夢の中への紹介:2005年日本映画。さえない俳優の鈴木は、劇団仲間のタエコと同棲しながら、劇団員のランコとも付き合っています。性病になったと気付いた鈴木は同じ夢を見るようになります。夢の中には現実には言えない出来ない事をする、心の中の自分がいました。毎日同じ夢を見る鈴木は、やがて夢と現実の区別がつかなくなってしまいます。園子温監督による井上陽水の「夢の中へ」をモチーフにした作品で、やや難解の切ない内容です。
監督:園子温 出演者:田中哲司(鈴木ムツゴロウ)、夏生ゆうな(タエコ)、村上淳(ケイジ)、市川実和子(ランコ)、オダギリジョー(ユウジ)、温水洋一(演出家)、麿赤兒(鈴木の父)ほか
映画「夢の中へ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「夢の中へ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「夢の中へ」解説
この解説記事には映画「夢の中へ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
夢の中へのネタバレあらすじ:起
トレンディドラマにも出ている俳優の鈴木は、劇団仲間のタエコと同棲中です。二人は倦怠期を迎えギクシャクしていました。鈴木は、別に付き合っているランコの劇団の芝居を見に行きます。ランコはメンバーに「ドラマに出ている鈴木ムツゴロウよ」と紹介しますが、売れていない鈴木を知る者はあまりいませんでした。
その夜、ランコから劇団の打ち上げに呼ばれます。トイレに行った鈴木は、おしっこをする時、激痛が走り性病を疑います。すると劇団のメンバー・町田も痛そうな顔をしています。
酔いつぶれてランコに部屋に入った鈴木が、ランコに話しはじめます。「性病かもしれない、お前、町田ともやったのか?」と言う鈴木に、ランコが怒りだし「あんたもタエコとやってるでしょう」と言います。押し問答の末、ランコが「町田とムサシとやったわよ」と言うと、鈴木も「高田とやったよ」と言ってしまい、ランコは「出て行け」と水をぶっかけて鈴木を追い出しました。
夢の中へのネタバレあらすじ:承
帰り道、千鳥足の鈴木は高田に電話をし「性病をうつしたか?」と聞きますが、怒った高田は電話を切ってしまいます。部屋の戻ると、タエコが「出て行く」と言って荷物をまとめています。「待てよ」と鈴木が止めると、待っていたかのようにタエコは出て行くのをやめます。
一眠りした鈴木は、作業着を着てワゴン車で血まみれで苦しむ自分と、回りにタエコ達劇団員がいる夢を見ます。更に夢が変わり、演出家と父親が刑事になり取り調べを自分にしています。鈴木の名前は、佐藤や中村とありふれた名前で呼ばれています。目が覚め、ビールを飲んで眠り込んだ鈴木は、また同じ夢を見て目覚めます。
タエコがいませんでした。タエコは友人の部屋にいましたが、鈴木の電話には一切出ませんでした。その夜も鈴木は同じ夢を見ます。翌朝、鈴木は同窓会に出る為、実家に向います。
列車に乗ると、同郷のユウジが彼女と乗って来ます。ユウジは「全て金星人のせいだ」と訳の分からない事を言い、彼女は鈴木に迫ります。開き直った鈴木は、昔の自分のセリフを大声で喋りはじめました。
夢の中へのネタバレあらすじ:転
列車で眠り込んだ鈴木は、また同じ夢を見ます。夢の中での鈴木以外は、自分との関係を全く知りません。鈴木はタエコに「オレと付き合っているんだよ」などと順番に説明していきます。外に出た鈴木に、男が話しかけてきてスナックに行くと、「見せたいものがある」と言って裏の配管を見せます。水漏れする配管を「これがお前だ」と説明し、性病に付いても話します。そして取り調べの夢に代わり目覚めます。
実家に帰ると父親が「お前は性病か?」と聞きます。昼間、友人と一緒にユウジに会いに行きます。ユウジは列車の中のユウジとは違い正常でした。夕食後、妹が「散歩しよう」と言い出します。
散歩中、妹が「私も同窓会に行く」と言います。「お前はダメだよ」と言う鈴木に「夢だからいいでしょう、ランコさんとはどうなった?」と言う妹。鈴木は「別れたよ」と言いながら、現実と夢の区別がつかなくなっていました。
夢の中で、メンバーに起こされた鈴木がワゴン車に乗りこむと、皆で今から何かしようとしていることに気づきます。その時、鈴木は銃で撃たれてしまいます。
夢の中への結末
同窓会が始まります。同級生たちは鈴木の妹を口説きはじめます。鈴木が必死で止めさせようとします。酔いが回ってきた時、タエコから電話がかかり「別れよう」と言われます。鈴木は勢いで「いいよ」と言ってしまいます。
何かすっきりした鈴木は、眠り込んでしまいます。取り調べを受ける鈴木は、頭の上がらない演出家に「セリフもちゃんと覚えて頑張りますから、舞台は延期しないでください」と言います。どうしても敬語で話してしまう父親には「お父さん、頑張って松竹の舞台に立つから」と初めて息子らしい言葉を発したのです。そして、撃たれて苦しむ鈴木を介抱するタエコには「長く引っ張ってゴメン」と謝り、「結婚しよう」と言います。
目覚めた鈴木は、現実に言えない事を、夢の中で話した事で気分がよくなり、外に出ます。そして『夢の中へ』を歌いながら走って行きました。
以上、映画「夢の中へ」のあらすじと結末でした。
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