不都合な理想の夫婦の紹介:2019年イギリス映画。ニューヨークで貿易商を営むイギリス人のローリーは、アメリカ人の妻アリソンと息子のベンジャミン、娘のサマンサと4人で幸せに暮らしていた。しかし現状に満足せず大金を稼ぐことを夢見るローリーは、家族の不安を無視して好景気に沸くロンドンへの家族移住を決行する。かつての上司が経営する商社に再雇用されたローリーはその才能を周囲から評価され、復帰を歓迎された。プライベートではロンドン郊外に広大な屋敷を借り、息子を名門校へ編入させ、乗馬のインストラクターをしていたアリソンには広大な敷地と馬を用意した。しかし、ある日、アリソンは馬小屋の工事が進んでいないことに気付く。業者に問い合わせてみると、報酬の支払いが滞っており、さらには貯金が底をついていることをしってしまう。誰もが羨むような理想の夫婦に隠された不都合な真実とは。
監督:ショーン・ダーキン 出演:ジュード・ロウ(ローリー・オハラ)、キャリー・クーン(アリソン・オハラ)、ウーナ・ロッシュ(サマンサ)、チャーリー・ショットウェル(ベンジャミン)、アディール・アクタル(スティーブ)、アン・リード(ローリーの母)、マイケル・カルキン(アーサー・デイビス)ほか
映画「不都合な理想の夫婦」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「不都合な理想の夫婦」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「不都合な理想の夫婦」解説
この解説記事には映画「不都合な理想の夫婦」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
不都合な理想の夫婦のネタバレあらすじ:起
1986年。ニューヨークで貿易商を営むイギリス人のローリーは、アメリカ人の妻アリソン、息子のベン、そしてアリソンの娘サマンサと共に幸せに暮らしていました。
ローリーの仕事は順調で、アリソンは乗馬スクールのコーチ、サムは新体操、そしてベンは親友と活発に遊び、満ち足りた生活を送っているように見えました。
しかし、大金を稼ぐことを夢見るローリーは好景気に沸くロンドンへの移住をアリソンに提案します。初めての外国への移住とお金のことを心配するアリソンに、かつての上司が経営する商社で新部門の責任者として向かい入れられることになったから問題ないと話すローリー。アリソンは故郷を離れ、一家でロンドンへ向かいました。
一足先に到着したローリーが待つ新居は大豪邸でした。それだけではなく、サマンサには高価なミュージックプレーヤー、ベンにはサッカーコート、そしてアリソンには乗馬ができる広大な土地にリッチモンド名付けられた馬、おまけに毛皮のコートのプレゼントまで用意していました。興奮する子供たちを見てローリーは得意げに笑みを浮かべました。
しかし、新生活は良いことばかりではありませんでした。夫婦で参加したパーティでは、慣れないイギリス式のしきたりに疲れたとアリソンが愚痴をこぼし、子供たちは広すぎる家を不気味がり、新たな学校の環境にもなじめずにいました。
不都合な理想の夫婦のネタバレあらすじ:承
一方ローリーは、社長のアーサーに自社を売却し大金を稼ごうと提案します。アーサーから交渉する許可をもらった彼は大喜びで、早急に商談を進めようとしていました。
そんな中、アリソンは馬小屋の工事業者への支払いが滞っていることを知ってしまいます。ローリーが不渡り小切手を渡していたのでした。不信に思ったアリソンがさらに調べると、驚くべきことに新生活のために用意した貯金がわずか600ポンドしか残っていませんでした。そのことをローリーに問い詰めても「月末には莫大な金が入る」と言うのみ。
しかし、追い打ちをかけるように会社の売却は失敗。ローリーがあてにしていた収入が立ち消えることとなり、アーサーに激しく抗議しました。この契約には穴があり、アーサーはそれを見逃さなかったのです。ローリーは昔から大きな儲けに気が囚われると細部を見失ってしまう性格でした。高所得者をターゲットに仕事をしようとするローリーに対して、アーサーは低所得者に向けたサービスを細々とやって成功してきたと話しました。
収入はなく出費ばかりの暮らしに追い詰められていくアリソンは、夫への不信がつのり、たびたび激しい夫婦喧嘩をするようになります。アリソンから非難されたローリーは「娘と2人で貧しい暮らしをしていた君に、俺が豊かな生活を与えてやった」と怒鳴る始末。子供たちも両親の口論に不安を抱いていました。
さらには、アリソンが大切にしていた馬リッチモンドが突然病に倒れてしまいました。農場主によって銃殺されたリッチモンドは敷地に埋葬されました。アリソンは深い悲しみに沈みました。
不都合な理想の夫婦のネタバレあらすじ:転
狂った歯車を止めることができずにいるローリーは次第に家に帰らなくなっていきました。久々に戻っても顔も見ずにまた出ていってしまい、家族とすれ違う日々。そんな夫を咎めるアリソンにローリーは「家族のために働いている」と言います。しかしアリソンは「パーティで自慢したいだけでしょう」と冷たく言い放ちました。生活は苦しくなる一方で、アリソンは近所の農場で手伝いを始めました。
そんなある日、商談を兼ねた会食会に夫婦で参加しなくてはならないことになり、気が進まないアリソンもドレスアップして付き添いました。
しかしローリーは相変らずの虚飾にまみれた自慢話で、すっかり参加者を引かせてしまいます。アリソンはローリーに悪態をつき、うんざりして席を立つと店を出てしまいました。
その頃、両親が帰ってこないことをいいことにサマンサが悪友たちを自宅に呼び、パーティをはじめていました。次々やってくる友達と酒と大麻で大騒ぎし、ベンも眠れずにいました。
妻が戻らないまま食事会は終了しましたが、商談は無事成功。満足げなローリーでしたが、相棒のスティーブに「君の自慢話を先方が嫌がり、君にこの件から外すよう言われた」と衝撃の事実を知らされます。自分の功績を信じて疑わなかったローリーは、茫然と立ち尽くしました。
不都合な理想の夫婦の結末
タクシーに乗り込んだローリーは運転手から職業を聞かれました。返答に少し迷い、「金持ちぶること」と答えました。その時、ローリーの中で何かが崩れ、しまい込んできた本音が溢れるように出てきました。「ニューヨークでは幸せだったのに今では一文無し」と。
家族のためにこつこつ仕事をして給料をもらえればいいんだと言う運転手に、「それじゃ足りない」と答えるローリー。何が足りないんだと問われると、「分からない…何が足りないのか」とローリーはつぶやきました。運転手は一文無しと言うローリーをその場で降ろしました。
アリソンはパブでお酒を浴びるほど飲みフラフラになりながら帰宅しました。しかしパーティで荒らされた部屋を見て我に返ると、ソファで横たわるベンを強く抱き締めました。ベンに誘われ庭に向かうとそこには深く葬ったはずのリッチモンドがなぜか土から身体を出して横たわっていました。アリソンは固く動かないままのリッチモンドにすがりつき激しく泣き出しました。
弱った母の姿を見たサマンサはベンに「朝食を作ろう。きっと上手くいくから大丈夫」と静かに励ましました。
ほどなくするとローリーも帰宅しました。
朝食を取っていた3人を前に「自分の会社を作ろうと思う。ここを引き払ってアパートを借りよう」と、いつもの調子で話し始めたローリー。そんな夫の話をアリソンは「もうやめて」と遮ります。
全身から力が抜けたようにテーブルに着きうなだれるローリー。サマンサが朝食を差し出すと、これまでの感情が一気に溢れ号泣するローリーでした。
以上、映画「不都合な理想の夫婦」のあらすじと結末でした。
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