ジュリアン・ポーの涙(別題:愛しのジュリアン)の紹介:1997年アメリカ映画。人生に疲れ旅に出た男性が閉鎖的な田舎町にたどり着き、死に向き合う姿を描いたロマンス作品。ジュリアンは海を見るため、鞄ひとつで1人きりの旅を続けていた。とある田舎町で宿を取ったところ、町の住人達から異様に敵視されてしまう。住人達はジュリアンを犯罪者と邪推し、集団で町に来た理由を問い詰めてきた。ジュリアンは咄嗟に自殺するためだと答えてしまう。すると住人達は急に態度を変え、優しく親切になった。偉大な決断をした人物と持て囃され、引っ込みがつかなくなったジュリアン。そんな折、彼はサラという少女と出会い運命的な恋に落ちる。
監督:アラン・ウェイド 出演者:クリスチャン・スレーター(ジュリアン・ポー)、ロビン・タニー(サラ)、チェリー・ジョーンズ(ルーシー)、フランキー・フェイソン(レオン)、アリソン・ジャネイ(ライラ・リーチ)ほか
映画「ジュリアン・ポーの涙」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ジュリアン・ポーの涙」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ジュリアン・ポーの涙の予告編 動画
映画「ジュリアン・ポーの涙」解説
この解説記事には映画「ジュリアン・ポーの涙」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ジュリアン・ポーの涙のネタバレあらすじ:起・閉鎖的な町
舞台は1990年代のアメリカ。30歳のジュリアン・ポー(クリスチャン・スレーター)は、テープレコーダーに自分の声を録音しながら旅をしていました。「これは海へ旅する話だ」と呟くジュリアン。人生に疲れ果てた彼は鞄ひとつで歩き続け、名前も知らぬ山奥の田舎町に到着しました。
そこで宿を取りますが、滅多によそ者など来ない閉鎖的な町の住民からは異様に警戒されてしまいます。住人達はジュリアンを犯罪者だと決めつけ、麻薬のディーラー、テロリスト、殺人鬼と勝手に噂を広めていきます。
町にいる間のジュリアンの行動は、保安官のレオン(フランキー・フェイソン)が逐一見張ることになりました。ジュリアンが町を歩けば住人全員に注目され、パトカーが一定距離を保ってついて来ます。
レストランに入ると住人達に取り囲まれ、何をしに町へ来たのかと詰問されました。ジュリアンはたまたま立ち寄っただけだと弁明しますが信じて貰えません。誰を殺すつもりだと迫られたジュリアンは、咄嗟に「僕自身だ」と言ってしまいました。ジュリアンは自殺するためにこの町に来たと呟き、レストランを後にします。
ところがその後、あれほど警戒していた住人達は手のひらを返したように親切になりました。自殺する理由を聞かれても、ジュリアンは説明出来ないとだけ答えます。それが住人達の好奇心にますます火をつけました。
ジュリアン・ポーの涙のネタバレあらすじ:承・サラとの出会い
住人達はあの手この手でジュリアンの世話を焼こうとします。食事に誘ったり、プレゼントを贈ったり、後ろをぞろぞろとついて来たり。困り果てたジュリアンが宿に戻って窓の外を見ると、住人達はまだ屯していました。ジュリアンが今日は自殺しないと叫ぶと、住人達はがっかりした様子で「明日こそかな」と言いながら解散します。
その翌日、ジュリアンの部屋を町の住人である少女サラ(ロビン・タニー)が訪ねて来ました。彼女はジュリアンの夢を見たと言い、突然ベッドに押し倒してキスをします。少々変わっているこの夢のように美しい少女に、ジュリアンはすっかり心を奪われてしまいました。
翌日以降も住人達の態度は相変わらずです。ジュリアンは無料で調髪して貰ったり、高級なスーツをプレゼントされたりしました。閉鎖的で退屈な田舎町で暮らす住人達にとって、ジュリアンの自殺は降って湧いたような刺激的なイベントです。
彼らは死に向かうジュリアンを尊敬すると口にしながら、特に引きとめようとはしません。そればかりか、ジュリアンの自殺の瞬間を目撃しようといつも注目していました。
ジュリアン・ポーの涙のネタバレあらすじ:転・異様な空気
サラは幼い頃、父親を自殺で亡くしたそうです。彼女はジュリアンを部屋に招き、彼のために去年編んだというセーターを渡しました。不思議なことにサイズもぴったりです。サラは服を脱いでベッドに誘い、ジュリアンもそれに従いました。女性に初めて愛されたジュリアンは強い幸福を感じます。
そんなジュリアンを、優しい目で見守っている女性がいました。宿屋の主人の妹で、聴覚障害を抱えるルーシー(チェリー・ジョーンズ)です。言葉も話せない彼女だけは、ジュリアンを気遣わしげに見ていました。
ジュリアンは偉大な決断をした人物として、住人達から勝手に崇拝されるようになっていました。町の至る所で人生相談を持ちかけられたジュリアンは、人生は短いのだから好きに生きれば良いと半ば自棄になって答えます。パン屋になりたいレオンの妻。神を信じられない牧師。俳優を夢見る若者。ジュリアンは彼らとの会話で、考えるより行動しろとアドバイスをします。
すると彼らは真理を見つけたかのように、迷いを捨てて新たな道を歩き始めました。住人達はジュリアンを尊敬する一方で、彼がいつ自殺するかを賭けて楽しんでいます。住人の異常性を感じるジュリアンは、サラを連れて町を出ようと考えました。
ジュリアン・ポーの涙の結末:サラの死
サラの部屋を訪ねたジュリアン。彼女はロウソクに囲まれたベッドの上で涙を流していました。ジュリアンはサラを優しく慰め、切なく求め合います。
翌朝、目を覚ますとサラの姿はありませんでした。残されていた置き手紙を読んだジュリアンは、急いで家を飛び出し橋の上に向かいます。橋の欄干にはサラの服が結んでありました。彼女は自殺してしまったのです。サラは先に自殺することでジュリアンへの愛を証明しようとしました。
ジュリアンは深く絶望し、部屋で1人項垂れます。そこへ険しい顔をした町長やレオン達がやって来ました。彼らは何故自殺しないのか?とジュリアンに問い、早く決行しろと言い出します。サラを喪い、追い詰められたジュリアンは明日自殺すると答えました。
翌日。迎えに来た町長達に伴われ、ジュリアンは命を断つ旅へ向かいます。ルーシーはジュリアンの部屋を掃除し、荷物を整理しました。彼女が抱きしめるテープレコーダーからは、「再び海に向かう」とジュリアンの声が流れています。しかしそれはルーシーには聞こえず、誰の耳にも届きません。ルーシーが1人悲しみに顔を曇らせる中、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「ジュリアン・ポーの涙」のあらすじと結末でした。
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