デリシュ!の紹介:2020年フランス, ベルギー映画。1789年、革命直前のフランス。宮廷料理人のマンスロンはシャンフォール公爵主催の食事会で渾身の料理をふるまう。しかし、自慢の創作料理にジャガイモを使ったことが貴族たちの反感を買い解雇されてしまう。息子バンジャマンと共に実家に戻ったマンスロンは、彼のもとで料理を学びたいと訪ねてきた女性ルイーズの助けを借りながら世界で初めて一般人のために開かれたレストランを営むことに。店はたちまち評判となり、公爵にその存在を知られることとなる。
監督:エリック・ベナール 出演:グレゴリー・ガドゥボワ(マンスロン)、イザベル・カレ(ルイーズ)、バンジャマン・ラベルネ(シャンフォール公爵)、ギョーム・ドゥ・トンケデック(イアサント)、クリスチャン・ブイエ(ジャコブ)、ロレンゾ・ルフェーブル(バンジャマン)、マリー=ジュリー・ボー(サン=ジュネ伯爵夫人)ほか
映画「デリシュ!」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「デリシュ!」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「デリシュ!」解説
この解説記事には映画「デリシュ!」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
デリシュ!のネタバレあらすじ:起
1789年フランス。貴族たちは料理によって力を誇示し、庶民は食べることに必死だった時代。旅籠屋などが旅人に簡単な食事を出すことはありましたが、外食を楽しむという概念は生まれていませんでした。
シャンフォール城のキッチンでは慌ただしく料理人たちが仕度に追われていました。ここを仕切るのは誇り高い宮廷料理人のマンスロン。公爵主催の食事会のためジャガイモを使った渾身の創作料理“デリシュ”を差し出しました。
マンスロンが精魂込めた料理の数々は貴族たちを唸らせシャンフォール公爵も気を良くしていました。しかし、司祭がデリシュを講評すると空気が一変します。
「ジャガイモを我々に出すのか!」
当時のフランスでは土から取れる野菜を忌み嫌い、豚の餌にされることがほとんどでした。まして優雅な貴族の食卓になど並ぶものではありません。長年マンスロンの腕を買ってきた公爵もこの流れに従うしかなく、解雇を言い渡すことになってしまいました。マンスロンは息子バンジャマンを連れて実家へと戻ってきました。
デリシュ!のネタバレあらすじ:承
マンスロンの実家は旅人たちが馬車を停めて休憩する停車場を営んでおり、初老のジャコブが慎ましくつないでくれていました。マンスロンが戻ってきてからは、ジャコブとバンジャマンに家を任せ、彼は何もせず時間だけが過ぎる日々を送っていました。未来も希望も失い、マンスロンはもう料理はしないと決めたのでした。
そんなある日、料理を学びたいと謎の女ルイーズがマンスロンを訪ねてきました。断固として受け入れないマンスロンでしたが、彼女のまっすぐな想いに触れるうちに再び料理への情熱を取り戻し弟子になることを認めました。
ルイーズの助けとバンジャマンの協力を得て、マンスロンは庶民も貴族も関係なく誰でも気軽においしい食事が楽しめるレストランを開くことにしました。これまで公爵のためにふるっていた料理の腕を、今度は庶民のために発揮することができ、マンスロンも幸せに満ちた表情に変わっていきます。店はたちまち評判となり、公爵にその存在を知られることとなります。
デリシュ!のネタバレあらすじ:転
シャンフォール公爵の使用人イアサントがマンスロンのもとにやってきました。パリから戻る際にここへ立ち寄り、マンスロンに料理を出してほしいというのです。突然のことに驚きを隠せないマンスロンでしたが、ルイーズも乗り気でした。
店のスペースを広げ公爵をもてなす準備をしているところへ再びイアサントがやってきました。公爵が来訪する予定が早まったと言うのです。マンスロンは慌てて仕度に取り掛かりました。そんな中、アクシデントでジャコブが命を落としてしまいます。さらにマンスロンは誤ってランプを倒してしまいキッチンは火の車となってしまいます。公爵が来るのは明日。マンスロンは手を火傷し諦めるしかありませんでした。
しかし、その状況をルイーズが救います。マンスロンの手となり共同作業で寝ずに料理を作り上げました。こうして40品の料理がテーブルに並びました。ところが、公爵を乗せた馬車はレストランの前を通り過ぎやがて見えなくなりました。公爵は空腹に耐えられず手前で腹を満たしてしまったとのこと。全ての料理は無駄に終わってしまったのです。
バンジャマンはデリシュを食べようとしました。しかしルイーズがすさまじい剣幕で止めます。落ちたデリシュを突いた鳥たちは次々に死んでいきました。ルイーズはデリシュに毒を盛っていたのです。彼女の夫は公爵に騙されて自殺をしていました。ルイーズは公爵がマンスロンの味を求め再び呼び寄せることを見込んで弟子入りしたのです。「すぐに出ていけ!」マンスロンは怒鳴りました。
傲慢な公爵と、殺人犯のルイーズのダブルパンチを食らったマンスロンは、すっかりやる気をなくしてしまいました。次第に店からも客足が遠のき、経営はたちまち苦しくなっていきました。
デリシュ!の結末
ルイーズを失って彼女の存在の重要さに気付いたマンスロンはある決意をしました。シャンフォール公爵がひとり厨房でつまみ食いをする夜中に、城へ出向いたマンスロン。イアサントの制止を押し切って厨房へ向かうと、やはりそこに公爵の姿がありました。
久々に会う公爵はマンスロンの後任のシェフを次々と解任し、彼の作ったマヨネーズを懐かしんでいました。マンスロンはそんな公爵に手早くマヨネーズを作って差し出し言いました。「店の経営がうまくいっていません。公爵に講評をお願いしたい」と。
マンスロンは罪を償うために修道院へ身を寄せていたルイーズに会いに行き、店にやってくる公爵に一緒にリベンジをしようと言います。2人は同じ目的のもと、強く惹かれ合っていきました。
ついに、貴族という特権を振り回し自分に仕えるものまで冷遇してきた公爵が、愛人のサン=ジュネ伯爵夫人を伴ってマンスロンのレストランへやってきました。
まず出された料理は、公爵がマンスロンを解任したきっかけとなったデリシュ。実はサン=ジュネ伯爵夫人はジャガイモが大好物でした。口にしてうっとりする夫人にもはや文句を付けることができない公爵。
さらに店には次々と一般人の客が入ってきます。マンスロンは公爵が食事にやってくることを予めビラにして配っていたのでした。貴族と庶民が同じ場所で食事をすることが考えられなかった時代だったため公爵は目を丸くして怒りに震え、マンスロンを怒鳴りつけようとします。しかし、庶民が許しませんでした。居心地の悪くなった公爵らは逃げるようにレストランをあとにしました。
マンスロンはルイーズを強く抱きしめました。
以上、映画「デリシュ!」のあらすじと結末でした。
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