キューリー夫人の紹介:1943年アメリカ映画。ウランからのラジウム分離に世界で初めて成功した女性物理学者、キュリー夫人の半生記。女性であることが研究者として多くのハンディキャップを負っていた時代に、見事ノーベル物理学賞に輝いたキュリー夫人。実験器具ひとつない粗末な小屋からはじまった研究は、夫ピエールの支えなくしては到達できないものでした。その後も、莫大な価値をもつ特許権を放棄して、類いまれな英知を世に知らしめます。
監督: マービン・ルロイ 出演:グリア・ガースン(マリー・キュリー)、ウォルター・ピジョン(ピエール・キュリー)、ヘンリー・トラヴァース(ピエールの父)、アルベルト・バッサーマン(ペロー教授)、メイ・ウィッティ(ピエールの母)、マーガレット・オブライエン(キュリー夫妻の長女)ほか
映画「キューリー夫人」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「キューリー夫人」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
キューリー夫人の予告編 動画
映画「キューリー夫人」解説
この解説記事には映画「キューリー夫人」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
キューリー夫人のネタバレあらすじ:起
学芸・文化に誇りある歴史を持つ都パリ。マリー・スクロドフスカ(グリア・ガースン)は、ポーランドからフランスのソルボンヌ大学へ留学しています。
1890年のことでした。講義の最中、彼女はめまいを起こして倒れてしまいます。医務室へ運ばれたマリーを見舞ったのは物理学者のペロー教授(アルベルト・バッサーマン)です。教授はすぐに、マリーを近くのレストランへ連れて行きました。食欲旺盛なマリーを見て教授はほほ笑みます。マリーは空腹のあまり気を失ったのでした。
マリーは、その日の食事にも事欠く貧乏学生です。にもかかわらず、数学と物理では目を瞠る成績をおさめていました。目を細めるペロー教授は、彼女にアルバイトの口を紹介します。「磁気」の研究結果をまとめる仕事でしたが、あいにく実験に必要な部屋がマリーにありません。思案の末、教授は、知り合いのキュリー教授を頼ることにします。
ピエール・キュリー(ウォルター・ピジョン)は、若くして教授の職に就く物理学者です。しかし彼はその職業の人らしく、社交的ではありません。ペロー教授の紹介する生徒が女性だとわかると、なお彼は愕然とします。まさか自分の実験室へ、この世で最も苦手とする生き物、「女性」が出入りすることになるとは、思ってもみなかったのです。
キューリー夫人のネタバレあらすじ:承
ピエール・キュリー教授は、しかし真摯に研究に打ちこむマリーを見て、考え方を改めます。そしてさらに、未知の世界へ踏みこむ際の彼女の大胆な思索を介して、有望な科学者の萌芽を見ます。マリーに対する思いは、親近感から信頼へ、やがて尊敬へと変わり、無くてならない存在として、唯一無二の女性へと変遷してゆきました。
大学を首席で卒業したマリーがいよいよポーランドへ帰国する日、キュリー教授は居ても立ってもいられません。彼女をひき止めたい。しかし理由を口にすることを躊躇っています。マリーの意志は固く、彼女は郷里の高校教師になる決意でいます。教授はマリーの前に立ちはだかります。「教師の代わりはいくらでもいる。しかし僕の伴侶は・・」。
結婚式を挙げるとすぐにキュリー夫妻は共同研究をはじめます。物質界でまだ知られていない元素の存在にマリーが気づくと、ピエールはすかさず研究に必要な予算を大学へ申請します。しかし相手にされません。自費ではじめたふたりの研究は、粗末な小屋を借りた劣悪な環境下でしたが、4年後ついに世界に寄与するラジウムの抽出に成功します。
キューリー夫人のネタバレあらすじ:転
世紀の発見は、フランスのみならず全世界に轟きます。パリへ各国の記者が集まり、慣れぬ対応に夫妻は休むいとまがありません。長年没頭した研究よりもさらに過酷な取材攻勢にキュリー夫妻は疲弊します。地道な市民生活を心がける科学者夫婦がはじめて経験した「心ここにあらず」の状態です。
キュリー夫妻は、ふたりの子どもに恵まれます。長女のエリーヌ(マーガレット・オブライエン)と次女エーヴ。夫妻は、わが子に心を寄せ、忙しい合間にも子育てに余念がありません。多忙な日を縫う朝、ピエールは、授賞式のイブニングドレスを試着する妻の姿に“何か”足りないと気づきます。その“何か”。装飾品の名まえが彼の頭に浮かびません。
授業を終えたピエールは宝石店へ向かいます。豪華に陳列された宝飾品の中から、彼は妻のドレスに足りない“何か”を見つけます。その宝飾品の名まえは「イヤリング」。彼は妻が着ていた深紅のドレスに似合う、妻の顔かたちに似合う品を見つけ、妻に贈るはじめての宝飾品、「イヤリング」を購入します。
キューリー夫人の結末
勤めを終えた人たちの行き交いで街は混み合っていました。ピエールは、混雑する車道を渡りかけました。そこへ荷車を牽いた2頭立ての馬車が横切ってきます。ピエールは最初の馬を避けましたが、馬と馬にはさまれ、動きを失います。逃げ場を失くしたピエールは荷車に巻きこまれてしまいました。1906年、パリの路上でピエールは即死します。
ピエール・キュリーは生前、マリーに語っていました。「どちらが先に逝っても、研究はかならず継続しよう」。しかし深い悲しみの底からマリーは立ち上がれません。恩師のペロー教授は、何かきっかけを与えようと苦心します。「前へ進め、もっと多くの偉業を成し遂げろ」。ピロー教授の声はマリーの耳に届きますが、声に頷く力が湧いてきません。
しかしマリーは悲しみを乗り越えます。研究者であった夫は、幸いにも膨大な数のメモを残しました。マリーは“共同研究”を再開します。ラジウム発見から25年、彼女はいまも、亡き夫ピエールと共にいます。「皆さんも真理を求めてください」「古い観念にとらわれず、新しい知識の扉を開けてください」。今も風化しないキュリー夫妻からの伝言です。
以上、映画「キューリー夫人」のあらすじと結末でした。
「キューリー夫人」感想・レビュー
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キュリー夫妻は、ふたりの子どもに恵まれます。長女のエリーヌ(マーガレット・オブライエン)と次女エーヴ。夫妻は、わが子に心を寄せ、忙しい合間にも子育てに余念がありません。多忙な日を縫う朝、ピエールは、授賞式のイブニングドレスを試着する妻の姿に“何か”足りないと気づきます。その“何か”。装飾品の名まえが彼の頭に浮かびません。
学芸・文化に誇りある歴史を持つ都パリ。マリー・スクロドフスカ(グリア・マリーは、その日の食事にも事欠く貧乏学生です。にもかかわらず、数学と物理では目を瞠る成績をおさめていました。目を細めるペロー教授は、彼女にアルバイトの口を紹介します。「磁気」の研究結果をまとめる仕事でしたが、あいにく実験に必要な部屋がマリーにありませんガースン)は、ポーランドからフランスのソルボンヌ大学へ留学しています。