禁断のケミストリーの紹介:2014年アメリカ・イギリス映画。義父の薬局を継いで薬剤師として働いているダグが、不倫相手の女性エリザベスと共謀してエリザベスの夫を殺害しようとしますが・・。真面目で冴えないダグがエリザベスと出会ったことから殻を破っていくコメディ・ドラマ。
監督:ジェフ・ムーア 出演者:サム・ロックウェル(ダグ・バーニー)、ミシェル・モナハン(カラ)、オリヴィア・ワイルド(エリザベス)、レイ・リオッタ(ジャック)ほか
映画「禁断のケミストリー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「禁断のケミストリー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「禁断のケミストリー」解説
この解説記事には映画「禁断のケミストリー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
禁断のケミストリーのネタバレあらすじ:冴えない毎日
ダグ・バーニーは妻と息子と3人で暮らしている薬剤師です。人柄が良く真面目に仕事に取り組む性格のダグは一見平凡で幸せな人生に見えますが、サイクリングオタクで自己主張が強い妻カラ、自室の窓ガラスを真っ黒に塗ったりとダークな思春期真っ只中の息子イーサンとの暮らしの中で、どこか常に蚊帳の外な感じのパッとしない日々を過ごしています。ダグは義父ビショップが営む「ビショップス薬局」で働いていましたが、ビショップが引退してダグが店を継ぐことになります。自分の城である「バーニーズ薬局」を持てる日を夢見て、義父の機嫌を取りながら心待ちにしていたダグ。しかし、待ちに待ったその日に、ビショップが「バーニーズ薬局」なんてとんでもないと「ビショップス薬局」という新しい看板を取り付けてしまい、落胆します。それでも薬剤師という仕事が好きなダグは、処方箋に合わせた薬を毎日コツコツと出し続けるのでした。ある日、従業員のノアに処方薬の配達を頼みますが、すっぽかされたため、ダグが自分で届けに行くことになります。ロバーツ家に薬中毒かと思うほどの大量の処方薬を届けに行くと、豪邸からロバーツ夫人のエリザベスが下着の上に軽くガウンを羽織っただけの姿で出てきます。美しいエリザベスに心が釘付けになりながらも、平静を装って薬を渡すダグ。酔っているエリザベスは手持ちのお金が20ドルしかないと言い、ダグが後日に残りの代金を店で払ってくれればいいと言うと、「あなたって本当にいい人ね、とても誠実で優しいわ」とキスをされて慌てて帰るダグ。ダグは週末はカラと一緒にサイクリングに行くのが習慣になっています。イーサンがまだ幼い頃にカラの産後太り解消のために家族で始めたものの、次第にサイクリングにハマったカラはプロに転身、「炎の車輪」というサイクリングのエクササイズ教室を開き、町のサイクリング大会では連続優勝するほどに上達します。おかげでダグはいつもカラの集団から置いてけぼりにされてしまい、せっかくのサイクリングも辛い時間になっています。今日もサイクリングでビリになったダグ。汗だくで店に着きますが、すでにカラ達は食事を終えていて帰ってしまいます。店でひとりでボンヤリと座っていると、偶然同じ店内にいたエリザベスに声をかけられます。同じテーブルでワインを飲みながら、カラが妊娠したために医大を諦め義父の薬局を手伝っていたこと、妻に付き合ってサイクリングをしていることを話します。「聞いていい?あなたは奥さんの言いなりなの?」と聞かれ、黙り込んでしまうダグ。すると、エリザベスの携帯に夫のジャックから電話がかかってきます。「もう2時間もここにいるのよ。もういいわ、来ないで」と怒鳴りながら電話を切り、気持ちを鎮めるように薬を飲むエリザベス。ダグが「薬を飲めば問題を解決できるとは限らない」と忠告すると、「だったら解決法を教えて」と言われます。エリザベスに車で送ってもらうダグ。「楽しかったわ。あなたとのおしゃべり。まともな会話をしたのは数か月ぶりよ」と言うエリザベス。すっかり意気投合した二人は、その日のうちに体の関係を持ちます。ダグはエリザベスに強烈に惹かれていくのでした。
