ミラノ・スカラ座 魅惑の神殿の紹介:2015年イタリア映画。創立以来、イタリア音楽の牽引してきたスカラ座。音楽芸術に捧げられ、たゆまず進化し続けて来たスカラ座の歴史を紐解けば、芸術だけでなく世界の歴史や動向までも見えてくる。
監督:ルカ・ルチーニ 出演:アルトゥーロ・トスカニーニ、クラウディオ・アバド、リッカルド・ムーティ、ダニエル・バレンボイム、リッカルド・シャイー、マリア・カラス、プラシド・ドミンゴ、ルキノ・ヴィスコンティ、ルドルフ・ヌレエフ、ほか
映画「ミラノ・スカラ座 魅惑の神殿」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ミラノ・スカラ座 魅惑の神殿」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ミラノ・スカラ座 魅惑の神殿の予告編 動画
映画「ミラノ・スカラ座 魅惑の神殿」解説
この解説記事には映画「ミラノ・スカラ座 魅惑の神殿」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ミラノ・スカラ座 魅惑の神殿のネタバレあらすじ:起・スカラ座のはじまり
1951年から、12月7日にシーズンを開始するイタリア・ミラノのスカラ座。その歴史は古く、1776年に同じミラノの劇場が消失した二年半後にサンタ・マリア・アラ・スカラ教会の跡地に新しい劇場として建設された。
女帝マリア・テレジアの庇護の元、イタリアの芸術の殿堂として発展していった。オペラをはじめ、オーケストラ、バレエなどその演目は幅広い。また多くの音楽家、歌手、指揮者たちがスカラ座の舞台を作り上げて来た。
パリやベルリン、ウィーンとは違い、首都ではない都市に劇場が存在するというのもスカラ座がミラノ市民との繋がりを強固にしている。
また、桟敷席は市民たちによる議論の場や、賭博などが行われ、そこからスカラ座の興行主になった者もいた。
ミラノ・スカラ座 魅惑の神殿のネタバレあらすじ:承・劇場を支える人々
舞台には欠かせない背景や衣装などが職人たちによって作成される。
またスカラ座のオーケストラは名だたる指揮者が監督を務め、その質の向上をはかり、スカラ座の舞台で演奏すれば失敗はないと言うほど高い質を維持し続けている。そこには、演奏者たちの謙虚な姿勢を垣間見ることができる。
オペラではソリストだけでなく、合唱があり、スカラ座の合唱隊は世界から呼び声がかかるほどに質が高い。海外公演の際はヴェルディの「レクイエム」の公演をするのが、スカラ座の名刺代わりともなっている。
ミラノ・スカラ座 魅惑の神殿のネタバレあらすじ:転・技術の進歩とスカラ座
音楽や芸術面だけでなく、スカラ座は近代技術の発展に大いに貢献している。イタリアの楽譜出版社リコルディは、写譜から始め、後に活版印刷を始め、今ではイタリアの楽譜出版社として名を上げている。
印刷を始めた当初は、スカラ座に眠ったままにされている楽譜を印刷する事から始め、そこへ今度は若手の音楽家たちが楽譜を買ってくれるように持ち込み、大成功を納めた。
エジソンが電球を発明した時も、それが特許を取り大量生産される前に目を付け、発電所作りから始まり、ヨーロッパの劇場ではどこよりも早く電球を使用して劇場を照らした。これは観客たちを驚かせ、次の発電所を作るきっかけにもなった。
ミラノ・スカラ座 魅惑の神殿の結末:スカラ座とミラノ
ヴェルディが死去した時は街をあげて彼を悼むほど、スカラ座の芸術と市民のつながりは深い。それは二次大戦中に連合軍からミラノが爆撃を受けた後、真っ先に復興されたのがスカラ座というとこからも見てとることができる。
そして観客たちの芸術家に敬意を表する姿勢は、歌手たちの最後の舞台となり、若手のデビューの舞台にもなった。
市民たちが学生運動などを行っている時も、スカラ座は12月7日にシーズンの初日を迎える。どんな事があろうとも、この日にシーズンの初日を迎えるのが半世紀以上続く伝統であり、街ぐるみとも言える。
ダンサーやデザイナー、芸術家など若手を育てる学校も併設し、伝統を受け継ぎながらも、新しい試みを常に続けている。
以上、映画「ミラノ・スカラ座 魅惑の神殿」のあらすじと結末でした。
ミラノ・スカラ座 魅惑の神殿のレビュー・考察:変化し続ける劇場
スカラ座の歴史を観れば、絶対王政以降のイタリア音楽の歴史が見えてくると言っても過言ではない。イタリアと言う国がまだ統一される前から存在するスカラ座はヨーロッパ屈指の劇場に数えられ、世界から引く手あまたの劇場でもある。12月7日にシーズン初日を迎えると言う伝統や、古典となった音楽やオペラも上演しながら、素晴らしい舞台を作るためには何ものをも厭わない姿勢や、歌手、合唱隊、楽団、舞台スタッフなど、役割を越えて尊敬し合い、謙虚に努力している姿はとても魅力的だ。
この映画の感想を投稿する