燃ゆる女の肖像の紹介:2019年フランス映画。18世紀のフランス・ブルターニュの孤島を舞台に、望まぬ結婚を控える貴族の娘と、彼女の肖像画を描くことになった女性画家との激しく燃ゆる愛を描いたラブストーリーです。本作は世界各国の批評家から絶賛され、カンヌ国際映画祭で脚本賞とクィア・パルム賞を受賞するなど世界各国の映画祭で44もの賞を受賞しています。
監督:セリーヌ・シアマ 出演者:ノエミ・メルラン(マリアンヌ)、アデル・エネル(エロイーズ)、ルアナ・バイラミ(ソフィー)、ヴァレリア・ゴリノ(伯爵夫人)ほか
映画「燃ゆる女の肖像」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「燃ゆる女の肖像」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
燃ゆる女の肖像の予告編 動画
映画「燃ゆる女の肖像」解説
この解説記事には映画「燃ゆる女の肖像」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
燃ゆる女の肖像のネタバレあらすじ:起
18世紀末のフランス。女性画家のマリアンヌ(ノエミ・メルラン)は絵画教室で生徒たちに絵画を教えていました。そのうちの一人から自らの絵画について訊かれたマリアンヌは、自ら描いた「燃ゆる女の肖像」という1枚の絵画に秘められた話を語り始めました…。
…それは数年前、1770年のことです。マリアンヌは小舟に揺られてブルターニュの孤島に辿り着きました。彼女の目的は、島に住む伯爵夫人(ヴァレリア・ゴリノ)の依頼を受け、伯爵夫人の娘であるエロイーズ(アデル・エネル)の肖像画を描くことでした。エロイーズはミラノの貴族との縁談が持ち上がっているのです。
伯爵夫人の屋敷に着いたマリアンヌは、使用人のソフィー(ルアナ・バイラミ)から説明を受けました。元々この縁談はエロイーズの姉に来たものだったのですが、姉が自殺してしまったことから、代わりに修道院に入っていたエロイーズを呼び寄せたのです。しかし、エロイーズは結婚を望んでおらず、これまでの肖像画の話を全て断っていたのです。マリアンヌはエロイーズの特徴を掴むため、画家という身分を隠して伯爵夫人の友人になりすますことにしました。
ひきつぎました。
燃ゆる女の肖像のネタバレあらすじ:承
依頼を引き受けたマリアンヌはエロイーズと共に散歩し、彼女の顔の特徴などを掴んでいきました。そしてマリアンヌはエロイーズのためにピアノでヴィヴァルディの「四季」から「夏」を弾いていた時、この一度だけエロイーズが笑顔を見せてくれたのです。
マリアンヌは肖像画を完成させ、伯爵夫人にこのことを報告しますが、エロイーズに本来の目的を伏せていたことに罪悪感を覚えるマリアンヌはエロイーズにもこの絵を見てもらうことにしました。ところが、この絵が自分の本質を捉えていないと感じ取ったエロイーズはきっぱりとこの絵は似ていないと言い、動揺したマリアンヌはこの絵の顔の部分を消し去ってしまいました。失望した伯爵夫人はマリアンヌを追い出そうとしましたが、エロイーズ自ら絵のモデルになると言い出し、伯爵夫人を驚かせました。
伯爵夫人は所要のため5日間の間イタリア本土に行くことになり、再度チャンスを得たマリアンヌはこの期間中に仕上げることになりました。屋敷にはマリアンヌ・エロイーズ・ソフィーの三人だけが残り、三人は身分の違いを超えて楽しいひと時を過ごしました。三人はギリシャ神話の“オルフェウスとエウリュディケー”の悲話について語り合い、竪琴の詩人オルフェウスが死んだ妻を冥界から連れ戻す際になぜ後ろを振り返ってはいけないという約束を破ったのか議論を交わしました。ソフィーは妻を死なせてしまったオルフェウスに憤り、マリアンヌはオルフェウスは妻よりも詩人であり続けることを選んだのだと解釈しました。エロイーズはオリフェウスが妻を愛していたがゆえに無事を確認するためについ振り向いてしまったのだと解釈しました。
燃ゆる女の肖像のネタバレあらすじ:転
ある夜、マリアンヌとエロイーズは望まぬ妊娠をしたソフィーの中絶に付き添い、その際に島の女性たちが集う焚き木の会に参加しました。いつしかエロイーズと真の友情を深めていったマリアンヌは、いつしか視線をエロイーズに向けるようになっていました。その時、焚き木の火がエロイーズの服に引火してしまい、女性たちはそれに気づかぬエロイーズに駆け寄って消火を試みました。マリアンヌがウェディングドレス姿のエロイーズの幻影を見るようになったのはその時からでした。
ソフィーの中絶は無事に終わり、マリアンヌとエロイーズは洞窟で初めてキスを交わしました。もはや二人の友情は愛へと変わっており、二人はそのまま一夜を共にしました。
遂にエロイーズの肖像画が完成し、エロイーズはこの出来栄えに満足しました。しかし、エロイーズとの別れが近づいていること、エロイーズが他の男のものになることを恐れたマリアンヌはこの絵を消したいと言い出し、エロイーズと口論になりました。やがて和解した二人はせめて互いを忘れぬよう、マリアンヌはエロイーズのポートレートをペンダントに忍ばせ、エロイーズが持っている本の28ページの余白に自身の裸体画を描きました。
翌日、伯爵夫人がイタリアから戻ってきました。それはマリアンヌとエロイーズの別れを意味していました。伯爵夫人やソフィーに別れを告げたマリアンヌが屋敷を出ようとしたその時、エロイーズの「振り返って!」という声が聞こえました。マリアンヌが思わず振り向くと、そこにはマリアンヌが幻影にまで見たウェディングドレス姿のエロイーズの姿がありました…」。
燃ゆる女の肖像の結末
…時は流れ、物語は再び冒頭に戻ります。全てを語り終えたマリアンヌは生徒たちに、実はあの後2回だけエロイーズの姿を見たことを明かしました。
1回目はマリアンヌが絵画展に出展した時でした。当時は女性画家は男性の名を使わなければ絵画を発表できない時代であり、マリアンヌもまた父の名義で出展していました。その中には、マリアンヌがエロイーズやソフィーと語り合ったギリシャ神話のオルフェウスとその妻をモチーフにした絵画もありました。その絵画展にはエロイーズが自分の娘と共に描かれている肖像画があり、絵の中のエロイーズの指先は本の28ページを指し示していました。
マリアンヌが最後にエロイーズの姿を見たのは、とある音楽会でのことでした。マリアンヌの向かいの席にエロイーズが座っていたのですが、彼女は一度もメリアンヌと目を合わせることはありませんでした。それでもオーケストラが二人の思い出の曲であるヴィヴァルディの「四季」の「夏」を奏で始めるとエロイーズの目には涙がにじみ、やがて彼女の表情は微笑みへと変わっていきました。
以上、映画「燃ゆる女の肖像」のあらすじと結末でした。
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