マーシュランドの紹介:2014年スペイン映画。スペインの映画賞である「ゴヤ賞」で、最多の10部門で受賞した数々の映画賞を受賞した注目作。フランコ独裁体制がまだ残る1980年を舞台に、とある姉妹の失踪・惨殺事件の真相に2人の刑事が迫っていくミステリー作。
監督: アルベルト・ロドリゲスパスカル 出演: ラウール・アレバロ(刑事ペドロ)、ハビエル・グティエレス(刑事フアン)、アントニオ・デ・ラ・トーレ(被害者の父ロドリゴ)、ネレア・バロス(被害者の母ロシオ)、ヘスス・カストロ(キニ)、ヘスス・カロサ(ミゲル)、アルベルト・ゴンサレス(コラレス)、アナ・トメノ(マリーナ)ほか
映画「マーシュランド」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「マーシュランド」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「マーシュランド」解説
この解説記事には映画「マーシュランド」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
マーシュランドのネタバレあらすじ:姉妹の失踪
1980年9月20日、マドリードから左遷された刑事ペドロが、とある町へやってきます。刑事フアンと合流し、宿に泊まったその晩、憲兵が2人の姉妹の失踪を告げに来ます。エストレヤ17歳、カルメン16歳という若い姉妹でした。刑事2人は、少女の行方を追い、両親に会いに行きます。そこで見つけたのは、違う町で働けると謳った仕事斡旋のパンフレットと、母親から渡されたネガでした。そのネガには、裸の姉妹と顔は写っていない一人の男の姿がありました。霊能者アンリヘタが「農場の廃屋にいる」と告げたので、農場の廃屋調べが始まります。井戸で遺品らしきものを発見しますが、遺体が発見されたのは翌日でした。2人の姉妹はレイプされ、体に多数の拷問の跡がありました。
マーシュランドのネタバレあらすじ:別の事件
刑事たちが泊まる宿に、酔っ払いの男がやってきました。彼の話では、彼の恋人ベアトリスも切り刻まれて殺された、とのことでした。未だに足と遺品しか発見されておらず、犯人はわかっていません。さらに、アデラという少女も殺されていたことを知ります。姉妹と2人の共通点は「他の町で仕事を探す」ということでした。アデラの家に向かった刑事たちは、姉妹が持っていた仕事斡旋パンフレットの他に、一枚の写真を見つけます。その写真には、行方不明になった少女たちと一緒に、キニというハンサムな男が写っていました。アデラの母親は、キニとアデラが付き合っていた、と言います。
マーシュランドのネタバレあらすじ:キニという男
キニという男の尾行が始まりました。そうすると、姉妹と同じ学校に通うマリーナの彼氏であることが発覚します。二人を尾行したのですが、キニに見つかってしまいます。キニは過去にカルメンと付き合っていたが、アデラは知らないと言います。姉妹の葬式を終えた母親から連絡があり、姉妹が持って行ったと思った通帳が、夫の車の中から発見された、と言われました。父親を問い詰めると、ヘロインを拾って勝手に売ったら、取り立て屋が来るようになったと告白します。もしかしたら、娘たちはその報復で殺されたのではないか、と刑事は勘ぐり、彼に尾行を付けさせます。ペドロ刑事は、記者ミゲルに会って、情報を渡す代わりに、ネガの出どころを調べるよう頼みます。フアン刑事は、キニを引き続き追います。マリーナとキニは狩猟宿に入っていきました。ほどなくして、帽子をかぶった男も入っていきます。その時に、刑事は頭を殴られ気を失ってしまいました。
マーシュランドのネタバレあらすじ:キニの正体と二人の男
狩猟宿の一件でキニを捕まえますが、血液型は犯人のものと一致しませんでした。マリーナの家にも行き、何があったのか問いただしますが、真実を語ってくれません。二人の刑事は、マリーナの家の電話に盗聴器を仕掛けました。その夜、フアン刑事のもとに「一人で十字架まで来てください」というメモが届き、行ってみると、姉妹の母親とマリーナが来ました。マリーナは姉妹の母親を通じて、狩猟宿で何が起こったのかを話してくれました。そこにはキニの他に、もう一人高級コロンを付けた男がいたということです。またアデラには、キニの後にセバスチャンという彼氏がいたことを知り、ペドロ刑事はセバスチャンが以前働いていたホテルに、セバスチャンが置いていったスーツケースを見に行きます。そこには仕事斡旋のパンフレットがたくさん入っていました。そこでセバスチャンが児童性虐待の性質があることを確信します。フアンは、キニを追って彼の仕事場へ行きました。そこで帽子をかぶった男を見つけます。彼の名はコラレスで、キニの雇い主でした。また、盗聴したマリーナの電話を聞くと、狩猟宿に電話したことがわかり、30分後に呼び出しされていることがわかりました。
マーシュランドの結末:追跡と真相
狩猟宿に行くと、誰もいません。女主人を問いただすと、警備員のアントニオが実はセバスチャンだ、と告白します。女主人の告白で狩猟宿の廃屋に行くと、そこには殺された少女たちの仕事契約書が見つかり、セバスチャンは車で逃走を図っていました。大雨の中追跡しますが、車が泥にはまり、走って追跡します。その時にフアンは肩を撃たれ倒れてしまいました。ペドロも撃たれて、セバスチャンに捕まってしまいます。フアンはペドロを引きずるセバスチャンにナイフで襲いかかり、殺します。車の中からはマリーナが生きた状態で見つかりました。キニは逮捕され、万事事件が解決したかに見えました。一躍有名になったペドロに、記者ミゲルは写真を見せます。それは秘密警察だった頃のフアンの姿で、100人を拷問した残忍な一面が写っていました。ペドロは沈んだ面持ちでマドリードに帰ります。
以上、マーシュランドのあらすじと結末でした。
陰鬱で骨太な映画でした。スペインというと勝手に明るい楽天的なイメージを持っていたのですが、もちろんそれだけじゃないですよね。舞台となる湿地帯の中の町は自然風景も街の人々の表情も暗く何かを隠しているようで、主人公の刑事たちが暴いていく事件の内容も陰惨です。映画結末に明かされる事実も残酷でとどめを刺される感じでした。重い映画ですがストーリー展開はすごいので、どっしりとした映画をじっくり観たいときにおすすめです。