モロッコ、彼女たちの朝の紹介:2019年モロッコ,フランス,ベルギー映画。未婚の母親をテーマにし、モロッコにおける女性の生きずらさを描いた作品。マリヤム・トゥザニ女性監督初のアカデミー賞モロッコ代表となった1作で、本作は日本初のモロッコ映画劇場公開作品となりました。監督の思い出の詰まった印象的な作品です。
監督:マリヤム・トゥザニ 出演:ルブナ・アザバル(アブラ)、ニスリン・エラディ(サミア)、ドゥーエ・ベルカウダ(ワルダ)、アジズ・ハッタブ(スリマニ)、ほか
映画「モロッコ、彼女たちの朝」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「モロッコ、彼女たちの朝」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
モロッコ、彼女たちの朝の予告編 動画
映画「モロッコ、彼女たちの朝」解説
この解説記事には映画「モロッコ、彼女たちの朝」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
モロッコ、彼女たちの朝のネタバレあらすじ:起
舞台はモロッコ、カサブランカ。臨月を迎えた女性サミアが仕事を探し彷徨っています。美容師の資格を持つサミアなのですが、住まいが無いと分かった途端に断られてしまいます。イスラム社会では未婚の女性はタブーなので皆関わらないでいます。大変そうにしているサミアを見ても誰一人労わろうともしないのです。
ある日、サミアにワルダという少女が声をかけました。ワルダの母アブラは皆と同じように煩わしそうにして相手にしません。しかし、未亡人として一人で娘を育て苦労してきたアブラは、アブラ達の家の前でとりあえず夜を明かそうとしているサミアをどうにも見過ごすことができず、声をかけ家に招き入れます。
アブラはサミアの事を近所にはいとこだと話し、事情があってしばらく滞在することになったと話します。アブラはサミアに何もするなと言っていましたが、親切にしてもらったから何かしたいと早起きして、モロッコの伝統のパンケーキであるルジザを作りました。
そのルジザが絶品だったため、アブラがやっているパン屋の店頭に出してみたところ好評で、すぐに完売してしまいます。アブラはサミアが作るパンの出来を認め、しばらく店を手伝ってもらうことにしたのです。
モロッコ、彼女たちの朝のネタバレあらすじ:承
しかし、サミアとワルダが仲良くしているのをみて、これはこのまま居させては良くないと、アブラはサミアを追い出してしまいます。
ワルダが学校から帰り、サミアがいないことを知ったワルダは、アブラが追い出したことを知り激怒します。結局アブラも気にはなっていたので、サミアを探しに行きます。サミアを見つけて声を掛けます。
しかし態度をコロコロ変えるアブラに対し、怒った態度を見せるサミア。子供を産んだら養子に出して実家に帰ると、随分と追い込まれた様子のサミアをアブラは懸命に宥め、家に連れ帰り出産まで面倒を見ようと決めました。
モロッコ、彼女たちの朝のネタバレあらすじ:転
サミアが店で働くようになり、サミアに対する周りの心無い声はありましたが、アブラとサミア、ワルダ三人で楽しく過ごせるようになりました。アブラとサミアもさらに心を通わせるようになり、アブラが夫の死後ずっと抱えてきた気持ちを話しました。
漁師だった夫を事故で亡くしたアブラ、妻なのに遺体に触れることも墓に送ることもできなかったと、現イスラム社会における女性の立場の悪さを嘆きました。
お祭りの日、サミアが破水しました。いよいよお産だとアブラもそわそわしながら待ちます。やがて可愛い赤ん坊が生まれてきました。名前はどうする?と産婆がサミアに尋ねますが、サミアは名前はつけないと言い放ちます。どうせ養子に出すのだから愛情をもってはいけないのだと考えていたサミアは、生まれた赤ん坊を抱くどころか、見ようともしません。
アブラがお乳を飲ませてあげてと声をかけても、サミアはどうせ明日の朝養子に出すのよと泣きながらそれを拒否します。アブラはサミアを落ち着かそうと、しばらく休むように言いました。
モロッコ、彼女たちの朝の結末
翌日になっても態度を頑なにしていたサミアでしたが、どうしても赤ん坊が気になって仕方ありません。やがて、頭をなで頬ずりをすると、赤ん坊にキスをします。
アブラはもう一度説得しようと試みました。何度考え直すように言っても、自分といるとこの子は不幸になると繰り返すばかりです。しかし、サミアはこの子の名前はアダムだとぽつり呟きます。いい名前ねとアブラは微笑みます。
翌朝、目を覚ましたサミア。赤ん坊にお乳をあげて愛おしそうに歌い声に出さないように泣きました。そしてアブラやワルダを起こさないように荷造りをすると、赤ん坊を大事そうに抱えながら出ていきました。
以上、映画「モロッコ、彼女たちの朝」のあらすじと結末でした。
私には悲しいラストだった。
この家族の元にいたらいいのにと思った。
彼女は彼女なりに自立の道を選んだのだろうと思いたい。