大空港の紹介:1970年アメリカ映画。アーサー・ヘイリーのベストセラー小説の映画化作品で、「エアポート」シリーズの第1作です。猛吹雪に見舞われた国際空港と旅客機を舞台に、様々な人々の思惑が交差するディザスタームービーです。
監督:ジョージ・シートン 出演者:バート・ランカスター(メル・ベイカースフェルド)、ディーン・マーティン(ヴァーノン・デマレスト)、ジーン・セバーグ(タニア・リヴィングストン)、ジャクリーン・ビセット(グエン・メイフェン)、ジョージ・ケネディ(ジョー・パトローニ)ほか
映画「大空港」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「大空港」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「大空港」解説
この解説記事には映画「大空港」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
大空港のネタバレあらすじ:起
ある冬の日、シカゴ・リンカーン国際空港は30年来という猛吹雪に見舞われ、空港長のベーカースフェルド(バート・ランカスター)は、トランスグローバル航空の地上勤社員タニア(ジーン・セバーグ)らと共に対応に追われていました。そんな時、トランスグローバル航空45便のボーイング707旅客機が着陸に失敗し、メイン滑走路を塞いでしまうという事故が発生しました。トランス・ワールド航空のベテラン整備士パトローニ(ジョージ・ケネディ)は仕事を終え自宅でくつろいでいるところをベーカースフェルドに呼び出され、滑走路から事故機を撤去する作業の支援を任されます。ベーカースフェルドは日頃の激務でなかなか家庭を顧みることができず、派手好きな妻シンディ(ダナ・ウィンター)との関係はすっかり冷え切っており、折しも夫を亡くして独り身のタニアと交際するようになっていました。しかしタニアは上司から昇進を約束されており、キャリアを取るか恋愛を取るかで揺れ動いていました。
大空港のネタバレあらすじ:承
時を同じくして、この空港からローマ行きのトランスグローバル2便のボーイング707 機が飛び立とうとしていましたが、機長のデマレスト(ディーン・マーティン)と副機長のハリス(バリー・ネルソン)はメイン滑走路の閉鎖を巡ってベーカースフェルドと口論に発展していました。デマレストはベーカースフェルドの姉サラ(バーバラ・ヘイル)と結婚しているのですが、元々女にだらしない性格からベーカースフェルドとは犬猿の仲でした。デマレストは同じ機に勤務しているトランスグローバルの客室乗務員グエン(ジャクリーン・ビセット)と愛人関係を結んでいましたが、グエンはデマレストの子を身籠っており、堕ろす意志は全くありませんでした。
大空港のネタバレあらすじ:転
吹雪の隙を突いていよいよトランスグローバル2便が飛び立とうとしていたその時、機内には無賃搭乗常習犯の老女クォンセット(ヘレン・ヘイズ)がまんまと乗り込んできました。彼女の隣には、精神を病んだ失業者のゲレロ(ヴァン・ヘフリン)がアタッシュケースを抱えて座っていました。ゲレロは妻イネーズ(モーリン・ステイプルトン)のために大金を残そうと自らに多額の旅行保険を掛けており、アタッシュケースの中にはダイナマイトが積み込まれていました。空港のベテラン税関職員スタンディッシュ(ロイド・ノーラン)はゲレロの不審な行動に疑問を抱き、タニアに報告します。一方、夫が空港に向かったことを知ったイネーズも後を追って空港に辿り着きますが、既にゲレロを乗せたトランスグローバル2便は飛び立った後でした。
大空港の結末
イネーズらから事情を聞いたタニアはこの緊急事態をトランスグローバル2便に連絡します。機内は大パニックに見舞われる中、ハリスは客室には内緒で航路をリンカーン航空に向け、デマレストは無賃搭乗を見逃すという条件でクォンセットに協力を求め、彼女はグエンと共にアタッシュケースを奪い取ろうとしますが、すぐにゲレロに奪い返されてしまいます。デマレストの必死の説得もむなしく、ゲレロはトイレに逃げ込んでダイナマイトを爆発させ爆死します。グエンは重傷を負い、機体は大きく損傷して機内は酸素不足に陥りました。トランスグローバル2便は地上と緊密な連携を取り、空港側は万全の救助体制を取ります。そしてパトローニの指揮する作業員たちの活躍によりようやく事故機が滑走路から取り除かれ、その直後にトランスグローバル2便は無事着陸を果たします。このドラマに関わった全ての人々の顔は安堵の表情に満ちていました。
1970年代の初頭のアメリカ映画界は、いわゆる”アメリカン・ニューシネマ”ブームで、体制批判的なテーマの映画が横溢している中にあって、この映画「大空港」は、ハリウッドらしいスペクタクルとドラマを蘇らせた作品だ。
アーサー・ヘイリーの原作の小説「AIRPORT」は、1968年から1969年にかけて、アメリカだけでも400万部を売り尽くした大ベストセラーの映画化作品だ。
オールスター・キャストで描かれる、スペクタクルと赤裸々な人間模様。
この映画の面白さが、スリルと抜群のスペクタクルだけにとどまらないのは、そういった名優たちの演技を通して、一人一人の人物を克明に描き上げ、見事な存在感を持たせているからだ。
しかも、カメラは一人の俳優だけを追うのではなく、画面には常に二重三重の人物が描き込まれていく。
1940年代から活躍するハリウッドの巨匠、ジョージ・シートン監督の実に厚みのある名演出が、この映画の粋を味わわせてくれる。