星降る夜のリストランテの紹介:2000年イタリア,フランス映画。小さなレストランを訪れる客と従業員の悲喜交々を、ユーモラスに描くドラマ作品。安くて美味いレストラン「アルトゥーロの店」には、今夜も様々な客が足を運んでいた。教授と教え子の不倫カップル、険悪な様子の親子、娘の進路を気にする母親。厨房には怒りっぽいシェフの怒鳴り声が響き、軽薄な若いウェイターに年老いた先輩ウェイターが眉をひそめる。彼らをもてなし、まとめるのは夫に代わって店を切り盛りする女主人。彼らを取り巻く様々な事情が、食事の席で浮き彫りになっていく。
監督:エットレ・スコーラ 出演者:ファニー・アルダン(フローラ)、ヴィットリオ・ガスマン(ペズッロ先生)、ジャンカルロ・ジャンニーニ(ジュリオ)、マリー・ジラン(チェチリア)、ステファニア・サンドレッリ(イザベラ)ほか
映画「星降る夜のリストランテ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「星降る夜のリストランテ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
星降る夜のリストランテの予告編 動画
映画「星降る夜のリストランテ」解説
この解説記事には映画「星降る夜のリストランテ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
星降る夜のリストランテのネタバレあらすじ:起・賑やかな夜
舞台はイタリア、ローマ。開店準備を急ぐレストラン「アルトゥーロの店」では、美しい女主人フローラがスタッフに声をかけて回っていました。夫アルトゥーロが病気療養中のため、現在はフローラが店を切り盛りしています。厨房には怒りっぽいシェフの怒鳴り声が響き、年老いたベテランウェイターのディオメデが若いウェイターのウリアーノに苛立っていました。
開店してすぐにやって来たのは、常連の老詩人ペズッロ先生です。予約客がひっきりなしに訪れ、店はすぐに混雑し始めました。
客のアレッサンドラとその父親は、険悪な様子で席に着きます。彼女は母と別れてすぐに再婚した放任主義の父親に反感を抱いていました。
1人で席に着いていた女性客ローラのもとには次々男性がやって来ます。皆彼女のボーイフレンドで、ローラは今後のことを皆で話し合おうと考えていました。
派手な服装と化粧のイザベラは、娘と久しぶりに会っています。娘はイザベラとは正反対に質素な格好で、寄宿学校に籍を置いていました。恋人はいるのか、19歳にもなってまだ処女なのかと大声で尋ねるイザベラに、娘は閉口してしまいます。
哲学者のジュリオが若い教え子チェチリアを伴って来店しました。2人は不倫関係にあり、熱を上げるチェチリアにジュリオは困惑気味です。
その内に、フローラの姪シモーナがやって来ました。誕生日を迎えた彼女は、店で友人達と祝いの席を設ける予定です。
魔術師を自称するアダモがフロアで勝手に名刺を配り始めました。冴えない男性客エルネストが、彼の能力に興味を持ち一緒に語らいます。
星降る夜のリストランテのネタバレあらすじ:承・十人十色の食卓
チェチリアはジュリオと結ばれることを夢見ていました。そして彼の妻に宛てて書いた、凄まじい長さの手紙を音読し始めます。
イザベラの娘は、意を決して修行尼になりたいと明かしました。イザベラは衝撃を受け、狼狽えたり怒ったりして猛反対します。元夫に電話をかけて進路を変えさせようとしますが、娘の決意は変わりませんでした。
アレッサンドラ達のテーブルには、彼女の弟フランチェスコが遅れてやって来ました。気まずい雰囲気だったテーブルですが、陽気なフランチェスコが現れたことで少しだけ和やかになります。
長い長い手紙を読み終えたチェチリアの隣で、ジュリオは頭を抱えていました。彼はチェチリアを幻滅させるため、彼女が心酔している持論と真逆のことを喚き散らします。チェチリアはあまりのショックに絶句し、逃げるように店を出て行ってしまいました。
厨房では、ディオメデがフローラに苦言を呈しています。フローラが公然とウリアーノを甘やかすのは、2人が特別な関係にあるからだと考えたのです。ディオメデはアルトゥーロの親友なので、病気の彼のことを考えてやって欲しいと訴えました。フローラは事実無根だと怒り出します。
星降る夜のリストランテのネタバレあらすじ:転・フローラの苦悩
アダモとエルネストは、熱心に超常エネルギーについて語り合っていました。アダモは自分に能力など無いと分かっていますが、エルネストは興奮しきりです。アダモが念を送ると、その通りにエルネストが操られたり、ウリアーノが派手に転んだりしました。
そんな2人のことは気にもとめず、ペズッロは電話に出るフローラを見ています。フローラは困り果てた様子で、浮かない顔をしていました。ペズッロは彼女に近付き、新しい幸福を求めているのかと問います。その内に、シモーナの母親でフローラの妹マリーナがやって来ました。
娘の誕生日すらろくに祝っていない彼女は、自己嫌悪に沈んでいます。幼い頃から誰にでも愛されたフローラに対し、マリーナは強烈な劣等感を抱いていました。恋人が会ったこともないフローラに心変わりをしたと勘違いするほどです。フローラは不意に苦しい胸の内を吐露しました。
彼女にはアルトゥーロ以外に愛する男性がいるのです。1年ほど前に出会ったベラルドという男性と、火遊び感覚でデートを重ねていたフローラ。しかしベラルドがフローラに本気になってしまい、一緒に外国へ行こうと言い出したのです。ベラルドが出発するのは明日。フローラは本気で愛していないと言いつつも、ベラルドに強く惹かれていました。
星降る夜のリストランテの結末:夜更けの群像劇
イザベラは娘の進路に打ちひしがれていました。娘は列車の時間だと言って立ち上がり、イザベラにキスをして店を出ていきます。アダモとエルネストは空中浮揚に挑戦し、見事成功。それを離れたテーブルに座る日本人一家(※正確には韓国人)の息子が写真に収めていました。
シモーナの誕生日ケーキが登場し、店は祝福に包まれます。切り分けたケーキを客に振舞うフローラは、泣いているイザベラの席に座りました。そして絆を育むには時間が必要だと優しく励まします。
ペズッロはジュリオに近付き、チェチリアの前で見せたのは演技だったのだろうと言いました。ジュリオは確かに演技だったけれど、本心でもあると答えます。
ローラとボーイフレンド達が店の外に出ると、彼女の夫が待っていました。夫のもとに駆け寄るフローラ。ボーイフレンド達は、色々な解決のために話し合おうと言葉を交わします。
アレッサンドラと父親は、握手をして穏やかに別れました。
エルネストはアダモを家に誘います。2人は1本のほうきに跨り、空を飛ぶイメージをしながら走り去っていきました。
フローラにベラルドから電話がかかって来ます。しかしフローラは、その電話に出ないことを選択しました。
厨房ではスタッフがまかない食を囲んでいました。またウリアーノが原因で喧嘩が起こります。彼は、客の前では陽気に振舞っているけれど、自分は1人だと肩を落としました。フローラは常連客とカードゲームに興じ始めます。
家族と店を出た少年が空を見上げると、いっぱいの星が輝いていました。少年の目にはほうきで星空を飛ぶアダモ達の姿が見えます。星が静かに瞬く中、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「星降る夜のリストランテ」のあらすじと結末でした。
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