悪党の紹介:1965年日本映画。『鬼婆』『藪の中の黒猫』などと並ぶ新藤兼人の中世もののひとつ。原作は谷崎潤一郎の戯曲「顔世」。ひとりの女人に関する噂話がやがて一族滅亡に繋がるという物語で、無情な運命の恐ろしさを描いている。
監督:新藤兼人 出演:小沢栄太郎(師直)、岸田今日子(顔世)、乙羽信子(侍従)、木村功(塩冶判官)、殿山泰司(山城守宗村)、高橋幸治(薬師寺次郎左衛門)、宇野重吉(兼好法師)、加地健太郎(六郎)、清水紘治(八幡三郎)、大木正司(木村源三)、ほか
映画「悪党」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「悪党」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「悪党」解説
この解説記事には映画「悪党」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
悪党のネタバレあらすじ:起
十四世紀、打ち続く戦乱で京の都は灰燼に帰し、飢餓の巷となっていました。朝廷も北朝と南朝に分かれて抗争を続け、乱世はいつ果てるともしれません。
栄華を誇った貴族社会も崩壊し、代わりに各地で力をつけた下層武士階級、いわゆる悪党たちが台頭していました。
その中でも実力者とされているのが高師直です。彼は将軍足利尊氏の執事として天下の政務を握り、大名小名の仕置まで思いのままにできる地位にありました。
悪党のネタバレあらすじ:承
ある日、師直はそばに仕える侍従から、絶世の美女である顔世の話を聞かされます。彼女は先帝の外戚の娘でしたが、今は出雲出身の武士である塩冶判官高貞の北の方になっていました。
位の高い女に憧れる師直は、話を聞いてどうしてもその顔世の姿を見たくなります。その強情な性格を知っている侍従は仕方なく彼を高貞の館に連れて行きます。
風呂上がりのその美貌は師直の想像以上でした。彼は彼女に夫がいるのもお構いなしに、自分の物にしたいと思い始めます。
悪党のネタバレあらすじ:転
とは言うものの、身分の高い女人の気を引く方法など野人の師直は知りません。侍従の忠告で恋文を送ることにしますが、どう書いたらいいか途方に暮れます。
そこで名高い兼好法師を呼びつけ、手紙代わりの歌を書かせます。それを侍従に託して顔世に届けると、すぐに返事の入った箱がもらえました。
ところが内容を見ると、そこには師直が送った文がそのまま入っていました。高貞を心から愛している顔世はいくら権勢を振るう師直であろうと、相手にする気はなかったのです。
悪党の結末
さらに色々と手段を弄しても顔世は相変わらず師直を無視します。業を煮やした彼は高貞に出兵を命じ、その留守に顔世を奪おうと企むのですが、家臣たちは顔世を連れて主人の後を追い、彼女の貞操を守ろうとします。
様子を見に来ていた侍従も囚われの身となりました。激怒した師直はその行動を謀反と見なし、配下の武士たちに高貞たちを追わせます。もはやこれまでと観念した高貞と家臣たちはそのまま討死。
そして同じく命を落とした顔世は首を切り落とされ、侍従の手で師直の眼前へと運ばれます。一連の出来事で精神錯乱に陥った侍従は、首を見せながらいつまでも笑い続けます。
以上、映画「悪党」のあらすじと結末でした。
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