ミス・マープル/夜行特急の殺人の紹介:1961年イギリス映画。アガサ・クリスティーの小説『パディントン発4時50分』を映画化。殺人事件の謎に挑む探偵ミス・マープルの活躍を描くミステリー作品。マーガレット・ラザフォードが演じる「ミス・マープル」シリーズの第1作目にあたる。列車に乗っていた推理小説好きの老嬢ミス・マープルは、追い抜きの特急列車内で女性が絞殺されるのを目撃した。しかし死体が発見されないため、警察は動こうとしない。痺れを切らしたミス・マープルは、自分で事件を解決すべく怪しいと睨んだアカンソープ家に潜入するのだった。
監督:ジョージ・ポロック 出演者:マーガレット・ラザフォード(ミス・マープル)、アーサー・ケネディ(クインパー医師)、ジェームズ・ロバートソン・ジャスティス(アカンソープ)、チャールズ・ティングウェル(クラドック警部補)、ストリンガー・デイヴィス(ジム・ストリンガー)ほか
映画「ミス・マープル/夜行特急の殺人」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ミス・マープル/夜行特急の殺人」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ミス・マープル/夜行特急の殺人の予告編 動画
映画「ミス・マープル/夜行特急の殺人」解説
この解説記事には映画「ミス・マープル/夜行特急の殺人」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ミス・マープル/夜行特急の殺人のネタバレあらすじ:始まりの殺人事件
舞台はイギリス、パディントン駅発の列車の中。1人の老嬢が推理小説を片手に列車に揺られています。彼女の名前はミス・マープル。推理小説が大好きで、何百冊も読破しています。
終点まであと少しというところで、列車は特急列車に追い抜かれました。何気なく特急列車を見ていたミス・マープルは、女性が何者かに絞殺される現場を目撃します。慌てて車掌に通報するよう報告するミス・マープル。しかしそれから2日間、該当の殺人事件はどの新聞にも載りませんでした。
ミス・マープルの家を訪ねて来た警部補クラドックは、死体が発見されないことを理由に、警察は今後も動かないことを説明します。自分の目撃証言を信じない警察に憤慨したミス・マープルは、友人で司書のストリンガーと組み、勝手に事件の捜査を始めることにしました。
翌日、線路沿いを調査していた2人は、死体が特急列車から投げ捨てられたと思われる痕跡を発見します。すぐそばに製菓業で財を築いたアカンソープ家の邸宅がありました。ミス・マープルは、アカンソープ家の人間が女性を殺害し、敷地内に死体を隠したと推理します。そこでメイドとしてアカンソープ家に潜入することにしました。
ミス・マープル/夜行特急の殺人のネタバレあらすじ:老嬢探偵の潜入調査
現在屋敷に住んでいるのは3人。現当主のアカンソープ氏とその娘エマ、庭師のヒルマンです。他に通いの料理人キダー夫人と、エマの甥アレクサンダーが滞在していました。アカンソープ氏は偏屈で酷い吝嗇家でしたが、そんなものに負けるミス・マープルではありません。どんな嫌味にも暴言にも平然としており、アカンソープ氏を言い負かす勢いです。
エマは美しく気立てのいい女性で、アカンソープ氏の世話をしていました。生意気盛りのアレクサンダーは、アカンソープ氏の亡くなった娘エディスの息子です。胆力のあるミス・マープルを気に入ったらしい彼は、家族のことを説明してくれました。アカンソープ家はエマ以外皆仲が悪く、遺産を虎視眈々と狙っているそうです。
息子は4人いて、金持ちのハロルド、退屈なアルバート、画家で女たらしのセドリック。もう1人の息子エドは戦死し、遺体は未だ見つかっていません。ヒルマンとキダー夫人も温厚とは言い難く、良好な関係ではありませんでした。
ミス・マープルが働き始めて最初の客人は、アカンソープ氏の主治医クインパーでした。彼とアカンソープ氏の会話から、特急列車の殺人事件があった日に家族全員がこの屋敷に揃っていたことを知ります。更に調査を続けるミス・マープルは、庭で何かを引きずったような痕跡を発見。その跡は馬屋まで続いています。
アレクサンダーを上手く誘導して馬屋に案内させたミス・マープルは、そこで美しいコンパクトを拾いました。奥の部屋に行こうとしてヒルマンに邪魔されますが、夜中にこっそり忍び込みます。そこで被害女性の遺体を発見しました。
ミス・マープル/夜行特急の殺人のネタバレあらすじ:被害女性の謎