禁断のケミストリーのネタバレあらすじ:堕ちていく二人
ダグとカラはイーサンの学校から呼び出され、イーサンが更衣室のロッカーを大便で汚していたと言われて呆気に取られます。その上、ここ数か月の間に学校の周りで大便で汚される被害が相次いでいると言われますが、カラは「息子が学校に便をまき散らしたと?」「大便から指紋を検出したのかしら?」と教師の言葉を信じようとせず、話し合いの途中で帰ってしまいます。ダグとカラはビショップと食事をしますが、ビショップが「イーサンは強い男の元にいればきっと変わるはずだ」と週の数日間は預かると言い出します。ダグは「何が言いたい?」と反論しようとしますが、カラに「家族の団欒を壊さないで」と止められてしまいます。ダグは家族の問題についても自分の意見を無視されて振り回されることに疲れ切ってしまうのでした。次の日、店にエリザベスが来ます。閉店後の店で話していると、エリザベスが「薬でハイになったことは?」「薬の誘惑に耐えながら薬局で働くのは大変でしょうね」と聞いてきます。「薬に手を出したことはないよ」と答えるダグ。「まともだから?」と言うエリザベスに「そうは思ってないし、君もおかしくない。君は美人で賢くて世間を知ってる」と言うと、「大学は1年半で落第してるし、パーティーの同伴でしか世間を知らない。手に入れたのは金持ちの夫のみよ」と言うエリザベス。ダグは、それでも君を美しくて魅力的だと思ってると言い、二人は愛し合います。二人は本気で付き合うようになり、エリザベスはダグにオシャレや癒し、そして快楽のための薬のことを教えるのでした。すっかり薬の効果に魅せられたダグは薬剤師の自分でも作れるのではと思い立ち、店でこっそり麻薬入りの鎮痛剤を作るようになります。薬のせいでエリザベスとの体の関係は深まり、仕事もはかどるようになります。薬に向精神薬も混ぜ、雪の幻覚を見ながら自転車に乗ってエリザベスの元へ通うダグ。灰色だったダグの人生が限界を超えて鮮やかな色を持ち始め、生活が一変します。「ビショップ」よりも強い「キング」になり、二人はどんどん薬の快楽に溺れていくのでした。ある日、「妻のことで・・・」と浮かない顔をするダグ。エリザベスが「バレたの?」と聞くと、「僕がどれほど幸せか教えたいくらいだ」と答えるダグ。カラにパソコンの視聴制限のロックをかけられてポルノも見れないと言うダグの言葉に「そんなのバカげてる」と驚き、「二人で逃げるの」「ここから逃げ出して世界を見るのよ」と言うエリザべス。エリザベスの言葉を最高に感じながらも、離婚となればカラにお金を搾り取られるため無理だと感じるダグ。エリザベスは「私はトロフィーワイフにすぎないの。老人ホームで夫に付き添い、年を取るのはゴメンだわ」と言います。「夫が死んだら話は別だろ、そうなったら僕たちは旅に出て戻らない」と言うダグの言葉に笑い出すエリザベス。ダグは「本当に殺したければ不整脈を起こせばいい。そうすれば確実に殺せる」と言うと、エリザベスは真顔になります。ダグが冗談だと言うと、「夫はもう何年も心臓病を抱えてる。あなたも知ってるとおり、薬の力で何とか動いてる状態よ。でも20年は生きるはず。あと20年もパーティーに出たりゴルフをするのはウンザリよ」と言い出します。「僕もだ」と答えるダグ。「たまに想像すると楽しいの。あなたと私で大金を手にできたらって。刺激的な人生になるはず」「いいから黙って私に任せてちょうだい」と言うエリザベス。
禁断のケミストリーのネタバレあらすじ:殺害計画
次の日、ダグが心ここにあらずな状態で仕事をしていると、麻薬取締局のカープ捜査官がやって来ます。処方箋と薬の在庫を照らし合わせて薬の不自然な使用がないかチェックさせてほしいと言われ、内心慌てるダグ。「今は都合が悪くて・・」と言ってみますが、「見たところ、君の店に問題があるとは思えない。さっさと確認してすぐに失礼するよ」とにこやかに言われて断れなくなります。カープ捜査官が薬棚をチェックしている間、こっそりとエリザベスに「捜査官が薬品棚の検査に来てる。捕まったら大変だ」と電話をかけるダグ。「ちょっと落ち着いてよ。おどおどしていると疑われるわよ。薬局の検査に送り込まれる捜査官なんてしょぼい奴に決まってる」と言われます。