ウォータームーンの紹介:1989年日本映画。日本を代表するシンガーソングライター、長渕剛の『オルゴール』(1989年)に続く主演映画第2弾です。山寺で修行をしている修行僧が街で様々な人間と交流していくうちにその正体が明らかになっていくストーリーです。当初は『ヨコハマBJブルース』(1981年)や『野獣刑事』(1982年)などを手がけた工藤栄一がメガホンを執っていましたが長渕との確執により降板、代わって長渕自ら監督を務めて完成させました。
監督:工藤栄一、長渕剛 原案・音楽監督:長渕剛 出演者:長渕剛(竜雲)、松坂慶子(古清水鹿野子)、小林稔侍(奥野康雄)、清水紘治(津久井忠)、誠直也(広川健三)、菅田俊(栗林政治)、萩原聖人(知念)、金沢碧(二宮亮子)、成田三樹夫(石原一郎)、垂水悟郎(木村宗禅)、岩崎加根子(古清水淑江)ほか
映画「ウォータームーン」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ウォータームーン」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ウォータームーン」解説
この解説記事には映画「ウォータームーン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ウォータームーンのネタバレあらすじ:起
1989年。とある山奥にある報恩寺という寺に竜雲という修行僧がいました。竜雲は無精髭を生やし、堂々と煙草を吸っては生意気な態度を取る僧であり、住職の木村宗禅から説教されても反省する様子はありませんでした。
ある日、竜雲は他の修行僧たちと共に座禅を組んでいたところ突然苦しみ出し、何やら過去の光景を思い出しました。それは1956年、長野県の破王岳に謎の隕石が落下した時のことでした。政府と在日米軍は合同で隕石の調査を始め、マスコミも大きく取り上げていましたが、隕石の中から人らしきものが見えていました・・・。
雲竜が過去の光景を見た翌日、報恩寺に内閣調査室チーフの奥野康雄が訪れました。奥野は宗禅に対し、何やら兆候が出ているのではないかと意味深な確認をしていました。
その夜、修行僧たちは宗禅に隠れてアダルトビデオを観賞し、若い修行僧の知念をいじめていました。そこに知念と仲の良い竜雲が現れ、修行僧たちは竜雲に絡み出しましたが、怒った竜雲は修行僧たちを叩きのめし、二度と知念に手を出すなと警告しました。
その後、宗禅から怒りを持つなと言ったのにと叱られた竜雲は「耐えることだけが仏の道なのですか。どうしても我慢ならないことに怒るのがなぜいけないのですか」と反発しましたが、宗禅は「人が当たり前に生きることは一番苦しいことだ」とこぼしつつも竜雲に寺から出るよう命じました。
ウォータームーンのネタバレあらすじ:承
報恩寺を去り、山を下りた竜雲は東京に流れ着き、行く当てもないまま街をさまよい歩いていました。一方、公安の命令を受けた修行僧たちは竜雲の行方を追っていました。竜雲はその夜は公園で野宿しようとしましたが、公園内でサバイバルゲームに興じつつ一般人を標的としていた若者たちと遭遇、数人を叩きのめしましたがサバイバルナイフで原を刺されてしまいました。
その頃、奥野とその部下の広川健三、栗林政治らは竜雲に叩きのめされた若者が複雑骨折の重傷を負ったとの知らせを受け、石原一郎博士のもとに集結しました。実は竜雲の正体は隕石の中から現れた異星人“R”であり、その存在は歴代の総理大臣や関係閣僚、自衛隊と内閣調査室の一部、報恩寺の宗禅しか知らない国家機密でした。そして竜雲の体は自ら血液を作り出す機能がなく、1年に1回、1ヶ月かけて体内の血液を入れ替えなければ生命を維持できない体でした。そのタイムリミットは長くてもあと2週間でした。
一方、ナイフで刺された竜雲は辿り着いた教会で意識を失い、1週間後にとある旅館で意識を取り戻しました。竜雲を助けたのは旅館で働く盲目の女性・古清水鹿野子でした。鹿野子の養母である女将の古清水淑江は作家の津久井忠の愛人でしたが、津久井は鹿野子の体を狙っていました。しかし、淑江は鹿野子の方が津久井を狙っているものだと思い込んで辛く当たっていました。
ウォータームーンのネタバレあらすじ:転
竜雲は助けてくれた鹿野子に感謝しましたが、金がないのでひとまず街へと繰り出しました。竜雲はそこで風俗店の呼び込みとなっていた知念と再会し、遠いところへ逃げるよう促されました。金のない竜雲は知念からパチンコを教わり、競馬の万馬券が大当たりして17万円を手に入れました。
旅館に戻った竜雲は金を鹿野子に渡して旅立とうとしましたが、突然フラッシュバックに襲われて倒れてしまいました。再び鹿野子の世話になった竜雲は、鹿野子が過去に交通事故を起こし、その後遺症で視力を失ったことを知りました。
奥野は部下たちを引き連れ、宿泊客を装って旅館に入り、竜雲を捕らえようとしました。そのことを知った鹿野子は旅館に火を放ち、竜雲は鹿野子を連れて旅館から逃げ出しました。鹿野子はかつて子供の頃に見たコスモス畑に行きたがっており、竜雲は自分が鹿野子の目になると誓い、生きている限り光は必ずやってくると彼女を励ましました。
竜雲と鹿野子は逃亡生活を続け、とある山寺に辿り着きました。そこで竜雲と鹿野子は穏やかで幸せなひと時を過ごしていましたが、ある時に鹿野子は忽然と姿を消してしまいました。鹿野子を探し回った竜雲は、鹿野子が行きたがっていたコスモス畑で彼女と再会しましたが、発作を起こして倒れてしまいました。
ウォータームーンの結末
政府の施設に収容された竜雲は、自分の角膜を鹿野子に移植してほしいと懇願しました。しかし、異星人である竜雲の角膜は鹿野子に移植することはできず、竜雲はそのまま延命措置を受けることになりましたが、施設の人間を叩きのめして逃亡しました。
竜雲は再び宗禅と対面しました。竜雲は宗禅に「初めからないものとわかっていても、そこに命を懸けることこそが尊い。水に映る月、すなわち叶わぬ夢に己の命を懸ける姿こそが人の生きる道ではないのですか」と問いかけました。宗禅は竜雲に生きるよう諭すと、竜雲は「人はどうして、ひたむきに生きることが出来ないんですか? 人はどうして真面目に生きるのがバカバカしく思えるんですか? 俺はどうして幸せだと思えないんですか。どうして東京は俺を受け入れないんですか? どうしてあの人の目が治せないんですか?」と泣き出しました。
竜雲は激しい雨に打たれながら読経していました。やがて雨が止み、竜雲は湖のほとりで倒れていました。そこに鹿野子が現れ、竜雲は鹿野子の顔に触れると、鹿野子は目が見えるようになりました。竜雲は鹿野子に抱かれながら目を閉じました。
竜雲は早朝の東京にいました。そこに奥野が現れ、竜雲に銃を向けましたが発砲しようとはしませんでした。奥野は今度は自分のこめかみに銃を突き付けましたが撃つことはできず、竜雲は口笛を吹きながらその場を立ち去り、東京の街へと駆け出していきました。映画は最後に「生きて生きて生きまくれ 俺の命は生きる為に流れている 竜雲 合掌」というメッセージと共に幕を閉じます。
以上、映画「ウォータームーン」のあらすじと結末でした。
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