東ベルリンから来た女の紹介:2012年ドイツ映画。東ベルリンから転勤してきたバルバラは秘密警察から監視されていた。恋人ヨルクは彼女を西側の国に出国させようとするが、バルバラが下した決断は?
監督:クリスティアン・ペッツォルト 出演:ニーナ・ホス(バルバラ)、ロナルト・ツェアフェルト(アンドレ)、ライナー・ボック(シュッツ)、ヤスナ・フリッツィ・バウアー(ステラ)、マルク・ヴァシュケ(ヨルク)ほか
映画「東ベルリンから来た女」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「東ベルリンから来た女」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「東ベルリンから来た女」解説
この解説記事には映画「東ベルリンから来た女」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
東ベルリンから来た女のネタバレあらすじ:東ベルリンから転勤してきたバルバラは曰くつき?
地方の小児病院にやって来たバルバラは、同僚たちとは馴染もうとしない。バスで通勤する彼女を車でライザー医師が送ると彼女はパンクしていた自転車を治し自転車通勤を始めた。病院に作業所から脱走した少女が運び込まれた。彼女は6日間森の中にいたせいで髄膜炎を起こしていた。バルバラは番号で呼ばれる彼女をステラという名前で呼び、治療を始めた。バルバラは、西ドイツにいる恋人から、出国するための資金を住んでいる町からは離れた場所で秘密裏に受け取っていた。そこには恋人と会う場所の指示が書いてあり、それを読むと列車の窓から破って捨てた。バルバラが道の端にある十字架の下にお金を隠し帰宅すると、突然車に前をふさがれ、遠出したのか聞かれ、家捜しをされた。バルバラは秘密警察の監視対象だった。病院では、ステラが彼女以外の治療を拒んでいて、ライザー医師は血清を投与できずにいた。バルバラを呼びだし、彼は血清を作る過程で、妊娠しているとわかったと相談した。妊娠が本当なら堕胎をしなければいけないと言う彼女に、ライザーは研究設備を使っていいと言って、バルバラにステラの血を顕微鏡で見せた。地方にいるのは人を監視するためなのかとバルバラが問うと、医者になれたのは労働者と農民のおかげだと答えた。そして、デン・ハーグにレンブラントを見に行きたいと研究室にかけられたレンブラントの解剖の絵を指した。
東ベルリンから来た女のネタバレあらすじ:西の恋人との逢引き
指示通り森で恋人と逢引するバルバラ。彼は、彼女に西側の煙草などを差し入れた。その帰り、乗ってきたはずの自転車がパンクさせられているので引いて病院へ夜勤をしに行く。ステラに寝物語を聞かせていると、彼女は作業所に戻りたくない、赤ちゃんが出来たが堕胎する気は無い、作業所のあるトルガウから、この国から逃げたいとバルバラに打ち明ける。バルバラはライザー医師がかつてニュージーランド製の未熟児用保育器で英語の説明書を読んだにもかかわらず、華氏と摂氏を間違え赤ん坊の鼓膜と光りを奪ってしまったこと、そして、その事故をもみ消す代わりにベルリンの病院への出世コースからはずれ地方の病院に勤務し、危険分子をみなされる人物がいれば報告する役目を負っていると告白した。バルバラは、彼の役割を知りながらも、作業所とは名ばかりの抹殺場所トルガウからステラを助けてられないかと持ちかけた。退院は三日だけ延ばされたが、期日が来ると人民警察によって、ステラは作業所に連行された。バルバラが西への密出国をしようと十字架の下に隠したお金をストーブの管に隠しているとライザー医師が頼んだらしい調律師がやってくる。危険分子の監視をしている彼の役目を知っていたバルバラは、調律師を使って調べられるのではないかと思ったが、調律師は仕事だけして帰った。ステラが去ると今度は三階から転落したマリオと言う少年が運び込まれる。自殺未遂の彼は溶剤を飲んでいて、応急措置で洗浄したが、脳挫傷を起こしていて意識が戻らず、手術が必要かも知れない状況だった。バルバラは危険な開頭手術には反対だった。ライザーは車ではなく自転車通勤に変えていて、バルバラと自転車で帰った。彼は海沿いの道のサイクリングに誘ったがバルバラは断った。
