刑事(別題:ピエトロ・ジェルミ 刑事)の紹介:1959年イタリア映画。ローマで白昼に起きた強盗事件、刑事たちが捜査を始める。事件は人々の人生の歯車を狂わせ、彼らの隠された日常を白日の下にさらしていく。『鉄道員』のピエトロ・ジェルミが捜査を指揮する警部を演じる。クラウディア・カルディナーレにとって最初の重要な出演作となった。アリダ・ケッリの歌う主題歌「死ぬほど愛して」も忘れ難い。
監督:ピエトロ・ジェルミ 出演者:ピエトロ・ジェルミ(イングラヴァーロ警部)、クラウディア・カルディナーレ(アスンティナ・ヤコヴァッチ)、ニーノ・カステルヌオーヴォ(ディオメーデ・ランチャーニ)、エレオノラ・ロッシ=ドラゴ(リリアナ・バンドウチ)、フランコ・ファブリッツィ(マッシモ・ヴァルダレナ)ほか
映画「刑事」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「刑事」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「刑事」解説
この解説記事には映画「刑事」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
刑事のネタバレあらすじ:起
ある朝、そばに噴水があり比較的裕福な住人が住む、ローマの古いアパートに強盗が入った。一人暮らしの男アンザローニの悲鳴を聞いてアパートの他の住人が警察に通報。「泥棒!」という叫びを聞いて集まる群衆の間を駆け抜けて犯人は逃げていった。
イングラヴァーロ警部、サーロ刑事、オレステ刑事ら捜査陣はまず、アンザローニと隣のバンドウチ家の家政婦をしているアスンティナとその婚約者で電気工のディオメーデを疑う。無実を強く訴えるアスンティナ。彼女のいないところでディオメーデはイングラヴァーロ警部にアリバイを語る。彼は犯行時間にアメリカ人の中年女のお相手をして小遣いをかせいでいたのだ。警部はアスンティナに「あの男は君に値しない」と言って、帰すのだった。
被害者アンザローニは大騒ぎになったのを困っている様子。たいしたものは盗まれていない、犯人は知らない男だと言い、捜査に協力的ではない。自分のいかがわしい交友関係を知られたくないのだ。
翌朝9時、アンザローニが前夜に警察を出てから立ち寄った店にたむろする青年たちを、警察に集めて面通しをしようとするが、アンザローニは警察に出頭せず、警部がアパートに行っても警察に来ることを拒む。
警部はしかたなく、前夜婚約者について厳しいことを言ってしまったアスンティナを心配して、隣のバンドウチ家に行く。しかしアスンティナはいない。そこで、子供がいない代わりに、子供の時にもらった人形を大切にしている若く美しく裕福だが悲しげなバンドウチ夫人の生活をかいま見ることになる
刑事のネタバレあらすじ:承
強盗事件から一週間後の雨の日、バンドウチ夫人の惨殺死体を、いとこで医者のヴァルダレナが発見する。ヴァルダレナに夫人は金を援助していて、その金を取りに来て死体を発見したのだ。
夫人の死体が運び出されるのに階下で出くわしたアスンティナは失神する。その日アスンティナの結婚準備のために二人で教会に行き、夫人が先に帰ったのだった。イングラヴァーロ警部たちは、ヴァルダレナと、旅行中だった夫のバンドウチ氏を容疑者として疑う。
関係者を集め、死の一週間前に一部書きかられたバンドウチ夫人の遺言状を公証人が開く。ディオメーデと結婚したアスンティナ、彼女の前の二人の家政婦、ヴァルダレナ、コルピ神父らには巨額の遺産が分けられ、一銭も残されなかった夫は不当だと訴える。彼に張り付いていた刑事が、銀行から300万リラの大金を下ろすのを見る。何のための大金か?サーロ刑事はバンドウチがヴァルダレナを使って妻を殺させたと考えるが…。
刑事のネタバレあらすじ:転
アンザローニから盗まれたトパーズの指輪を、ヴァルダレナの勤める診療所の客、カミーラがもっていたことで、殺人事件の捜査も進展するかと思われた。しかし、カミーラに指輪をプレゼントした運び屋レタッリが逮捕され、彼の自白から貴金属窃盗団が摘発されるが、彼らとヴァルダレナにつながりはなかった。
イングラヴァーロ警部はバンドウチを事件のあった自宅で問いただす。彼は何かを隠し、誰かを恐れている。警察はバンドウチがホテルに置いていた荷物を調べる。すると手帳に謎の数字が見出される。警部はそれがレンタカーの走行距離計の数字であると見当をつける。確かにバンドウチは自動車を借りて1日150キロずつ走らせていた。
事件続きで恋人のパオラと電話で話すこともままならない警部に、ローマから片道75キロという距離がピンとくる。警部も借りたことのあるコテージで、バンドウチも女と会っていたことがわかる。
コルピ神父からイングラヴァーロ警部に電話がある。見張りの目をかいくぐって逃亡したバンドウチが告白したいことがあると言う。警部たちが神父を訪れバンドウチの告白を聴く。バンドウチはヴェルジニアという若い家政婦と、でき心で関係をもってしまった。それ以来、ヴェルジニアはバンドウチを誘惑し続ける。二人の関係が妻にばれて、バンドウチはヴェルジニアを家から遠ざけたが、関係を断つことができなかった。ヴェルジニアに今度こそ別れると言うと、彼女は手首を切り、ヴァルダレナに診せるはめになる。口止め料に300万リラを用意したが、「あんたと奥さんを殺して私も自殺する」と叫んだヴェルジニアを、バンドウチは恐れていた。
刑事の結末
警部たちがヴェルジニアの家に行くと、彼女の寝室のベッドの上にヴァルダレナがいた。ヴァルダレナはヴェルジニアに、バンドウチが妻を殺したと信じさせて彼女にバンドウチを告発する手紙を警察に書かせていたことがわかる。
ヴァルダレナを逮捕するが、彼が真犯人である証拠はない。警部はバンドウチ家の鍵とアスンティナのもっていた合い鍵を見比べて、捜査の見落としに気付く。警部たちはアスンティナの家に行き、帰宅したディオメーデを逮捕する。
ディオメーデは「バンドウチ夫人の財布から自分が盗んだ鍵で合鍵を作った、アスンティナは無関係だ」と主張する。家が留守なのを知っていて盗みに入ったが、早く帰宅したバンドウチ夫人が叫んだために怖くなり、彼女を殺してしまったことを告白する。そして結局何も盗まなかった。
結婚前にこのことをアスンティナに教えたが、彼女は「この罪を二人で一生背負っていきましょう」と言ったと言う。アスンティナは逮捕された夫を運んでいく自動車を追いかけ、夫の名を叫ぶのだった。
以上、映画「刑事」のあらすじと結末でした。
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