女めくら物語の紹介:1965年日本映画。マッサージ師鶴子がある冬、一人の実業家に出会い恋心を抱く。東京四ツ谷の花街を背景に、盲目故に臆病になりがちな鶴子の触れる世界が描かれる。原作は舟橋聖一の『女めくら双紙』。カラー作品。
監督:島耕二 出演者:若尾文子(鶴子)、宇津井健(木越)、山下洵一郎(謙吉)、中村鴈治郎(鶴子の師匠)、渚まゆみ(糸子)、倉田マユミ(師匠の妻)、万里昌代(菊千代)ほか
映画「女めくら物語」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「女めくら物語」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「女めくら物語」解説
この解説記事には映画「女めくら物語」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
女めくら物語のネタバレあらすじ:起
鶴子は16歳で人よりおそい初潮を迎えた。だが、それから間もなく病気で視力を失った。両親は既に亡く、頼る人のない鶴子は、一時は絶望したが、思い直して按摩の修行に励んで、師匠も高く評価する腕前になり、花街からのマッサージ師の需要が多い地域で働いていた。しかし、男たちの色欲にとまどうことが多かった。
雪がうっすらと積もったある夜、鶴子は石段につまずくが、一人の男が鶴子を抱きとめる。その男、木越は行き先が鶴子と同じだった。その店の女将は鶴子の客の酒癖の悪さを心配するが、案の定鶴子は乱暴な客から逃げるはめに。逃げ込んだのが偶然木越の座敷。鶴子をかくまった木越は、幼なじみの芸者・菊千代が来られないということで、鶴子にいてもらう。
勘のいい鶴子は木越が化粧品関係の仕事であること、女と別れようとしていることを当てる。確かに木越は妻との離婚を考えていた。鶴子とのおしゃべりに慰められた木越は彼女との再会を約束する。鶴子は木越に、今まで感じたことのない心のときめきを覚える。
女めくら物語のネタバレあらすじ:承
鶴子と同僚たちは師匠の経営する熊田鍼灸マッサージ療院に住みこみで働いていている。その晩鶴子が帰ると目の見える新入り、糸子と出会う。糸子に肩をもませた師匠が技量不足と考えて一度は不採用としたが、うちは人手不足だからと妻が言うので採用された女である。
翌朝、鶴子たちが掃除や朝食の準備をしていても糸子は寝坊して仕事をせず顰蹙を買う。そしてその日のうちに師匠を色仕掛けで征服してしまう。美容院から帰ってその場に出くわした鶴子は身の置き所に困ってしまう。
ある晩、とうとう木越からの連絡が療院にある。でも、鶴子がずっと外出していたので代わりに糸子が療治先のお店に行かされた。鶴子はその店に公衆電話から電話をかけてみるが名乗ることもできない。だが街で、仕事を終えた糸子に出くわす。鶴子の胸の内を知らず、今日のお客はハンサムだったなどと話す糸子。木越が落としたバッジを糸子が勝手にもってきたことを知った鶴子はそのバッジを買いとり、木越に返そうと考える。
菊千代のいる置屋を訪れ、菊千代から木越に電話をかけてもらう。木越は電話を鶴子に代わらせ、今日会いに行く、後で連絡すると言った。だが、鶴子は置屋でずっと待ったが、木越からその日連絡はなかった。
一方、糸子は客が寝ているすきに5万円を奪って療院から荷物をもって逃げ、警察沙汰となる。師匠が行方不明の糸子に代わって金を払って示談にする。
女めくら物語のネタバレあらすじ:転
春、慰安旅行で訪れた海岸の道で鶴子は自動車に轢かれそうになる。運転していたのは会いたいと願っていた木越だった。木越は鶴子をドライブに誘う。鶴子はバッジを返そうとするがそれは鶴子へのプレゼントになる。
だが、木越は猛スピードを出し続ける。突然の土砂降りの中停車した自動車の中で木越は、鶴子が想像していたとおり、自殺を考えていたことを告白する。だがもう自殺はしないと言い、6時に旅館に鶴子を迎えに行くと約束する。
旅館で鶴子はそわそわと木越を待っていたが、もう7時になる。師匠の妻が盲目の夫のために読む新聞に木越化粧品会社の社長が家出をしたというニュースが。慌てて木越の宿泊するホテルに電話をかけると、東京からも木越を捜しに来た人がいるとのことだった。
きっと木越は自殺したのだろう。ある日、鶴子は木越と出会った石段で、ネコが前を通ったせいで転びそうになるが、若い男に助けられる。それは偶然にも師匠に弟子入りを希望する片目の見えない青年、謙吉だった。これは木越が引き合わせてくれたのに違いないと思った鶴子は、何かにつけて謙吉の世話をする。
ある日、二人で買い物に行った帰り突然謙吉が腹痛を訴え、近くの連れ込み宿で休む。だが腹痛は仮病だった。謙吉は鶴子を押し倒して犯す。最初は抵抗した鶴子だったが、終いには気持ちよさを感じ自分を恥じる。
女めくら物語の結末
鶴子は謙吉への愛に溺れ、二人のささやかな幸せを考えるようになる。だが、次第に謙吉が金にだらしないことがわかってくる。さらに師匠が組合の会合で、謙吉が前の師匠を殴って首になっていたことを知る。師に暴力を振るう人間など雇えないと言う師匠が謙吉を解雇しようとするのを、鶴子が思いとどまらせなければならなかった。
師匠の妻が姉の病気で家を留守にする。その間に、師匠とよりをもどした糸子が療院に入り浸る。ある日、忘れ物を取りに戻った鶴子は糸子と謙吉の話を立ち聞きし、二人が昔から男女の間柄で、健吉の弟子入りも二人で師匠から金をむしり取るためだったと知る。
謙吉の本性を知ってショックを受けて走り出た鶴子。雨が降ってきて、またも石段でつまずくが、彼女を捕まえた男は木越だった。二人は日本料理店の座敷に入る。木越は鶴子に約束した通り死ぬことはやめたが、今も金策で苦労していた。鶴子はお守りのように身に着けていたバッジを木越に返す。そして自分の30万円の貯金を使ってほしいと申し出る。
それをきいて木越は鶴子に、田舎で二人で暮らさないかと話をもちかける。鶴子は喜びをこらえ、あなたは事業をあきらめてしまう人ではないと木越を励まし、自分の貯金を役立てることを木越に承知させる。鶴子が木越の顔を触らせてもらうと木越は鶴子に口づけをする。
金を用意するために帰ると、療院では師匠の妻が、謙吉と糸子が金庫の金を全部もって逃げたと言う。鶴子は幸い無事だった自分の預金通帳を料理店にもっていくが、既に木越は去っていた。やはり自力でがんばるという鶴子への伝言を店の人に頼んでいた。
空が明るくなるころ、鶴子は歩いて帰る。きっと木越は立ち直るだろう。そして、自分はマッサージ師としてずっとやっていくと決意していた。
以上、映画「女めくら物語」のあらすじと結末でした。
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