すぐにストリンガーに頼んで通報して貰い、ようやくアカンソープ家に警察の捜査が入ります。息子達やアレクサンダーの父イーストリーらが集められますが、被害女性を知る者はいませんでした。しかし意外なところから候補が上がります。エマがマルティーヌという女性ではないかと言い出したのです。
マルティーヌはフランスの農家の娘で、エドの恋人でした。実はエマのもとにマルティーヌから手紙が届いており、そこに彼女がエドと結婚していたことが明かされていたのです。マルティーヌの話が本当なら、彼女もアカンソープ氏の遺産相続人ということになります。これを知った相続人の誰かが、遺産の相続分が減るのを回避するためマルティーヌを殺害した可能性が出てきました。苦悩するエマをクインパーが優しく抱きしめます。2人は密かに交際しており、将来を誓い合った仲でした。
一方、ミス・マープルには別の事件が起こります。部屋が荒らされ、コンパクトが盗まれたのです。ミス・マープルとストリンガーはクラドックに全てを打ち明けました。コンパクトを盗んだのが事件の犯人だと考えたクラドックは、すぐにミス・マープルにメイドを辞めるよう言います。しかしミス・マープルは承諾しませんでした。
ミス・マープルはアカンソープ氏の遺産について整理します。アカンソープ氏は父親と仲が悪く、手にした遺産は屋敷だけで、財産には手を付けられないことになっていました。アカンソープ氏が死亡すれば、財産は4人の子ども達とアレクサンダーに相続されます。イーストリーには一生再婚しないという厳しい条件が付けられており、エマに思いを寄せる彼にとってはアレクサンダーが頼りでした。
ミス・マープル/夜行特急の殺人のネタバレあらすじ:相続人達の死
そんな中、恐れていた事態が起こります。第2の殺人です。嵐の夜、アカンソープ氏、ハロルド、アルバート、セドリック、エマの5人が突然倒れました。診察したクインパーの診断によると、原因は毒物です。他4人は軽症で済みましたが、アルバートのみ死亡してしまいました。
鑑識の結果、ミス・マープルとアレクサンダーだけが手を付けなかった夕食のカレーからヒ素が検出されます。しかし致死量ではありませんでした。ミス・マープルは、何故アルバートだけが死亡したのか疑問に思います。
更に後日、庭でハロルドの遺体が発見されました。近くには彼愛用の銃が落ちています。警察はハロルドが事件の犯人で、罪の重さに耐え切れず自殺した可能性もあると考えました。そんな中、ミス・マープルは行方不明のコンパクトを発見します。実は事件とは全く関係なく、アレクサンダーのイタズラだったのです。
そこでミス・マープルは、アレクサンダーに協力して貰い犯人をあぶり出すことにしました。アレクサンダーにコンパクトを託し、関係者が揃っている場でわざと見せびらかすよう指示します。そしてコンパクトがミス・マープルの物であることもアピールさせました。
ミス・マープル/夜行特急の殺人の結末:ミス・マープルの名推理
その夜、ミス・マープルの部屋にクインパーがやって来ます。彼の手の形を確認したミス・マープルは、絞殺事件の犯人の手だと確信しました。クインパーが部屋に現れた理由は、証拠品となり得るコンパクトを奪い返すため。コンパクトはクインパーが被害女性に贈った物だったのです。
被害女性の正体は、マルティーヌではなくクインパーの妻でした。彼は自由の身になってエマと結婚するため、邪魔な妻を殺害したのです。そして一家の者がマルティーヌを殺害したと思わせるため、エマに嘘の手紙を書きました。アルバートとハロルドを殺害したのは、エマの遺産の取り分を増やすためです。
クインパーは治療と称してアルバートにだけ致死量のヒ素を与えて殺害。そして一連の事件の罪を着せるため、自殺に見せかけてハロルドも殺したのです。クインパーはミス・マープルまでも手にかけようとしましたが、隠れていたクラドックらに逮捕され連行されていきました。
事件が解決し、ミス・マープルはアカンソープ氏に辞意を伝えました。するとアカンソープ氏は意外なことに、ミス・マープルに求婚します。ミス・マープルは「万が一結婚するとしたら――お相手がおりますの」と言って断りました。
アカンソープ家を出たミス・マープルを車で迎えに来たのはストリンガーです。2人はアレクサンダーがブライダルカー風にした車に乗って去っていきました。アレクサンダーが笑いながら手を振る中、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「ミス・マープル/夜行特急の殺人」のあらすじと結末でした。
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