ダグがカープ捜査官の様子を窺ってみると、書類を床に落としたりと確かにちょっと抜けている雰囲気があるのを見て、平静を取り戻します。そんなダグとカープ捜査官のやり取りが気になっている様子のノア。帰宅すると、イーサンの学校からカウンセラーを紹介するという内容の手紙が届いていて、ため息をつくダグ。話をするためにイーサンの部屋に行くと、ゴルフのセットが置いてあるのを見つけます。「おじいちゃんが押しつけてきた。僕には他の趣味があるって言ったのに」と言うイーサンに「ゴルフなんて実にくだらない。金持ちの悪趣味だ。ファック!あのクソ野郎!」と怒り始めるダグ。そんな父親の姿を見て驚き、笑い出すイーサン。「ロート先生は薬物治療が必要だって。僕は病気なの?」と言うイーサンに「まさか。まだ12歳だ。何もかもうまくいかなくて当たり前の年齢だよ」「医者や薬の力を借りなくたってちゃんと立ち直れる」と答えるダグ。イーサンの趣味は忍者の武器を集めることだと知り、二人で町に出て忍者ごっこをします。店に行き、「ビショップス薬局」の看板を手裏剣で壊し、店のショウウィンドウにゴミ箱を投げて破壊するダグ。帰宅してから「楽しかった」と言うイーサンに「パパも聞きたくないけど、なぜ学校であんなまねを?」と聞いてみると、「忍者の掟では侮辱を受けた場合は、相手の家にうんこを塗りつけるんだ」と言われて「なるほど・・かなり痛い目を見せてやったようだな。そこまでにしておけよ」と言うダグ。イーサンに「来週、学校でお父さんを呼ぶ会があるんだ。パパが来てくれたら嬉しいな」と言われ、「任せとけ」と答えるダグ。次の日、ビショップは店の看板とショウウィンドウが破壊されているのを見て激怒します。その横で、スナック菓子をバリバリ食べながら、「巡査が忍者がやったという手がかりを見つけたらしい。後は警察に任せるのが一番」と呑気に店に入っていくダグ。ダグは次はカラの王座を奪うために、足の疲れを消す最強ドラッグを作って飲み、サイクリング大会でカラに勝って優勝します。次の日、ドラッグの二日酔いでフラフラになりながらもカラに勝った余韻に浸っていると、カープ捜査官がやって来て、薬の在庫と処方箋のデータに矛盾があると言われます。おまけにダグが薬を作っていた道具も見られ「ここは調剤薬局じゃないはずだが?」と聞かれてしまいますが、薬を飲み込めない年配の客に塗り薬にして渡しているとごまかすダグ。過去1年分の薬の台帳を確認したいと言われ、本当は店にちゃんと置いてあるものの「台帳は家にあるから取ってくる」と言うと、後日でいいと言われてホッとします。しかし、捜査官の追及が迫っているのを感じて切羽詰まったダグは、エリザベスに会いに行きジャックを殺してやり直そうと言うのでした。エリザベスも同意し、実行することになります。エリザベスは金曜の朝はいつも別荘に行くため、夜はジャックひとりになります。その間に薬で不整脈を起こして死なせる計画を立てます。店でジャックの心臓病と血圧の薬を致死量に処方するダグ。ノアに薬の配達を頼みますが、ノアはなぜかハイテンションでフラついています。ダグが「様子がおかしいぞ」と言うと「俺たちは仲間だろ」とヘラヘラしています。ジャックの薬もあるため、しっかりと届けるようにと念を押すダグ。仕事帰りにバーで酒を飲んで酔っぱらい、マティーニのロック、オリーヴを多めでとおかわりの注文をしていると、隣にいた男が「妻が頼むのと同じだ」と話しかけてきます。「へぇ。・・僕達は会ったことが?」と返事をすると、その男はジャック・ロバーツだと名乗ってきて、内心ギョッとしながらも「はじめまして。お屋敷に住んでるね」と言うと、「僕には大きすぎるが妻の希望でね」と答えるジャック。ダグが自分は薬局の薬剤師だと名乗ると「じゃあ妻とは顔見知りだね。妻はお宅の店で商売できるぐらい薬を買ってる」と笑うジャック。ダグは「あいにく客が多くてね」とごまかします。結婚の話になり、ジャックは「結婚ってのはキツい仕事だ」「3回も結婚してるが、いまだにうまくいかない」と結婚の悩みを語り出し、カラとの結婚生活の経験からつい共感してしまうダグ。その上、「店が荒らされたそうだな。ひどい話だ。心から同情する」とダグの酒代まで払って帰ったジャック。想像と違って紳士で人が良さそうなジャックの態度に呆然としながらも、エリザベスとの逃避行のためにカラとの別れを決意するダグ。「僕らの過ちに今夜終止符を打つ。僕がもっと強い男で君が優しい女ならよかったのに。元気でな」と手紙を書きます。
