脱獄広島殺人囚の紹介:1974年日本映画。暴力と横暴な看守の気まぐれが支配する刑務所から脱獄を繰り返した男の物語。『仁義なき戦い』の元となった手記を書いた美能幸三から脚本の野上龍雄が、脱獄を繰り返して刑務所に18年間いた男の話を聞き、その人物に取材して脚本を作る。渡哲也の病気による途中降板により主演したNHK大河ドラマ『勝海舟』から東映に戻った松方弘樹の気合が乗り切った作品。この作品の成功により中島貞夫監督・野上龍雄脚本・松方弘樹主演の刑務所物『暴動島根刑務所』が続けて製作される。
監督:中島貞夫 出演者:松方弘樹(植田正之)、梅宮辰夫(末永)、渡瀬恒彦(田上)、大谷直子(和子)、若山富三郎(岡本清次郎)、西村晃(小島)そのほか
映画「脱獄広島殺人囚」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「脱獄広島殺人囚」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
脱獄広島殺人囚の予告編 動画
映画「脱獄広島殺人囚」解説
この解説記事には映画「脱獄広島殺人囚」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
脱獄広島殺人囚のネタバレあらすじ:起・脱獄1回目
昭和22年、神戸。嵐の深夜、植田正之の仲間の田上は外国人の闇屋に薬物を売りつけようとするが、闇屋に殺されそうになる。その時、窓を破って侵入した植田が闇屋の拳銃を奪って闇屋とその女を殺害した。植田は逃亡するが、その後逮捕され、懲役二十年の刑を受け、広島刑務所に入所した。「2518」が彼の新しい名となる。
植田は独居房の床板を外して穴を掘っていたが、雑居坊の囚人が集団逃亡を起こす。看守の警戒が厳しくなるだろう。だが、医務室の窓から見えた、そこで死んだ亡者たちが「コーン、コーン」と鳴くので通称お稲荷監房なら脱走ができると思い、医務室であばれて、狙い通りお稲荷監房に入って脱走する。
神戸の妻の家で久しぶりのセックスをしてから、大阪の田上の元に行き拳銃を手に入れる。田上から、神戸にだけは行くなと言われたが、やっぱり神戸に行ってしまう。だが、妻の家には警官がはりついている。映画館の便所で拳銃をもっているのを見られ通報され、最後は米軍MP(Military police)が来て逮捕される。脱走罪が加算され、刑期は計二十一年三カ月となった。
脱獄広島殺人囚のネタバレあらすじ:承・脱獄2回目
独居房で騒ぐ植田を静かにさせることを、清掃係で服役中の岡本組組長・岡本清次郎が看守に買って出る。最初は反抗した植田だが、岡本の貫録に気圧されて言うことを聞く。
ある日、末永という囚人が見張り塔に上り一人の看守を人質に取り、刑務所長を裸で躍らせてから投降する。彼の根性に感心した植田は、脱獄の仲間にしようと、岡本に手を回させ、末永を自分の雑居房に移動させる。
小島を加えた3人で脱獄を図ることになる。鉄格子を外して外に出たが高い塀を乗り越えるのに苦労する。岡本が停電騒ぎを起こして看守の注意をそらせ脱獄を助ける。
数日間逃げ続けた後3人は別行動をとることにする。しかし、小島はヒッチハイクで米軍のトラックに乗せてもらうとするが、一度停車したトラックにひき逃げされて死ぬ。植田は妹の和子がいる四国松山の山奥へ行く。
16年ぶりに会う妹。そこで植田は、無許可で牛を捌いているグループが和子からただのような値で牛を買っているのを見て、彼らを叩きのめし、自分が彼らの親分となって山本清と名乗って大いに儲ける。だが女郎屋で別の客と喧嘩になり警察に逮捕され、指紋で正体がばれる。
警察署から一度は逃走するが、結局つかまり広島刑務所に戻される。脱走罪で1年4カ月の刑期が加算され計22年7カ月に。
脱獄広島殺人囚のネタバレあらすじ:転・次々と伸びる刑期
末永も東京で逮捕されて広島刑務所に戻るが、名古屋の前戸組組長・前戸にへつらうのを拒んだせいでリンチに遭い医務室送りになる。植田はその前戸と勝負して殺してしまい、8年の刑が加算され、合わせて懲役30年7カ月となる。
殺人で広島刑務所に入った吉原という男が植田に、自分は前戸の舎弟であるからあんたに何もしないでいては極道として生きていけないと、丁重に植田に決闘を申し込む。ほんまもんの極道じゃ、今度は負けるかもしれない。そう思った植田は入浴時間に吉原の横に並んで刃物で不意討ちして殺害する。
刑期は七年増して計37年7カ月となる。さらに、独居房から逃げようとした植田に制裁を加える保安課長に机上にあったナイフで斬りつけるという殺人未遂事件を起こし刑期は4年加算され、計41年7カ月になる。
脱獄広島殺人囚の結末:どこまでも逃げ続ける男
裁判所の窓の外で若い女が話している。社会が見えた。植田はとっさに逃げ出す。再び四国に行く。牛殺しの仲間と出くわし「日本のジャン・バルジャン」とおだてられ握り飯をもらう。
だが家では和子に「今日かぎり縁切りや」と言われてしまう。それでも和子は食事を用意してくれたが、食膳に手をつけようとするところへ牛殺しの仲間に手引きされた警官たちがやってくる。
警官を棒で叩く和子にも助けられて、植田は危機を逃れて山中を逃げ続け、最後は大根をかじりながら線路上を歩き、タバコで一服しようとするのだった。
以上、映画「脱獄広島殺人囚」のあらすじと結末でした。
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