ブラックボックス:音声分析捜査の紹介:2021年フランス映画。ヨーロピアン航空の最新型機がアルプスで墜落し、乗客・乗務員316人全員の死亡が確認される。司法警察の立ち合いのもと、BEA(民間航空事故調査局)の音声分析官がボイスレコーダー、通称ブラックボックスを開く。いつもなら責任者ポロックの助手を務めるのは最も優秀な分析官マチューだったが、なぜか任務を外されてしまう。しかし、間もなくポロックが謎の失踪を遂げ、引き継いだマチューは「コックピットに男が侵入した」と記者会見で発表する。マチューの分析は高く評価され責任者に任命される。ところが、被害者の1人が事故の直前に夫に残した留守電をきっかけに、陰謀を疑ったマチューはキャリアと人生をかけて、危険な探求を始める。映画史上初の国家機関であるBEAの協力を得て制作。フィクションでありながら、リアルを感じることのできる作品となっている。
監督:ヤン・ゴズラン 出演:ピエール・ニネ(マチュー・ヴァスール)、ルー・ドゥ・ラージュ(ノエミ・ヴァスール)、アンドレ・デュソリエ(フィリップ・レニエ)、セバスチャン・プドルース(グザヴィエ・ルノー)、オリヴィエ・ラブルダン(ヴィクター・ポロック)、マリーヌ・ヴァクト(ポリーヌ)ほか
映画「ブラックボックス:音声分析捜査」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ブラックボックス:音声分析捜査」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ブラックボックス:音声分析捜査の予告編 動画
映画「ブラックボックス:音声分析捜査」解説
この解説記事には映画「ブラックボックス:音声分析捜査」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ブラックボックス:音声分析捜査のネタバレあらすじ:起
ヨーロピアン航空の最新型機アトリアン800がアルプスで墜落しました。
すぐさまBEA(航空事故調査局)に連絡が入り、責任者のポロックは現場に駆け付けました。普段同行するのは、局で天才的な聴覚を持つマチューでしたが、別の案件でポロックと対立したことがきっかけで今回の事故からは外されてしまいました。
乗客300人と乗務員16人の生存は絶望的で、安全なはずの最新型航空機による事故に衝撃が走りました。新型航空機の認証機関に勤めるマチューの妻ノエミは、アトリアン800は完璧だったとマチューに告げました。原因究明が急がれる中、ボイスレコーダー、通称ブラックボックスが回収され、ポロックによる調査が始まりました。
しかしその翌日、マチューはレニエ局長から突然呼び出しがかかります。レニエ局長から聞かされたのは、ポロックが謎の失踪を遂げたとのこと。そして今夜開かれる記者会見までに、ブラックボックスの音声分析するようマチューに命じられました。
ブラックボックス:音声分析捜査のネタバレあらすじ:承
マチューはノイズを分離しながら、会話や足音、扉の開閉音を拾っていき、客室乗務員がパイロットに食事を運ぶためにコックピットに入った時に、乗務員用トイレに隠れていた男が侵入したと分析をしました。
マチューのこの説明に記者会見会場はどよめきが起こり「つまりテロだったということですか?」と質問が飛びました。レニエ局長は「司法警察の捜査をお待ちください」と会見を終わらせました。
翌日、TVのニュースではイスラム過激派が乗務員名簿に含まれていたと報じ、人々の推測はさらに過熱していきました。
マチューは再びレニエ局長から呼び出されました。記者会見でのマチューの分析を高く評価した局長は、正式にマチューを今回の調査の責任者として任命しました。
早速任務に取り掛かったマチューに、犠牲者の1人である女性の夫から「事故直前の留守電がある」と連絡が入りました。音源を聴いたマチューは、すぐにブラックボックスの音声と異なる点があることに気付きました。犠牲者の声の背後から聴こえる技術トラブルを示す音が、ブラックボックスから消えていたのです。
マチューはすぐレニエ局長に報告をしましたが、局長からはそう聴こえないと否定された上に「音声データにとりつかれると無意識に捏造するから気を付けろ」と忠告までされてしまいました。
