アウシュヴィッツの生還者の紹介:2021年カナダ, ハンガリー, アメリカ映画。1949年、ナチスの収容所から生還したハリー・ハフトは、アメリカへ渡り“アウシュヴィッツの生還者”としてボクシングで活躍していた。ハリーには8年前に生き別れた初恋の相手レアを探すために有名になる目的があったのだ。ハリーはナチスの中尉が主催する賭けボクシングで、同胞のユダヤ人と闘って勝ち続けたから生き延びたという忘れがたい過去があった。裏切り者と呼ばれながらも注目を集め強豪選手との試合が行われることに。しかしレアは見つからず、レア探しに尽力してくれたミリアムと結婚する。それから14年、ハリーは子供にも恵まれるがミリアムにすら打ち明けられないさらなる秘密に心かき乱されていた。そんな中、レアが生きているという報せが届く。原作はハリー・ハフトのアウシュヴィッツでの経験やその後の人生を綴った実の息子アラン・スコット・ハフトの著書。
監督:バリー・レヴィンソン 出演:ベン・フォスター(ハリー・ハフト)、ヴィッキー・クリープス(ミリアム)、ビリー・マグヌッセン(シュナイダー)、ピーター・サースガード(エモリー・アンダーソン)、ダル・ズーゾフスキー(レア)、ジョン・レグイザモ(ペペ・ミラー)、ダニー・デヴィート(チャーリー・ゴールドマン)ほか
映画「アウシュヴィッツの生還者」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「アウシュヴィッツの生還者」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「アウシュヴィッツの生還者」解説
この解説記事には映画「アウシュヴィッツの生還者」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
アウシュヴィッツの生還者のネタバレあらすじ:起
1949年、NYコニーアイランド。ナチスの強制収容所から生還してアメリカに渡ったハリー・ハフトは「ポーランドの誇りにしてアウシュヴィッツの生還者」を売り文句に、ボクサーとして13勝という華々しい成績をあげていました。
しかし、突如現れた戦時中のフラッシュバックに苦しめられ、それからは負けが続き6連敗を更新していました。
ある日の試合後、兄のペレツと一緒にバーで飲んでいると、エモリー・アンダーソンと名乗る記者から「君の人生に興味がある」と取材を申し込まれました。ペレツから「誰に頼まれても決して話してはいけない」と強く言われていたハリーは一旦断りましたが名刺をそっと胸ポケットへと入れました。
アウシュヴィッツの生還者のネタバレあらすじ:承
ハリーがアメリカに渡った真の目的は、8年前に収容所に連行されて、生き別れになってしまった恋人のレアを探すことでした。移民サービスに通いつめるも毎回何の情報もないと帰されてしまいます。荒れるハリーを従業員のミリアムが親身に励ましました。
レアに自分の無事を知らせる手段として、ハリーは次の世界チャンピオンと言われているマルシアノと闘えば、大きく取り上げられると思いつきました。
さらにハリーは自分より格上のマルシアノが試合の申し出を受け入れるように、彼の気を引く作戦に出ます。アンダーソンの取材を引き受けることにしました。
自分が生き延びたのは、ナチスの親衛隊中尉シュナイダーが、将校たちの暇つぶしに主催した賭けボクシングに勝ち続けたからだとアンダーソンに語るハリー。
対戦相手は同報のユダヤ人で、負けた者はその場で射殺されたとのこと。それはアンダーソンにも衝撃の事実でした。
“生還の代償、背信のボクシング”
そう見出しを付けられたアンダーソンの記事が掲載されると、ハリーはユダヤ人から「裏切り者」と非難されるものの狙い通り注目を浴びます。
マルシアノとの対戦が決定しました。
アウシュヴィッツの生還者のネタバレあらすじ:転
トレーナーのペペの指導のもと激しい練習を開始するハリー。さらにマルシアノ陣営のコーチのチャーリー・ゴールドマンが同じポーランド人であるよしみで極秘に2日間限定の特訓をしてくれることになりました。
ハリーはレアを探すミリアムと連絡を取り合い、自分と同じく戦争で婚約者を亡くした彼女に少しずつ心を開いていきました。
遂にマルシアノとの対戦が始まりました。
はじめは順調に攻めていたハリーでしたが、フラッシュバックに襲われ大敗を喫してしまいます。試合後、ペレツにリング上でレアの死を感じたと告げるハリー。生存を信じていた彼女を探すためだけに闘ってきたハリーは、その場で引退を決めました。
のちにミリアムに結婚を申し込み新しい人生を歩み出したハリーは、1963年にブルックリンで生活用品店を営み2人の子供に恵まれました。
幸せな家庭を築いたかのように見えたハリーでしたが、ある日そ、1人の来客がやってきました。それはあ10年前にハリーの記事を書いたアンダーソンでした。
「どうするかお前が決めろ」
アンダーソンは連絡先が書かれたメモをハリーへ渡しました。記されていたのはレアの現在の住所でした。
それからと言うもの夜中にうなされるようになり、長男のアランに辛く当たるようになるハリー。見かねたミリアムは「アランに自分の過去を話してあげて」と言いましたが、子供に背負わせたくないハリーはこれを拒絶しました。
アウシュヴィッツの生還者の結末
しかしハリーは、レアに会いに行くことしました。
突然、家族で旅行をしようと言い出すハリーに、ミリアムは何かおかしいと勘付きます。
「彼女のことね」とだけ言うと、ハリーを問い詰めようとはせずただ待っていると伝えました。
ハリーはアランに自分のことを話す決意をし、アランと共に車でレアの元へ向かいました。
長い時を経てレアと再会することができたハリーとレア。彼女もまた幸せな結婚をし、自分の家庭を築いていました。しかし治ることない病に侵されているとのこと。
そんな中でレアは「ハリーの試合の記事を読んだのは結婚した翌日だった」と告げ、さらに収容所での辛い日々もハリーとの思い出で生き延びることができたと感謝の意を伝えました。
ここまで生きることができた幸せを共に噛み締めた2人は、これが最後であることを分かっていました。
帰りの車の中でアランから女性について尋ねられたハリーは、ゆっくり口を開きました。
「父さんは収容所にいたんだ…」
ミリアムが待つビーチへ戻ったハリーは、他愛もない冗談を言ってミリアムを笑わせました。ミリアムもレアについて何も尋ねませんでした。昔の夫が戻ってきてくれればそれで良かったのです。
2人の結婚生活はハリーが亡くなる2007年まで続きました。ミリアムは2019年に他界。
アランは父から聞いた話をもとに2006年、父についての書籍を発表しました。
以上、映画「アウシュヴィッツの生還者」のあらすじと結末でした。
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