椿姫の紹介:1921年アメリカ映画。小デュマが創造した『椿姫』が現代を生きたら?パリの高級娼婦と青年の悲恋物語を原作の1840年代から1920年代に時代を移しての映画化。ナジモヴァはロシア帝国に生まれ、ロシアの演劇界やブロードウェイで成功した後、サイレント時代のアメリカ映画で、スターであるのみならず、多分野で映画に関わる。本作でも製作者を兼ねている。マルグリットのアパート等の大胆なセットをデザインしたナターシャ・ランボヴァと結婚することになるヴァレンティノは、この映画の5年後、若すぎる死で女性ファンを悲嘆にくれさせる。
監督:レイ・C・スモールウッド 出演者:アラ・ナジモヴァ(マルグリット・ゴーティエ)、ルドルフ・ヴァレンティノ(アルマン・デュヴァル)、レックス・チェリーマン(ガストン)、アーサー・ホイト(ヴァルヴィル伯爵)、ゼフィ・ティルベリー(プリュダンス)、パッツィ・ルース・ミラー(ニシェット)そのほか
映画「椿姫(1921年)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「椿姫(1921年)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
椿姫の予告編 動画
映画「椿姫(1921年)」解説
この解説記事には映画「椿姫(1921年)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
椿姫のネタバレあらすじ:起
地方からパリに出てきたばかりの若い法科生アルマンは、先にパリに出ていた幼なじみのガストンと観劇に行く。そこでアルマンは、椿の花を身につけ派手な衣装で着飾り、取り巻きの男たちをしたがえた美しいマルグリットへの紹介の労をガストンにとってもらうが、「法律より先に愛を勉強したほうがいいことよ」とマルグリットに小ばかにされる。
しかしガストンと共にマルグリットの豪華なアパートのパーティーに押しかける。ガストンにピアノを弾かせて、それに合わせて歌い踊って見せるマルグリット。
だがその晩、マルグリットを訪れた、布地屋で働いていた時の同僚二シェットに、酔っ払いのガストンがなれなれしくしようとすると、マルグリットは「この娘はあんたにはもったいない」とガストンをしかる。ガストンは我に返って礼儀正しくニシェットの手にキスをする。
実はマルグリットは重い病気にかかっていた。ニシェットが帰った後、窓を開けて雪の吹きすさぶ外の大気に触れたマルグリットは、自室で咳き込む。他の客が騒いでいるとき、アルマンは彼女に、こんな生活はあなたにふさわしくありませんと言う。侍女を除いて初めて彼女の体を心配する人が現れた。
愛人のヴァルヴィル伯爵が、マルグリットが自分を放って若者と部屋で二人きりなのに気づいて腹を立てるが、マルグリットは客たちを追い出し、アルマンが一人残る。
椿姫のネタバレあらすじ:承
マルグリットとアルマンは田舎の家で暮らし、マルグリットの病気は小康を得ていた。
ある日曜日、アルマンはマルグリットへのプレゼントに本をもってきた。その『マノン・レスコー』をアルマンが読む。アメリカに追放されるマノンに恋人が一切を捨てて付き従う物語に、マルグリットは彼女自身の不吉な運命を見る気がする。
その日はガストンとニシェットが二人を訪れる。ガストンは真面目に働き始めていて、ニシェットといずれ結婚すると言う。
椿姫のネタバレあらすじ:転
マルグリットはアルマンには内緒で、友人のプリュダンスをパリから呼び寄せ、彼女の資産の処分を依頼する。高級娼婦の生活を捨てて彼女には収入がなかった。プリュダンスは復縁を希望するヴァルヴィル伯爵からの贈り物を託されていたが、マルグリットは今さら彼の世話になる気はなかった。
そこへ馬車が来る。アルマンが帰宅したかと思ったが、家に入ってきたのはアルマンの父だった。彼は息子と手を切ってほしいとマルグリットに頼む。彼の娘が嫁ごうとしている家がアルマンとマルグリットの関係を問題にしているからだ。
マルグリットは抵抗したが、父に懇願され、アルマンの将来も思ってアルマンと別れることにする。
その夕方、雨が降る中、自動車を呼び、プリュダンスと侍女と共にパリへ向けて旅立つ。タクシーで無人の家に帰ったアルマンは伯爵のカードに記されたマルグリットからのそっけない別れのメッセージを見つけ、伯爵の元に走ったマルグリットを恨む。
椿姫の結末
パリの賭博場。アルマンは、マルグリットにも劣らぬと評判の美女を侍らせて遊んでいる。マルグリットに見せつけてやりたいためだ。ガストンは彼を心配して付き合っている。
偶然、プリュダンスによると自暴自棄な生活を送り病気が悪化しているというマルグリットも、ヴァルヴィル伯爵と共に来店する。アルマンと二人きりになった時、マルグリットはアルマンの愛を受け入れかけるが、アルマンの父との約束を思い出し、アルマンを拒絶する。
怒ったアルマンはその日、ルーレットで大もうけした金を「マルグリットに借りを返す証人になってくれ」と店の客たちに叫んでマルグリットに投げつけて、パリとも永遠にお別れだと言って去って行く。
今日は大晦日。窓の外は雪。ガストンとニシェットの結婚式の日だが、この体では式に行けないわと侍女に言うマルグリット。そこへマルグリットの資産を差し押さえるために3人の男が来る。ヴァルヴィル伯爵と手を切ったために借金がたまっていた。
次々とアパートの中のものに札がつけられるが、ベッドの上のマルグリットは、これだけはだめと思い出の本『マノン・レスコー』を隠そうとする。本にあるアルマンの署名を見て担当者もそれの差し押さえはひかえた。
そのころ田舎でアルマンは「『マノン・レスコー』をのぞいて全財産を処分する。死んだらそれだけはアルマンに返して」と言うマルグリットの作った文書を読み、彼女の本当の気持ちを知ったが、既に遅すぎた。
マルグリットは侍女と、結婚の挨拶に来たガストンとニシェットに見守られながら、アルマンと過ごした春の庭を夢見つつ、息を引き取った。
以上、映画「椿姫」のあらすじと結末でした。
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