ブルックリンの紹介:2015年アイルランド,イギリス,カナダ映画。2016年7月1日日本公開。アイルランドからアメリカのブルックリンに移り住んだ一人の女性の恋愛と青春を描いた作品で、今作ブルックリンはアカデミー賞の作品賞・主演女優賞・脚色賞の主要3部門にノミネートされました。
監督:ジョン・クローリー 出演:シアーシャ・ローナン(エイリシュ・レイシー)、ドーナル・グリーソン(ジム・ファレル)、エモリー・コーエン(トニー・フィオレロ)、ジム・ブロードベント(フラッド神父)、ジュリー・ウォルターズ(キーオ夫人)ほか
映画「ブルックリン」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ブルックリン」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ブルックリンの予告編 動画
映画「ブルックリン」解説
この解説記事には映画「ブルックリン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ブルックリンのネタバレあらすじ:アメリカへの旅
1952年、南東アイルランドの小さな町に住むエイリシュという女性は、意地の悪いケリーという人物のグロサリーストアで働いていました。そこで、エイリシュの姉ローズは彼女に楽しい将来を送ってもらいたいとの理由でアメリカ・ニューヨークのブルックリンへ行くことを提案します。その言葉を受けてエイリシュは船で旅立ちますが、船酔いと食中毒のおかげでキャビンから追い出されてしまいました。しかし、同じキャビンに居合わせた女性がエイリシュを助け、ニューヨークのブルックリンでの生活についてアドバイスするのです。
ブルックリンのネタバレあらすじ:新天地
無事アメリカに入国したエイリシュはアイルランド人が多く住むブルックリンで、キーオ夫人の営む下宿に住むこととなり、そしてデパートで販売員として仕事を始めます。しかし職場の雰囲気がエイリシュには合わず、精神的にも肉体的にも疲れ果てていました。そんな日々の中、時々実家から届く姉の手紙を読むと、彼女にアイルランドへ帰国したいという思いと、ホームシックな気持ちが襲ってきました。
ブルックリンのネタバレあらすじ:トニーとの出会い
ある日、彼女はルームメイトに連れていかれたダンスパーティーの場でイタリア系移民のトニーという青年と出会い、惹かれていきます。また、フラッド神父の勧めで大学では簿記の勉強をし、夢への第一歩を踏み出したエイリシュ。周りの人に支えながらエイリシュはブルックリンでの生活に希望を見出します。しかし、アメリカでの生活も悪くないかもと思い始めたエイリシュのもとに悲報が届きます。アイルランドにいる姉が突然の病気で亡くなったとフラッド神父から知らされ、彼女は悲しみに暮れます。彼女はアイルランドへ一時的に帰国しようと決めます。しかしトニーはもうエイリシュがそのままブルックリンに帰ってこないのではないかと思い、帰るならば先に結婚しようとプロポーズします。そして彼らは周囲の人たちに黙って結婚をすることにしました。
ブルックリンのネタバレあらすじ:ジムとの出会い
そしてアイルランドへ帰ったエイリシュでしたが、周りの人たちはブルックリンに彼女を帰そうとはしませんでした。結婚したことは母親や友人にも秘密のままでした。友人の仲介によりエイリシュはジムという裕福な男性に再会、次第に彼に惹かれていきます。また、姉のローズが働いていた工場ではエイリシュが姉の代わりに簿記係になる話も出てきます。こうしてアメリカへ戻るのが伸ばし伸ばしとなる中、トニーからの手紙に返事もしなくなり、エイリシュはこのままアイルランドにいることに明るい未来があるのではないかと考えてしまったのです。また、母親もエイリシュがジムと結婚してこのままアイルランドにいてくれることを望みました。
ブルックリンの結末:トニーとの再会
しかし、エイリシュが昔アイルランドで働いていた店の店主ケリーは、エイリシュがアメリカで結婚していた事実を知っていました。なぜならケリーの親類であるキーオ夫人がアメリカでのエイリシュの様子を知っていたためです。これをきっかけにエイリシュはアメリカに戻ることを決意し、結婚の事実を母に報告、謝罪します。また、ジムへの別れの手紙を書きます。そしてエイリシュは再びトニーのいるブルックリンへと旅立ちます。ブルックリンへと戻ってきたエイリシュはトニーを待っています。’誰を愛するかを決めることが、どんな自分になりたいかという答えになる’ 再会した2人は抱きしめ合うのでした。
以上、映画ブルックリンのあらすじと結末でした。
ブルックリンのレビュー・感想
女性の人生の選択について。人生は選択肢で溢れているけど、一緒にいる人を選ぶと同時に、自分の人生は変わってしまうのだと改めて感じた。ブルックリンは、移民という背景があるが、人生の選択は今の時代も誰にでもある。自分らしくいれる生き方を選ぶという事の大切さを、エイリシュの生き方を見て感じた。故郷を離れて生活をしている人なら、どこかで必ず共感してしまうと思う。「そうだ、この町はこういう所だったわ」と言い放った一言に、エイリシュの思いや決意が集約されていると思った。アイルランドからブルックリンへ、出会う人々や環境が変わるにつれてエイリシュの洋服、髪の色、メイクが変わっていくのが印象的だった。鮮やかに洗練されていく姿に女性の強さを感じ、とても美しかった。アメリカで手にしたものが、アイリシュを大きく揺さぶり、強くさせたのだと思うと、ラストの決断にも納得がいった。
「ブルックリン」感想・レビュー
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親元を離れ渡米したアイルランド娘の成長と揺れる心を描いた佳作。50年代のアメリカのレトロエレガントなファッションに身を包んだ、シアーシャ・ローナンの佇まいが愛らしい。アイルランドの田舎町で先が見えすぎるような生活に飽き飽きしていたエイリシュ。そんな妹を案じた姉にニューヨーク行きを薦められ、好奇心で海を渡りブルックリンの街に降り立つ。デパート販売員の仕事をしながら簿記の勉強もする忙しい日々にも慣れた頃、イタリア系移民のトニーに出会う。同じカトリック教徒でありながら育った家庭環境や文化も違う2人が惹かれあい、次第に距離を縮めてゆく。このトニーがエイリシュの事を好きで好きでたまらない様子が微笑ましく、こちらも思わず温かい気持ちになる。そんなある日の事、故郷の訃報が入り、エイリシュは久方ぶりにアイルランドへ戻る事となる。心を癒やすべく暫く地元で過ごすうちに新たに出会った青年ジムにも少し惹かれるように。生まれ育ち気心知れた故郷でこのまま暮らすか、新たに築き上げた生活やキャリアのある(そしてトニーが待つ)ブルックリンへ再び渡るか。観客としてはハラハラドキドキ、手に汗握る心地となるものの、決断したエイリシュの清々しく一皮剥けたような表情が印象的。そしてこれは1人の移民のストーリーではあるけれど、進学や就職で生まれ故郷を離れた事のある方なら尚更、誰かに感情移入したり色々共感出来るに違いない。そうでなくても人は古代から移動をし続け、各地に根をおろして生きのびてきた。ある意味、誰しも皆、流れ流されてきた何処かの移民の子孫のミックスなのだ。
自分で選択し、行動を起こす、力強い女性が描かれています。私自身、家族と離れ、見知らぬ土地で生活してきた経験があるため、新しく知り合いもいない土地で生きていく主人公エイリシュに非常に共感がもてました。新しい国で、自分の力で、仲間を作り、自分の力で生き方を選択する主人公の姿は非常に力強く元気づけられます。50年代の色とりどりのファッションがとてもカラフルでかわいいです。
誰しもが経験する「初めて」を応援してくれる作品です。もう一度見たいです。