ワン・モア・ライフ!の紹介:2019年イタリア映画。妻と2人の子供を持つ中年男パオロ。家長にして責任感はなく、毎日の楽しみは交差点で信号が全方向赤になったわずかな瞬間にバイクで走り抜ける危ない賭けをすること。その日もいつものように突破を試みた結果、1/4秒のずれでまさかの交通事故に。パオロは予想外の短い寿命に天国に入口で猛抗議した。すると前代未聞の計算ミスが発覚し、92分だけ寿命が延長された。地上に戻ったパオロは残されたわずかな時間を家族と一緒に過ごそうと張り切るが、家族はつれない。最期の時が迫る中、家族の絆を取り戻すために92分一本勝負の人生やり直しを始める。
監督:ダニエーレ・ルケッティ 出演:ピフ(パオロ)、トニー(アガタ)、レナート・カルペンティエーリ(天国の役人)、フランチェスコ・ジャンマルコ(フィリッポ)、ヴィンチェンツォ・フェッレーラ(カルミネ)、フランツ・サント・カンタルーポ(ジュゼッペ)、マンフレディ・パンニッツォ(幼少期のフィリッポ)、アンジェリカ・アッレルッツォ(アウローラ)ほか
映画「ワン・モア・ライフ!」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ワン・モア・ライフ!」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ワンモアライフ!の予告編 動画
映画「ワン・モア・ライフ!」解説
この解説記事には映画「ワン・モア・ライフ!」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ワンモアライフ!のネタバレあらすじ:起
イタリア、シチリア島。パレルモ港でエンジニアとして働くパオロのお楽しみは、交差点で信号が全方向赤になった瞬間にバイクで走り抜けることでした。しかし、ある日いつも通りバイクで突破をすると、1/4秒のずれで同じように赤信号を猛スピードで突っ込んできた大型車に激突され、あっさりと即死してしまいました。
死の瞬間、脳裏によぎるのは美しい走馬灯ではなく、元カノの微妙な一言や、冷蔵庫のライトは扉を閉めたら本当に消えるのか、そして客待ちタクシーの先頭はどこなのかといった些細な疑問ばかり。
気付けばパオロは天国の入り口にいました。
天国の受付は死者で溢れ返りカオス状態。予想外の短命に納得できないパオロは「健康のためにスムージーを飲んでいたのに!しかもジンジャー入りで!」と役人に食ってかかります。すると、前代未聞の計算ミスが発覚。寿命計算システムにスムージーのデータが反映されていないことが分かりました。
しかしそれによって延びた寿命はたった92分。パオロは文句を言う時間も許されず、現世行きのエレベーターへと乗り込みました。
ワンモアライフ!のネタバレあらすじ:承
監視役の役人に付き添われて自宅に戻ったパオロは、午後7時20分にもう一度死ぬ事実は秘密にして、”その瞬間”まで家族と一緒に過ごそうと決意しました。ところが、いつも忙しくすれ違いばかりの妻アガタや2人の子供たちは、突然家族と向かい合おうとするパオロに違和感しかありません。
生前のパオロは、ママ友や仕事関係者などと浮気を繰り返して来ました。アガタにバレても浮気を止めることはありませんでした。家長にして肩身は狭く、特に思春期の娘アウローラは威厳も存在感も全くない父を着信拒否するほどでした。
パオロは過去の日々を思い出しました。
浮気だけではなく、家事もアガタに任せっぱなし。「女に全てを任せるなんて時代錯誤」とアウローラに批判されたかと思えば、「昔の女は男と同じ食卓につくことさえ許されなかった」とさらに引かれる発言をするパオロ。しかし、そんなパオロを「冗談を言ってるのよ」とアガタはフォローするのでした。
ワンモアライフ!のネタバレあらすじ:転
パオロの回顧は続きます。
友人と待ち合わせをする際には、双方の中間地点より相手に近い場所で待ち合わせたら「敗北」。相手により多く移動させることを粘り強く交渉したり、生理用品を忘れたという同僚に「俺だったら数年間分買い溜めしてガレージに置いておく」という謎のアドバイスをしたり、日曜の朝に化粧が崩れたアンニュイな女性の後をつけて、昨晩男に抱かれた女だと妄想したり、思い出されるのは愚かで平凡な出来事や、欠点、卑怯な振る舞い、そして無駄に過ごした時間ばかり。
しかし、よく考えてみれば、人生を形成しているのは、そんな取るに足らない些細な事柄なのです。やはりパオロはアガタと娘アウローラ、息子フィリッポを心から愛していました。
現在に戻り、バールでサッカー中継を観戦している仲間達といたパオロをフィリッポが迎えに来ました。家に戻るとアガタが泣きながら「警察から連絡があった。あなたの遺体確認をしてくれと言われた」と動揺しながら言いました。これにはパオロも正直に話すしかありませんでした。アガタは泣き崩れ、残された時間を家族と共に過ごすことに同意しました。
ワンモアライフ!の結末
ついに残された時間は30分を切りました。
ゲームに夢中になるフィリッポを後ろから抱くパオロ。事情も分からないフィリッポは呆れながらも拒む様子もなくゲームを続けています。
次にパオロはアウローラとの最後の会話をするために、彼女の部屋にいきました。アウローラは友達の家に泊まりに行くためあまり時間がないと塩対応を見せましたが、「ただ一緒にいたい」という父親の真剣な願いに、怪訝な表情をしつつ同意しました。アウローラが幼い頃にパオロと遊びたくても忙しいからと断られていた人生ゲームをやりました。しかし、途中でアウローラの出かける時間になり終了。娘との最後の会話が終わってしまいました。
再びアガタと抱き合い、最後の1秒までキスを交わし別れを惜しみました。天国の役人が現れて、2人を引き離します。ついに発つ時間が来ました。
役人をバイクの後ろに乗せ、再び事故現場に向かったパオロ。全ての信号が赤になり、パオロは衝撃を覚悟し交差点へ突っ込みました。役人は恐怖のあまり目を閉じて悲鳴をあげました。
ところが、わずかなタイミングで事故にならず交差点を突破したパオロは訳が分からずバイクを止めました。役人の誤算でパオロは助かったのでした。天国行きは見送りとなりました。
家に戻るとアガタが涙ながらに出迎えてくれました。アウローラも友達と喧嘩して帰ってきました。やっと家族全員で過ごす時間を持つことができ、これまで以上に幸せを噛み締めるパオロでした。
以上、映画「ワン・モア・ライフ!」のあらすじと結末でした。
ネタバレになってしまうかもしれませんが、回想シーンのひとつに、「女性に肩車されるシーン」があって、肩車をされている男性が突然子供に変わりました。
あの女性は、映画の中に多数登場する男性の元カノや遊び相手のひとりではなく、母親で、その女性と一緒にいた男性が育ての父親候補もしくは彼氏だった、ということだったと考えると、主人公の男性の生い立ちが男性の成人になってからの恋愛観に影響していたのかな、と感じました。
家族愛だけにとどまらず、人生を振り返ったときに、自分の言動が違えばなにか他者との関係が変わったかのもしれない、と考えさせられる映画でした。