いつかの君にもわかることの紹介:2020年イタリア, ルーマニア, イギリス映画。窓拭き清掃員として働き、男手ひとつで4歳の息子を育ててきたシングルファーザーのジョン。33歳という若さにして不治の病にかかり余命わずかの宣告を受ける。息子のために養子縁組の手続きを行い新しい親を探し始めるものの、何組もの家族候補と面会するうちに、理想の家族について考え路頭に迷ってしまう。息子にとって最良の未来とは?
監督:ウンベルト・パリゾーニ 出演:ジェームズ・ノートン(ジョン)、ダニエル・ラモント(マイケル)、アイリーン・オヒギンス(ショーナ)、ヴァレリー・オコナー(ローズマリー)ほか
映画「いつかの君にもわかること」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「いつかの君にもわかること」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「いつかの君にもわかること」解説
この解説記事には映画「いつかの君にもわかること」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
いつかの君にもわかることのネタバレあらすじ:起
窓拭き清掃員として働く33歳のジョンはシングルファーザーとして、4歳の息子マイケルと2人で質素に暮らしていました。
ロシア人の妻はマイケルが生まれて間もなく故郷へ帰ってしまい、生活は決して楽なものではありませんでした。子育て、家事、そして仕事に追われ忙しい毎日。しかし、ジョンはマイケルにできるだけの愛情をかけて育てていました。
そんなジョンでしたが彼には息子に打ち明けることができない秘密がありました。それは自分の余命が残りわずかであるということです。母親に見捨てられ、父親も死んでしまえばマイケルは家族を失ってしまいます。
しかし死を理解するにはあまりにも幼いため、ジョンは何も告げずに逝くことを選んだのでした。大切なひとり息子を守るために、ジョンは養子縁組の手続きを行い、自分の死後マイケルと暮らす新しい親を探し始めました。
いつかの君にもわかることのネタバレあらすじ:承
生活のために毎日せっせと窓掃除をしながら、窓の向こう側の幸せな家庭にため息をつくジョン。なぜ自分だけがこんな目にあわなくてはいけないのか。そんな苦しい想いを抱きながら彼はマイケルに聞きました。「どこか別の家に住んでみたい?」と。
しかしマイケルは「今のおうちがいい」と答えます。純粋無垢なその返答に、息子を自分と同じ道は決してたどらせないと誓い、普通の家庭を求めて何組もの家族候補と面会しました。
最初に面会した家族は夫婦仲も良く、すでに養女がおりマイケルと仲良く遊んでくれていました。しかし、父親は犬好きのマイケルとは反対に犬嫌いで、言葉遣いが乱暴だったためジョンは不安を覚えます。
次に面会した夫婦には様々なバックグラウンドを持つ養子を受け入れて我が子のように愛を注ぎながら暮らす家族でした。温かい家族のようにも見えましたが、子供たちの中には乱暴で無口な少年もおりジョンは戸惑います。
また別の家庭は、夫と離婚して自らの子を養子に出した独り身の女性でした。その後、子供を産めない身体になっても子育ての夢を諦められず、独身では難しいとされている里親の申請をしたとのことでした。マイケルとはすんなり仲良くなったものの、独身ということがジョンを悩ませます。
そして子供に手厚い教育を受けさせることに熱心で裕福な家庭もありました。
最初はすぐ理想の家族に出会えると思っていたジョンでしたが、さまざまな家族と面会するうちに何がマイケルにとって一番大切なのか苦悩し、次第に自信を失っていきます。
いつかの君にもわかることのネタバレあらすじ:転
ジョンの病気は徐々に進行していました。
以前と同じように身体が動いていないことにイラ立ちも見せましたが、それでも残されたマイケルとの時間を大切に過ごそうとしていました。34歳の誕生日には親子一緒にケーキを作り息子からもらった35本目のろうそくに切なさを感じながら、ジョンは精一杯の愛情をこめてマイケルを見つめます。
マイケルは少しずつ相手を思いやり感情を表に出すようになっていました。そんな息子の成長を感じながらも自分の不甲斐なさに憤り、近づく死の気配に焦りを感じ始めるジョン。
彼をささえるソーシャルワーカーのショーナは、病気を考慮して、規則を片っ端から破り自らが職を失うリスクを負ってまでも献身的にジョンを支えます。
しかしそんなショーナにまでジョンは辛く当たってしまいます。彼は答えを出せずにいました。
いつかの君にもわかることの結末
病状は悪化しついに仕事もままならなくなってしまったジョン。
ある日、車を手放すために掃除をしていると、ダッシュボードの奥に自分の元から離れた妻の手袋を見つけました。ポケットにしまい車を走らせると、徐々にある思いが沸き起こってきました。いよいよ自分に残された時間もあとわずかであることを悟った彼は、自分が近いうちにいなくなることをマイケルが理解できるように伝えようと決意したのです。
「それはかなしいこと?」
絵本を使って死について説明するジョンにマイケルは聞きました。
「姿は見えないけれどいつもマイケルの近くにいるよ」
ジョンはそう説明しました。
翌日、新しい親に我が子を託す準備を始めたジョン。
唯一残された母の写真を手袋で丁寧に包み、思い出の写真と共に箱に入れました。箱は“車の免許が取れたときに読む手紙”をはじめとした何通もの手紙の束と、窓ふきワイパーの柄やマイケルからもらった35本目のろうそくなど、思い出の品でいっぱいでした。
そしてついにマイケルの手を引き、ジョンは新しい家のドアを叩きました。
彼が最期に選択した家は、マイケルに愛情を持って接していた独り身の女性でした。
新しい家を前に、マイケルはまるで父親の姿を目に焼き付けるかのように大きな瞳でいつまでもジョンを見つめるのでした。
以上、映画「いつかの君にもわかること」のあらすじと結末でした。
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