悪太郎の紹介:1963年日本映画。『悪名』シリーズで知られた作家今東光の自伝小説を鈴木清順が映画化。3年後の同監督の名作『けんかえれじい』を思い起こさせる、豪快な学生の生活ぶりと、当時絶大な人気だった和泉雅子の可憐さが魅力。
監督:鈴木清順 出演:山内賢(紺野東吾)、和泉雅子(岡村恵美子)、高峰三枝子(紺野高子)、芦田伸介(近藤校長)、田代みどり(丘野芳江)、久里千春(芸者ぽん太)、野呂圭介(風紀部・鈴村)、佐野浅夫(岡村医師)、ほか
映画「悪太郎」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「悪太郎」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
悪太郎の予告編 動画
映画「悪太郎」解説
この解説記事には映画「悪太郎」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
悪太郎のネタバレあらすじ:起
時は大正の初め。紺野東吾は神戸の神聖学院に通う中学生です。ある女の子と付き合っていましたが、その娘の父親は学院付属の教会の牧師。当時は自由な男女交際が禁じられていた事もあって、東吾は諭旨退学する羽目になります。
退学になっても些細なことにはこだわらない東吾は平気な顔でしたが、世間体を気にする母親は心配でたまりません。2人は口論となり、東吾は家を出ていきます。
淡路島まで流れていきますが、そこでも芸者に惚れられて、盆踊りの晩に彼女と関係を持ちます。そんな品行で彼の自由奔放さは目に余るのですが、一方で文学を愛する芸術家肌のところもありました。
悪太郎のネタバレあらすじ:承
家に戻った東吾は母親の策略で神戸から豊岡へ連れていかれ、そこの中学へ通うこととなります。教室にいると上級生たちが彼を呼びに来ました。
彼らは下級生たちを制裁する風紀部で、東吾もその標的とされたのです。ところが東吾の場合はその肝の座り具合と知力で、かえって彼らを怖がらせてしまいます。そのせいもあって風紀部は解散。
ところが別の上級生たちが新しい風紀部を結成し、東吾に改めて制裁を加える計画を練ります。生意気な態度に加え、東吾が町の開業医の娘で、彼らの憧れの的である岡村恵美子とこっそり付き合い始めたことが原因でした。
悪太郎のネタバレあらすじ:転
東吾が恵美子と親しくなったのは、通り雨がきっかけです。彼女と友達の丘野芳江が、偶然彼の下宿先で雨宿りしたためでした。お互いストリンドベリの『赤い部屋』を読んだことを知った2人は文学論議に花が咲き、彼が恵美子を送っていった時にはもう気持が通じ合っていました。
キスを交わしあった2人は周囲の目を盗んで逢引を重ねるようになります。その場所となったのは2人の協力者である芳江の部屋です。彼女の家は宿屋を経営しているため、東吾が出入りしてもさほど目立ちませんでした。
会う度に気持が燃え上がっていく東吾は、叔母訪問のために恵美子が京都へ行くのにも付いていきます。そして同宿した2人はついに体の関係を結んでしまうのです。
悪太郎の結末
しかし恵美子が叔母さんの家に顔を出さなかったことから、2人の関係は父親にばれ、交際の禁止はもちろん、中学にまでその処分を要求されます。
風紀部もこれをいい機会と襲ってきますが、東吾はドスを振り回して撃退。しかし結局再び退学処分となった東吾は、思い切って東京へ出ていきます。
夜学に通いながら作家修行に励みますが、恵美子とのやり取りは芳江を通じて続けていました。いずれは結婚するつもりだったのですが、胸を病んでいた恵美子は夢空しく19歳で死んでしまいます。
尼寺でささやかな供養を上げてもらった東吾は、世間が無情であることを身をもって知るのです。
以上、映画「悪太郎」のあらすじと結末でした。
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