赤い闇 スターリンの冷たい大地での紹介:2019年ポーランド, イギリス ,ウクライナ映画。1930年代に活動していた実在の英国のジャーナリスト、ガレス・ジョーンズの苦闘を描いた伝記映画です。全世界が未曾有の恐慌に見舞われるなか、繁栄を続けるソ連に疑問をもったジョーンズは単身モスクワに乗り込み、想像だにしない衝撃の事実を目の当たりにするのですが・・・。
監督:アグニエシュカ・ホランド 出演者:ジェームズ・ノートン(ガレス・ジョーンズ)、バネッサ・カービー(エイダ・ブルックス)、ピーター・サース(ウォルター・デュランティ)、ジョゼフ・マウル(ジョージ・オーウェル/エリック・ブレア)、ケネス・クラナム(デビッド・ロイド・ジョージ)、クシシュトフ・ビチェンスキー(マクシム・リトヴィノフ)、ケリン・ジョーンズ(マシュー)、フェネラ・ウールガー(ミス・スティーブンソン)、ミハリナ・オルシャンスカ(ユリア)、ベアタ・ポズニアク(レア・クライマン)、ジュリアン・ルイス・ジョーンズ(ジョーンズ少佐)、マルチン・チャルニク(ポール・クレブ)、マシュー・マーシュ(ウィリアム・ランドルフ・ハースト)ほか
映画「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
赤い闇 スターリンの冷たい大地での予告編 動画
映画「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」解説
この解説記事には映画「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
赤い闇 スターリンの冷たい大地でのネタバレあらすじ:起
英国のジャーナリスト、ガレス・ジョーンズ(ジェームズ・ノートン)は若くしてデビット・ロイド・ジョージ元首相(ケネス・クラナム)の外交顧問を務め、ナチスドイツを率いるヒトラー総統に取材した経歴がありました。
1933年。全世界を大恐慌の嵐が吹き荒れるなか、唯一繁栄を続けるソビエト連邦に疑問を感じたジョーンズは政治家たちにソ連を取材すべきだと訴えましたが、相手にされないばかりか予算削減を口実に外交顧問を解任されてしまいました。それでもソ連の真実を突き止めたいジョーンズはフリーランスの記者として単身ソ連の首都モスクワに乗り込むことにしました。
ジョーンズは過去にベルリンで知り合い、現在はモスクワに滞在している記者のポール・クレブ(マルチン・チャルニク)に電話をかけましたが、ポールが何かを言おうとした寸前に電話は突然切られてしまいました。
モスクワに到着したジョーンズは、ニューヨーク・タイムズのモスクワ支局長でピューリッツァー賞受賞の経歴を持つウォルター・デュランティ(ピーター・サース)と対面しました。デュランティにモスクワに来た理由を聞かれたジョーンズは、ソ連は世界恐慌の中でもなぜ唯一繁栄を続けているのか知りたいと答え、そのカギとなるソ連の独裁者ヨシフ・スターリンの資金源を突き止めたいと語りました。
デュランティはポールは強盗に襲われて殺害されたと告げ、詳細については教えてくれませんでした。ジョーンズはポールの死には何かきな臭いものがあるのではないかと感じました。
赤い闇 スターリンの冷たい大地でのネタバレあらすじ:承
ジョーンズのモスクワ滞在は2日間までしか許可されず、その間は一歩もモスクワの外に出ることは禁じられました。ジョーンズはデュランティに誘われ、モスクワに滞在する記者やジャーナリストたちが集う会合に出席しました。しかし、ジョーンズが目の当たりにしたのは、酒を飲んではアヘンを吸うデュランティたちの堕落しきった姿でした。
会合から帰る途中、ジョーンズはニューヨークタイムズの女性記者エイダ・ブルックス(バネッサ・カービー)から、デュランティの机に記事を置いてきてほしいと頼まれました。ジョーンズはその記事に目を通して内容に深く感銘を覚え、彼女からポールの件などについて訊こうとしましたが、常にソ連当局の監視を受けているエイダは何も語りませんでした。
ジョーンズはエイダがポールの件について何か知っているのではないかと感じ、監視の目をかいくぐって彼女の家に向かいました。エイダはそこで、ポールはウクライナに行こうとして殺害されたのだと証言しました。
