラにも見える。そしてリラの立場になったヴィオレッタは、彼女がしたように、海に入っていく。リラの秘密も、ヴィオレッタの葛藤も海は等しく、謎は謎のまま飲み込む様は印象的だった。
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