帰らない日曜日の紹介:2021年イギリス映画。1924年、初夏のような暖かい3月の日曜日。イギリス中のメイドが年に一度の里帰りを許される母の日だった。しかし、ニヴン家で働く孤児院育ちのジェーンに帰る家はない。そんな彼女のもとへ、秘密の関係を続ける近隣のシェリンガム家の跡継ぎポールから「11時に正面玄関へ」という誘いの電話が来る。幼馴染のエマと結婚を控えているポールは、前祝の昼食会への遅刻を決め、邸宅の寝室でジェーンと愛し合う。やがてポールは昼食会へと向かい、ジェーンは一人、広い無人の邸宅を全裸のまま探索した。しかし、ニヴン家に戻ったジェーンを待っていたのは思わぬ知らせだった。今、小説家になったジェーンは全てを変えてしまったその一日を生涯かけて手繰り寄せることになる。カンヌ国際映画祭ほか世界中の映画祭が絶賛。絵画のようなイギリスの風景の中、秘密の恋に陶酔する、まぶしいほどに美しいラブストーリー。
監督:エヴァ・ユッソン 出演:オデッサ・ヤング(ジェーン・フェアチャイルド)、ジョシュ・オコナー(ポール・シェリンガム)、ソープ・ディリス(ドナルド)、グレンダ・ジャクソン(老年期のジェーン)、オリヴィア・コールマン(クラリー・ニヴン)、コリン・ファース(ゴドフリー・ニヴン)ほか
映画「帰らない日曜日」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「帰らない日曜日」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「帰らない日曜日」解説
この解説記事には映画「帰らない日曜日」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
帰らない日曜日のネタバレあらすじ:起
1924年3月30日。
まるで初夏のように暖かい日曜日。その日はイギリス中のメイドが里帰りを許される“母の日”でしたが、ニヴン家に仕える孤児院育ちのジェーンには帰る家がありませんでした。
晴れた空の下、大好きな読書をしようかと考えていたジェーン。そこへ1本の電話が鳴りました。相手は数年にわたり秘密の関係を続けるシェリンガム家の跡継ぎポールから。「11時に正面玄関へ」という誘いの言葉に、ジェーンは「はい、奥様」と受け答え、慣れた様子で間違い電話を装いました。
ポールは両親と共に、ニヴン夫妻とホブデイ家との昼食会へ出席する予定でした。ホブデイ家の一人娘エマはポールの幼馴染で婚約者でした。その結婚式を間近に控えて古くから親交のある三家族で前祝をする予定だったのです。
しかし、弁護士志望のポールは両親に猛勉強をすると嘘をつき、現地で合流すると昼食会の遅刻を決め込んでいました。そしてメイドが里帰りした無人の邸宅にジェーンを招待したのでした。
帰らない日曜日のネタバレあらすじ:承
エマとの結婚が決まった時、ポールはジェーンに「エマはジェームズの恋人だった」と打ち明けました。ニヴン家の息子ジェームズは、第一次世界大戦で戦死。ニヴン家のもう一人の息子も、そしてポールの2人の兄も戦死し、残されたポールとエマが結婚することになったのでした。
終戦後も三家族は定期的に食事会を開いていましたが、かつて快活だったニヴン夫人の顔から笑みは消え、亡くなった子供たちの話題は避けられるようになりました。
そんな空気の中、兄弟でひとり生き残ってしまったポールは息を詰まらせ、ジェーンにだけは「君は心の友だ」と胸の内を語るのでした。
帰らない日曜日のネタバレあらすじ:転
初めて足を踏み入れる豪華な邸宅に胸躍らせながら、春の光が差し込む寝室へと導かれたジェーン。ポールは猛勉強という遅刻の言い訳を持ち出し、「君が研究対象だ」とふざけながら、一枚一枚ジェーンの服を脱がせていきました。
その頃、三家族のランチの席にはいつになっても現れないポールへの苛立ちと戸惑いが漂い始めていました。
ようやくベッドから出たポールは遅刻しているにも関わらず、ゆっくり身支度を整え上流階級の紳士へと変身していきました。そんな彼を裸のまま見つめるジェーンに優しい笑みを浮かべポールは出かけていきました。
1人になったジェーンは、一糸まとわぬ姿で広大な屋敷の中を探索しました。ポールの兄たちの写真を眺め、図書室に入って膨大な数の本を撫でてみるジェーン。書斎でたばこをくゆらせたり、キッチンでパイを頬張りビールで流し込んだり、まるで王様のような振る舞いで満足したジェーンは服を来て自転車で帰途につきました。
しかし、誰もいないはずのニヴン家に到着すると、邸宅の前にはニヴン氏が車で待っていました。そしてジェーンに言いました。「ポールが向かう途中、事故で亡くなった」と。シェリンガム家ではそろそろメイドが戻ってきている頃。ニヴン氏はジェーンに一緒にメイドに知らせに行こうと言うのです。
ジェーンは嗚咽して泣きたいほどの衝動を押し殺し、ニヴン氏がシェリンガム家のメイドに遺書が残されていなかったか確認するのをじっと耐えながら聞いていました。
邸宅に戻ったジェーンはニヴン夫人から言われました。
「あなたは生まれてから失うものを何も持っていなかった。それは武器。大切にしなさい」と。
帰らない日曜日の結末
その後、メイドを辞めたジェーンは本屋に就職しやがて店で知り合ったドナルドとパートナーになりました。
20余年後、小説家になったジェーンは、自分の人生を永遠に変えた、この特別な一日を小説にしようと幾度も追想を重ねていました。
しかしそんな中、ドナルドにも脳腫瘍が見つかり帰らぬ人となってしまいます。
老年期に入ったジェーンはついに小説を完成させました。
あの一日を生涯かけて手繰り寄せ、様々な想いが込められた作品は、名誉ある賞を受賞しました。
自宅を訪ねてくる記者たちにコメントを求められて、ジェーンは不愛想に言いました。
「書くしかなかったのよ」と。
以上、映画「帰らない日曜日」のあらすじと結末でした。
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