ジョーンズはエイダの制止を振り切り、真相を確かめるべくウクライナ行きの列車に乗り込みました。列車にはジョーンズを連れ戻すべく当局の人間が乗客に扮して乗り込みましたが、ジョーンズは別の車両に乗り移って何とかかわしました。ジョーンズが乗り込んだ車両には貧困と飢餓にあえぐ民衆たちが乗っていました。
赤い闇 スターリンの冷たい大地でのネタバレあらすじ:転
ウクライナに辿り着いたジョーンズは、雪の上に人々の死体が大量に転がっている有様を目の当たりにしました。ウクライナの人々は職を求めて行列を作り、ジョーンズの質問にも何も答えようとしませんでした。
その時、民衆の誰かがジョーンズをスパイ呼ばわりし、ジョーンズは地元当局に追われる羽目になりました。何とか逃げ切ったジョーンズは、人気のない民家、死体を運ぶ荷車、道端に転がっている数多くの死体を目にし、強い衝撃を受けました。
たちまちジョーンズは地元の子供たちに取り囲まれ、荷物から食糧を奪われてしまいました。空腹に耐えかねたジョーンズは近くの民家を訪ね、そこに住む少女から肉を分けてもらいました。少女はこの肉は兄からもらったと答え、疑問に思ったジョーンズは家の外を見てみると、そこには肉を切り取られた少女の兄の死体が横たわっていました。少女は飢えをしのぐために兄の肉を食べていたのです。
深く衝撃を受けたジョーンズは道行く人々にウクライナの飢餓の理由を尋ねようとしましたが、突然当局に逮捕されモスクワに強制送還されてしまいました。
当局はジョーンズの他にも英国人技師5人を捕らえていました。ジョーンズは当局から、ウクライナの真実を書けば技師たちの命の保証はないと脅してきました。ジョーンズのもとにデュランティが訪れ、今の時代モスクワで記者をやることの難しさをジョーンズは知らないと批判してきました。ジョーンズはスターリンら権力側に忖度し、真実を書くことを諦めたデュランティの態度に怒りを覚えました。
赤い闇 スターリンの冷たい大地での結末
ロンドンに帰ったジョーンズは、真実を書いて飢えに苦しむ数百万人のウクライナ人を救うべきか、そのために何の罪もない同胞の技師の命を犠牲にしてもいいのかと深く思い悩みました。ジョーンズは以前の上司に紹介された作家のエリック・ブレア(ジョゼフ・マウル)に会いに行きました。
“ジョージ・オーウェル”というペンネームで活動し、帝国主義に批判的なブレアは、どんな形であれ真実を伝えるべきだとジョーンズに助言しました。ブレアの言葉に勇気づけられたジョーンズはウクライナで見聞きしたことをまとめ上げ、ソ連による農業計画は失敗し、ウクライナで獲れた数少ない穀物はモスクワに運ばれたがためにウクライナの数百万人の民を飢死に至らしめた“人為的な飢饉”を世に問おうとしました。
しかし、ソ連との関係悪化を恐れるロイドはジョーンズには失望したと突き放し、マスコミはこぞってジョーンズを嘘つき呼ばわりして徹底的に非難しました。ニューヨークタイムズでさえもジョーンズを糾弾し、ジョーンズは失意のうちに故郷ウェールズに戻っていきました。
その頃、モスクワではエイダがデュランティに呼び出されていました。ディランティはジョーンズが語っていたウクライナの飢饉の事実などは一切なく、スターリンは愛と尊敬を集めているのだという記事を書くようエイダに命じました。エイダはニューヨークタイムズを辞め、父のいるベルリンに帰っていきました。
故郷に戻ったジョーンズは地元紙に就職しましたが、得意分野の政治ではなく文化の記事担当に回されてしまいました。故郷の人々もジョーンズを変人呼ばわりするなど迫害しました。
そんな時、ジョーンズはアメリカの新聞王ウィリアム・ランドルフ・ハースト(マシュー・マーシュ)がウェールズを訪れたことを知り、最後の望みをかけてハーストに直談判することにしました。最初のうちはジョーンズを相手にしなかったハーストも彼の熱意に押され、ジョーンズの書いた記事は「ウクライナに広がる死」というタイトルで掲載されることとなりました。
以上、映画「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」のあらすじと結末でした。
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