禁断のケミストリーの結末:逮捕
次の朝、目が覚めて「僕はなんてことを・・・」と我に返ったダグは、急いでジャックを助けに向かいます。しかし、屋敷の呼び鈴を鳴らしても応答がありません。窓から覗くとジャックが椅子に座って意識を失っている様子が見え、「彼を殺してしまった・・・」と呆然とするダグ。大声で助けを呼びますが周囲には誰もいません。車に乗って出発しますが、途中でハンドル操作を誤って車が動かなくなります。今日はイーサンと約束していた「お父さんを呼ぶ会」があるため、車に積んであった自転車で急いで学校へ向かうダグ。ちょうどダグが生徒たちに薬剤師の仕事を説明する番の時に到着し、息を切らせて咳き込みながら、どうにか生徒の前に立ちます。ところが、突然警官が来て、ダグを押さえつけて逮捕します。息子の前で逮捕されることに動揺しながらも「なぜ僕を逮捕する?」と聞くと、実はその警官も生徒の保護者で、ダグを使って警官の仕事の見本を示しただけでした。警官から「名演技だった」と褒められるダグ。その時、警官に無線連絡が入り、警官は教室を出て廊下で連絡を取り合いますが、そっとダグに視線を向けてきます。連絡を終えた警官がダグに「一緒に来てもらおう」と言い、今度こそ逮捕されると観念して警官と一緒に外に出るダグ。自分の薬局に連れて行かれ、カープ捜査官に「薬品の在庫が合わない原因が判明した。このような事態が起きるのも当然だ」と言われ、「本当にすまない」と泣き出すダグ。「誰も傷つける気は・・」と肩を落とすダグに「謝る必要はない。もう済んだことだ、落ち着いて」と優しくなぐさめるカープ捜査官。すると、警官達が店の奥に担架を運び込んでいます。ダグが「・・一体ここで何を?」と聞くと、「遺体を搬出する。彼はおそらくパニックを起こしたんだ」と言われます。ダグが店の奥に行ってみると、ノアが薬のやり過ぎで亡くなっていました。カープ捜査官に「彼が急ピッチで薬を盗んでたようだ」「ショックだろうが君には何の責任もない」と言われて呆然とするダグ。しかし、ジャックのことを正直に打ち明けなければと思ったところで、ジャックが頭痛薬を買いに来て驚きます。「スコッチをボトル半分も空けてしまって酔い潰れてた」「処方薬も受け取らなくては。配達人が来ないんだ」と言われ、ジャックはあの致死量の処方薬を飲んでいないことを知ります。エリザベスのことが気になり、「あとはすべて順調?バーで奥さんのことを話してただろ」と聞いてみると、「妻なら出てった。携帯の電源も切ってるんだ。今回は本気かも」と言って店を出るジャック。捜査官達も帰り、ダグがひとりで座り込んでいるとエリザベスから電話がかかってきます。ダグが「ジャックは生きてる!」と笑いながら伝えると、沈黙して泣き出すエリザベス。「今からでも遅くないわ。2人で逃げましょう」と言われますが「駆け落ちは無理だ。息子を置いていけない」と答え、家に帰ります。帰宅すると、カラはダグが書いた別れの手紙を読んでいるところでした。「確かにあなたに優しくなかったわ。イーサンや自転車のことで頭がいっぱいで。帰ってきたってことはもう大丈夫ね」と微笑むカラに「君を変えたくて手紙を書いたんじゃない。本気で出ていくつもりだった」と言うダグ。後日、イーサンのテコンドーの試合で嬉しそうに応援し、レストランでカラと微笑み合うダグ。薬局には「バーニーズ薬局」という新しい看板を付け、ダグの思い描いていた通りの店になります。エリザベスが店に来て、ジャックと離婚して海外でひとり気ままに過ごす事にしたと笑顔で別れを告げに来ます。キスをして「元気でね」と去るエリザベス。こうしてダグは家族との関係も薬剤師の仕事も順調になり、人生を楽しみながら暮らしていくのでした。
禁断のケミストリーのあらすじと結末でした。
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