男と女の紹介:1966年フランス映画。夫と死別したアンヌと妻に自殺されたジャン=ルイ。二人の大人の恋をフランシス・レイの音楽に乗せて描き出す。ピエール役のピエール・バルーも自作曲を歌う。1966年のカンヌ国際映画祭でグランプリ(最高賞)受賞。2019年に続編となる『男と女 人生最良の日々』が公開されました。
監督:クロード・ルルーシュ 出演者:アヌーク・エーメ(アンヌ)、ジャン=ルイ・トランティニャン(ジャン・ルイ)、ピエール・バルー(ピエール)ほか
映画「男と女」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「男と女」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「男と女」解説
この解説記事には映画「男と女」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
男と女のネタバレあらすじ:起
曇り空の下、アンヌはドーヴィルの寄宿制学校で学ぶ娘のフランスワーズに赤ずきんのお話をしている。一方、フランスワーズと同じ学校に学ぶ息子のアントワーヌと浜辺で自動車を運転して楽しんでいるのはジャン=ルイだった。週末を娘と過ごした後パリへ帰る電車に乗り遅れたアンヌは偶然ジャン=ルイの自動車に同乗することになる。車中でアンヌの夫、ピエールが話題になる。映画の記録係のアンヌとスタントマンのピエール。楽しかった夫との生活を思い出す。ブラジルに旅行に行ってサンバにはまってしまう夫だった。アンヌのアパートに着いた。来週はいっしょにドーヴィルに行きませんか、ご主人にも会いたいというジャン=ルイ。ピエールが撮影中の事故で死んだことが初めてわかる。
男と女のネタバレあらすじ:承
ジャン=ルイの仕事はカーレーサー。サーキットで自動車を試験する合間にアンヌに電話をかけドーヴィルにいっしょに行く約束をとりつける。全国的な雨。どしゃ降りの中ドーヴィルへ。親たちと子供たちの4人でレストランへ。それから船に乗って楽しむ。子供たちを寄宿舎へ送った後の帰路。再び雨が。アンヌはジャン=ルイの妻のことをたずねる。ジャン=ルイの妻は既に精神的に不安定であった。そしてル・マン24時間耐久レースでの事故。瀕死の重傷のジャン=ルイの元に駆けつける妻。彼の手術は済んだがショックで妻は自殺してしまったのだ。モンテカルロラリーが終わったら再びアンヌを訪ねるとジャン=ルイは言う。
男と女のネタバレあらすじ:転
ラリーに参加するジャン=ルイ。アンヌも撮影で忙しい。雪道をジャン=ルイの自動車が走る。アンヌは普段の日常の中でどうしてもジャン=ルイのことが気になってしまう。モンテカルロラリーは終了。テレビでその結果を見ているアンヌ。彼女はジャン=ルイに電報を打つことにした。住所はわからないけれどレーサーだからすぐ見つかるはず。「ブラボー。愛してます。アンヌ」。パーティー会場で電報を手にしたジャン=ルイは小躍りして喜ぶ。そのまま夜道をパリに戻って彼女に会うことにする。アパートの管理人に怪しまれないかな。何と名のろうか。アントワーヌの父です、でいいかな。彼女はどう反応するのだろう。アパートに着いたが彼女は留守。管理人は行き先を知らないという。だが、警察だと言うと教えてくれる。娘に会いにドーヴィルに行ったのだ。寄宿舎ではアンヌとフランスワーズとアントワーヌは海の方に行ったと言う。泥に汚れた自動車で三人を捜す。見つけた。クラクションを鳴らす。駆け寄る四人。その夜アンヌとジャン=ルイはドーヴィルのホテルに部屋をとる。ベッドの中で交わる二人。だがアンヌは死んだ夫のことを思い出してしまう。彼女の悲しみに気付いたジャン=ルイはそれがなぜかたずねる。「夫のせい」。「彼はもう死んでいる」。
男と女の結末
電車で帰ると言うアンヌ。夜の駅のプラットホームで見送るジャン=ルイ。「直通?」「乗り換えがあるわ」。自動車の中でジャン=ルイはどうしてしくじったのか考える。でもジャン=ルイも電車の中のジャンヌもホテルのレストランでの会話を楽しく思い返す。雪降る駅の前に自動車を停めたジャン=ルイはプラットホームでアンヌを乗せた電車が停まるのを待つ。電車が停まりアンヌが降りてくる。抱きしめあう二人。
「男と女」感想・レビュー
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クロード・ルルーシュ監督の「男と女」は、美しい恋愛映画だ。
登場人物や舞台の設定が、あまりにも劇的で、通俗的なメロドラマだという批判も一部にはありましたが、それをものともしないほど、完璧に美しい。
キャスティングも最高だった。寡黙で、男性的な魅力にあふれるジャン=ルイ・トランティニャン。
愁いをたたえた、ゴージャスなアヌーク・エーメ。この二人が、悲しい過去を持つ男女に扮し、海辺の高級保養地で出会う。
おまけに、バックに流れるのは、フランシス・レイ作曲の「ダバダ ダバダバダ ダバダバダ」というあの有名なテーマ音楽だ。これはもう恋が始まるしかない。
アンヌ(アヌーク・エーメ)は、パリで暮らす映画のスクリプター。
スタントマンの夫(ピエール・バルー)と愛し合っていたが、夫は撮影中の事故で死ぬ。終末に、幼い娘を預けているドービルにある寄宿学校を訪ねた彼女は、同じくパリから息子に会いに来たジャンルイ(ジャン=ルイ・トランティニャン)と知り合う。
彼は、カーレーサーで、妻は自殺していた——-。現在進行形のドラマに、二人の回想シーンが織り込まれ、場面ごとにモノクロ、カラー、セピア色に変わる。
特に、ムートンのコートをまとったアンヌが、パリのシャンゼリゼを歩くシーンや、浜辺で二組の親子が遊ぶシーンなど、色がない場面の美しさが印象に残る。
そして、この映画のハイライトは、モンテカルロ・ラリーで優勝したジャンルイが、アンヌに会いに行くところだ。
アンヌは、モンテカルロ・ラリーで優勝したジャンルイに電報を打つ。
「ブラボー。愛してます」。電報を受け取った男は、すぐに車で彼女の元に向かう。途中で、公衆電話から電話しようかと迷うが、やめる。驚かせたかったからだ。
遠く離れた恋人に、電報や手紙で気持ちを伝える。
携帯電話が普及した現在では、こんな愛の告白は、まだるっこいかもしれない。でも、すぐに会えない切なさが、相手への思いを募らせる。
パリへ、そして寄宿学校のあるドービルへ、物狂おしい思いに駆られ、夜を徹して車を走らせるジャンルイ——-。
素晴らしい❗