東ベルリンから来た女のネタバレあらすじ:西側への密出国計画
バルバラは恋人がいるモーテルを訪れる。すると恋人は、東で暮らそう、東を選んだ人もいると言った。そして、西へ行けば君は眠れる、自分の稼ぎだけで十分暮らせる言い、今週の土曜にデンマークに密航する予定を立てた。ステラがどぶさらいをしていると、落下傘が下りてくる。それを見ていた監視官の目を盗んで、ステラはその場から逃げ出し行方をくらました。バルバラの家宅捜索も執拗に続けられた。病院ではライザーが意識の戻ったマリオに昨日の献立など、記憶に関する問診をし、結果と国以上は見つからなかった。 そこでバルバラは夜勤をするから週末や済ませて欲しいと頼んだ。ライザーは快諾したが、マリオの経過の良さに嫌な予感がすると言った。夜勤をしていたバルバラはマリオの元を恋人のアンジーが訪ねているのを見かけた。彼女に話を聞くと、マリオはアンジーが他の男と踊っていたことを怒るのではなく、献立を言い始めた普通じゃ無いと悲しんでいた。バルバラは、マリオにアンジーを呼ぶかと聞くと、明日の献立を聞かれ、今しがた訪れた恋人の記憶がマリオに抜けていると気がついた。
東ベルリンから来た女の結末:秘密警察と繋がっていた同僚
ライザー医師を電話で呼ぼうとしてもだめなので、家を訪れると、別のところに言っているといわれ、訪ねると、秘密警察の末期がんの妻の往診をしていた。バルバラの家を家宅捜索する秘密警察とライザーは繋がっていた。バルバラはライザーにマリオが恋人が来た事を覚えていないと知らせると、すぐに頭部の診察をし血栓を見つけ、開頭手術をしないといけないと言って、バルバラに頼んだ。手術日は密出国を予定している日だった。ライザーはバルバラにあくまで好意を寄せていた。調律師もその一環だった。彼は彼女を自宅での昼食に誘い、キスを交わしたが、バルバラはやっぱりダメだと出国を諦められなかった。そんなバルバラの家へボロボロになったステラが訪れる。マリオの手術当日、病院ではライザーが待っているが一行にバルバラは現れない。その夜、バルバラは自転車にステラを乗せて、海の約束をした場所へ行き。書き物をしながら待つ迎えを待った。ライザーがバルバラの家を訪れるとそこはそこはもぬけの殻で役人がやってきて、もう戻らなとだけ言った。逮捕されたのか?という質問には答えて貰えずライザーは家に帰された。一方、海から迎えに来た一人用の浮きに、バルバラは自分ではなくステラを乗せて逃れ逃れさせ、自分は残ることを選んだ。そしてマリオを見舞うバルバラにライザーはほっとした。
東ベルリンから来た女のネタバレあらすじ:暗示される西側と東側。
この作品の中で、共産主義の東、資本主義の西と言う事はあからさまには明示されない。西の象徴は、バルバラの恋人の乗っている真新しいベンツ、彼が差し入れてくれる煙草や日用品、モーテルで西への移住を希望する他の女性と見た宝飾品のカタログ。東の象徴は秘密警察や作業所、およそ近代的とは言えない病院の研究室、保育器の英語の説明書を読む苦労などがあげられる。しかし、モーテルの密会時、西へ行けば十分に眠れると言う恋人の言葉に、顔を曇らせると言うシーンがある。バルバラとしては確かに西は自由だろうし医師として働くには設備も十分揃っているだろうと思っていた所へ、まるで西へ行けばバルバラは働かなくていいと言っているように取れる。医師としてプライドのあるだろう彼女は大いに傷ついただろう。このシーンは資本主義社会の男女観・職業観への問題提起のようにも見える。
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