サイトレスの紹介:2020年アメリカ映画。失明したエレンは、視覚に頼らない生活に慣れる指導を受けていたが、隣室で虐待されていると思しき女性と接触したことで、自分の置かれた状況に疑念を持ち始める…。
監督:クーパー・カール 出演者:マデリン・ベッチ(エレン)、アレクサンダー・コック(クレイトン)、ディセンバー・エンスミンガー(ラナ)、リー・ジョーンズ(ルッソ)、ほか
映画「サイトレス」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「サイトレス」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
サイトレスの予告編 動画
映画「サイトレス」解説
この解説記事には映画「サイトレス」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
サイトレスのネタバレあらすじ:起・失われた視力
暴漢に襲われたが一命をとりとめたエレン(マデリン・ベッチ)が目を覚ますと、襲撃された時に化学物質を目に吹きかけられたせいで失明していた。
事情を聞きに来ていた刑事のブライス(ジャロッド・クローフォード)は、バイオリニストだったエレンを励まし、犯人を見つける約束をした。
日本にいる弟のイーストンに連絡がつくと、彼が帰国するまで優秀な介護士を雇ってくれた。
次に気が付くと、エレンは退院して家を移っていた。介護士のクレイトン(アレクサンダー・コック)は、視力を失い今後点字や杖を使う生活に慣れるため、安全に静かな場所で過ごすようにアドバイスをして、仮住まいの間取りを説明して帰って行った。
一人になったエレンは、がらんとしている所が気に入らず、弟や友人のサーシャに電話を掛けたが繋がらなかった。
翌日、クレイトンはインコを連れてきた。黄色と緑のインコだったが、彼がインコを青だとエレンに告げると、彼女の中でインコの色は青になった。ブライスからの連絡もあり、エレンの元夫の顧客の中にも犯人はいなかった。
エレンの元夫のベネットは、人のお金を盗んだ罪で15年の服役中。彼に恨みを持つ者が、服役中のベネットの代わりにエレンを狙ったのではと、エレン自身は思っていた。
サイトレスのネタバレあらすじ:承・隣の住人
エレンにとって、バイオリニストとしての成功は既に過去のもので、自暴自棄になっていた。クレイトンに渡された杖を使う練習をしようとしても、身が入らず、外の音を聞きながら、時間を無為に過ごしていた。
夜、寝ていると誰かがマンションに入ってくる音がした。咄嗟に連絡をしようとしたが、警備会社にも、友人にもつながらなかった。しかし、廊下の奥の人の気配は、突き当りの通気口から聞こえてくる隣の男女の喧嘩の音だった。
その女性が酷い事をされているのかと心配したエレンは、隣の部屋の女性にコンタクトを取ろうと、隣の扉にメモを貼り付けた。
クレイトンにPCの使い方を習ったついでに、介護士なった理由を聞くと、彼は寝たきりの母親の世話をしていた事がきっかけだと明かした。その日、エレンは初めてクレイトンの顔に触れ、彼の顔を知った。
サイトレスのネタバレあらすじ:転・誰も信じてくれない
隣に住むのはラナ(ディセンバー・エンスミンガー)という女性だった。夫と住んでいる彼女は情緒不安定で、誰も信じてはだめだと、エレンに言った。ラナに触れ、体に傷があることを知り、クレイトンや警察に伝えても、なぜか彼らはラナの夫を問題視する事はなかった。
エレンは、クレイトンが来る時間にいつも外からサイレンが鳴ることに気が付いた。外に興味を向けた彼女をクレイトンは、癒されれば乗り越えられると励ました。
ラナの夫はエレンに、妻を招いた事に対して、干渉すれば管理会社に通報すると怒っていた。
そして、エレンに対して特別な感情を持ってしまったクレイトンは、介護士として接することが出来ないことを理由に、一方的に辞めると言い出した。エレンは置いて行かれたかと思ったが、すぐに誰かが入ってきた。クレイトンかと思ったが、あては外れ、エレンは首を絞められた。
気が付くと、救急隊員に寝室に運ばれていた。隊員は首の事には触れなかった。心配したクレイトンとブライス刑事もやってきた。
刑事は人払いをし、この状況なら普通は介護士を疑うことや、襲撃現場にはサーシャの足跡が残されていた事を伝えた。ショックを受けるエレンに、失明直後は認識していることが正しいとは限らないと釘を刺した。誰にも信じてもらえないことに絶望したエレンは、PCに遺書を残し、ベランダから飛び降りた。
サイトレスの結末:明かされた真実
マンションの9階から飛び降りたはずなのに、エレンは生きていた。そこは防音の施された壁に囲まれたどこかで、いつも聞いていた外の音が聞こえ、壁を伝っていくと、ベランダから部屋の中に戻る事も出来た。
パニックでベッド戻るとラナが来て、ここは「家」だと言った。その先を聞こうをすると、彼女の夫が連れて行ってしまった。
次にやってきたクレイトンに問い詰めると、ここはお金を払い預かる施設で、PTSDで視力を失ったエレンが現実の生活に戻るために嘘をついていたのだと言った。そして落ち込む彼女に夕食を用意し食卓に座らせると、バイオリンを渡して、元のエレンに戻って欲しいと語った。
しかし、クレイトンが食卓を二度ノックする癖が、今まで出入りしていた他の人間もやっていたことに気づき、失明してから関わった人々すべてを彼が演じていたと気づいた。
そして、彼を食卓に着かせ、後ろから鈍器で殴り付けて鍵を奪った。彼の鞄の中にはスタンガンも入っていた。隣の部屋から外への通路へ出ると、人物ごとの服が吊るされていた。
途中、病室と思しき所にラナを見つけると、彼女は外への出口を教え、エレンは彼女の兄を救ったのだと話した。クレイトンはラナの兄で、母親が死んで怒った父親に、三年半地下室に閉じ込められ、通気口からラナが流してくれていたエレンの音楽が救いだった話した。そして、失明した彼女のために、彼がその場所を再現し、閉じこめていた。
エレンはスタンガンで彼を倒し、通気口から出ようとしたが、通るには小さく、ふちに失明の原因である薬品が貼ってあった。彼女はそれを口に含むと、再び襲ってきたクレイトンに吹きかけた。失明した彼を置いて、ラナがエレンを本当の外に出した。
半年後、彼女はコンサートに立てるほど、立ち直った。
以上、映画「サイトレス」のあらすじと結末でした。
サイトレスのレビュー・考察:認識している物は現実なのか
失明後のエレンの視点で描かれる世界は、あくまでエレンが認識して、頭の中で描いているという体で作られている。そのせいで、天井から手に垂れる水を血と感じたり、通気口から聞こえてくる声を、廊下に倒れている女性として一度は描写され、彼女の気づくタイミングで、真実に書き換えられる。そのような、目が見えないゆえに誤認と種明かしが随所にあるのだが、彼女が外の風景だと認識して、写し出されていた常に背景にある「窓の外の風景」が防音の壁だとは、彼女が飛び降りと言う形で部屋を出なければ分からなかっただろう。認識と現実のズレがここまで恐ろしく感じたことはない。
この映画の感想を投稿する