レイジング・ブルの紹介:1980年アメリカ映画。マーティン・スコセッシ監督の代表作のひとつ。自らの暴力を抑えることの出来ないボクサーの半生を徹底したリアリズムで描く。メーキャップに頼らず、体重を増やして役柄になりきったロバート・デ・ニーロがアカデミー賞を獲得。
監督:マーティン・スコセッシ 出演:ロバート・デ・ニーロ(ジェイク・ラモッタ)、キャシー・モリアーティ(ビッキー・ラモッタ)、ジョー・ペシ(ジョーイ・ラモッタ)、ほか
映画「レイジング・ブル」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「レイジング・ブル」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「レイジング・ブル」解説
この解説記事には映画「レイジング・ブル」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
レイジング・ブルのネタバレあらすじ:1
1964年、ジェイク・ラモッタはクラブのコメディアンになっていますが、かつては世界ミドル級王者でした。
1941年、無敗を誇ってきたラモッタはジミー・リーブスに負け、マネージャーである弟のジョーイや妻に当たり散らします。しかし不快な気分も、市営のプールでまだ15歳の少女ビッキーと出会うことで癒やされます。2人はジェイクに妻子がいるのもお構いなしにつきあい始め、それがまたトラブルの種に。
レイジング・ブルのネタバレあらすじ:2
1943年、ジェイクは伝説的なボクサー、シュガー・レイ・ロビンソンを破りますが、3週間後のリターン・マッチで敗退。不正な判定のせいでした。ロビンソンは陸軍に入隊を控えていたので、そのことが判定に影響したのだとジェイクは考えます。
1947年になるころには彼は前妻と離婚。ビッキーと結婚します。結婚はしたものの、ジェイクは嫉妬がひどく、他の男に色目を使ったといっては妻に暴力を振るいます。次の対戦相手であるトニー・ジャニロのことを彼女が褒めたため、ジェイクは必要以上にパンチを浴びせ、彼を叩き伏せます。余りの嫉妬の激しさに、ビッキーはジョーイに離婚のことを相談したりします。チャンピオン戦に出るには、ギャングのボスの言うことも聞かなければなりません。そのため、ジェイクはあえて八百長もしました。それがあからさまだったため、出場停止の憂き目にも合いましたが、やがてようやくチャンピオンへの挑戦権を得ます。相手はマルセル・セルダン。この試合でTKOを決め、ジェイクはミドル級のチャンピオンとなりました。
レイジング・ブルの結末
1年後の1950年、新しい試合の相談中、ジェイクはジョーイに、「妻と寝ているのか」と訊ねます。また悪い癖が出たとジョーイは相手にしませんが、執拗な問いかけについに堪忍袋の緒が切れ、部屋を出てゆきます。ジェイクはジョーイの家にゆき、弟を散々叩きのめします。
以後、ジェイクのキャリアは下り坂となり、タイトル戦にも敗退。ボクシングを引退します。マイアミに移住したジェイクはナイトクラブを経営しますが、ビッキーは離婚を切り出し、家を出ます。また売春を斡旋したとして実刑を受け、刑務所に。1958年にはニューヨークに戻り、弟に許しを請いますが相手にされません。そして1964年現在のジェイクはでっぷり太り、コメディアンで生計を立てるしかありませんでした。
「レイジング・ブル」感想・レビュー
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世界ミドル級チャンピオン、ジェイク・ラモッタの自伝を基に映画化したのが「レイジング・ブル」だ。
打たれたら打ち返す、激しいボクシング・スタイルで、チャンピオンとなりながら、私生活は、酒に溺れ、妻への嫉妬やマフィアとの腐れ縁など、凄まじいばかりだ。
落ち目となった彼は、場末の酒場でジョークを飛ばすコメディアンになっていた。
マーティン・スコセッシ監督は、モノクロの映像で、1940年~1950年代のムードをリアルに再現していると思う。
主演のロバート・デ・ニーロは、この役のために25キロも体重を増やしたというが、精悍なボクサーとぶざまな太った体が、同一人物とは驚くばかりだ。
沈まない男として、困難を乗り越えて、不器用ながら生き抜いていく姿が印象的です。
人生後半、転落人生とは思えず、やっと自分がボスになってやりたいことができるようになったのではないかと思います。それまで八百長試合をしたり、無理な減量をしたり、不本意なことも沢山あって精神的にもおかしくなってしまうこともあるのではと思いました。
また、ボクシングも俳優もある意味エンターテイメントで、冒頭、やはり、エンターテイメントだ、とデニーロがいうところ、本当にデニーロが言っているようにも聞こえました。デニーロの凄まじい役作りも、やはりエンターテイメントのためやりがいがあったことと思います。そしてチャンピオン戦の入場シーン、モノクロ、美しい音楽、人生における大切な輝ける時間は本当に短く貴重なものなのだと、挑戦をつづけることが素晴らしいことなのだと強く思うシーンでした。
何度も観たくなる映画です。