ブラックボックス:音声分析捜査のネタバレあらすじ:転
ブラックボックスへの疑念を払いきれないマチューは、ポロックが何らかの真実を掴んでいたのではないかと考え、彼の自宅へ侵入し車に搭載されたドライブレコーダーのデータを持ち去りました。
すると、そこにはポロックと話す思わぬ人物の姿が映っていました。それはマチュー夫婦の航空大学時代の旧友である若き実業家グザヴィエ・ルノーでした。ルノーは航空機を専門としたセキュリティ会社ペガサスを経営し、最近ノエミに近づいている人物でもありました。
マチューはペガサスが技術提供した自動操縦装置に欠陥があったのではないかと睨み、アトリアンへの転職が決まっていたノエミが認証に手心を加えたのではないかと詰め寄りました。守秘義務を言い張るノエミでしたが、彼女が寝ている隙にアトリアン800の認証テストの報告データを入手し、それを証拠として提出。
これがきっかけとなり、ノエミは情報漏洩でアトリアンへの転職を取り消されてしまい、マチューと険悪なムードになってしまいました。そして、そのマチューもまた認証に手を加えられていなかったことが分かり自信を失ってしまいます。
その後、マチューはシステムの脆弱性を見つけてはハッキングし過去に逮捕されたことのある男が同乗していたことを突き止めました。この男はペガサスの社員でしたが、数か月で解雇されていたことが分かりました。
ブラックボックス:音声分析捜査の結末
取り憑かれたかのように嗅ぎまわるマチューに対し、アトリアンを敵に回したくないBEAは無情にも更迭を言い渡しました。マチューは煮え切らない思いで荷物をまとめていると、墜落事故の直前にポロックと対立していた案件の映像ファイルが、ポロック失踪直後に更新されていることに気付きました。音声データの空白部分のピッチを下げると、数字を言い並べていることに気付きます。それは座標を示していました。
急いでその座標を目指すとそれは池の中でした。マチューは音と光に誘われて飛び込み、何らかのデータを回収しました。
その頃、ノエミはルノーと会食をしていました。しかし、彼が知るはずもない発表前のことを口にしたことで、ノエミはルノーが事故に関わっていることを悟りました。
マチューはポロックの自宅へ行き、回収したデータを確認すると、ポロックの映像が残されていました。「これを見つけたのはマチューだろう」と始まる彼の話は、お金欲しさにルノーから依頼された事故のデータ改ざんに加担したことを告白するものでした。
手動操縦を必要としないペガサス社のシステムは、ハッキングされたときにコントロール不能になってしまうことが欠点だったのです。ポロックはいち早くこれを見抜かれることが予想されたマチューを任務から外したのでした。
ところが、悲劇は突然訪れます。ルノーの自宅へ何者かが侵入してきたため、慌てて車に乗り込み逃げだしたマチューはパニックに陥り衝突事故を起こしてしまいました。マチューの鼓動は少しずつ遅くなり、そして停止しました。
後日、ペガサス社の講演会にやってきたノエミは、ルノーのプレゼン中にステージの巨大スクリーンにポロックの映像を流しました。「ルノーから依頼されて事故の音声データを改ざんした」ポロックの声が響きます。
ノエミはゆっくり会場を後にしました。
以上、映画「ブラックボックス:音声分析捜査」のあらすじと結末でした。
「ブラックボックス:音声分析捜査」感想・レビュー
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政治的な暗喩でブラックボックスっていっているのかと思ったら本当に飛行機で使われているブラックボックスの音声記録から事故の真実を暴くという内容でした。
本当に小さな音や日時の違いに気づいて、妨害にも負けず真実に向かっていくのは面白かったのに、なんで最後あんな急展開のやっつけラストになったのか残念です。
全体的には楽しめたのですが、音声解析シーンで何度も何度も同じボイスデータを流したり、一つ一つの演出がクドくてテンポが悪いのが残念。90分尺くらいに纏めてくれたらもっと面白くなりそう。
多少の不満はあるけれど、緻密で良質なミステリー映画でした。観て良かったです。