生きてこその紹介:1993年アメリカ映画。1972年10月にアンデス山脈で起きた飛行機墜落事故。乗員乗客45名のうち無事に生還したのはわずか16名。救助隊が生存者達を発見したのは事故発生から72日後だった。この実話をドキュメンタリータッチで描いた作品。極寒の雪山、救助隊を待ちわびながら1つまた1つと消えていく命の火。残された者達は、生き残るために決死の行動に出る。イーサン・ホーク、ヴィンセント・スパーノ、ジョシュ・ハミルトンなど、90年代の若手スターとして注目を浴びた人気俳優達が共演している。
監督:フランク・マーシャル 出演者:ジョン・マルコヴィッチ(カルロス・バエス)、イーサン・ホーク(ナンド・バラード)、ヴィンセント・スパーノ(アントニオ・バルビ)、ジョシュ・ハミルトン(ロベルト・カネッサ)、ジョン・ハイムス・ニュートン(アントニオ・“ティン・ティン”・ビシンティン)ほか
映画「生きてこそ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「生きてこそ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「生きてこそ」解説
この解説記事には映画「生きてこそ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
生きてこそのネタバレあらすじ:起
「アンデスの奇跡」と呼ばれた飛行機墜落事故の生存者の1人、カルロス・バエスが20年前の悲劇を静かに回想します。1972年、南米のカトリック系大学のラグビーチーム一行を乗せた小型飛行機が、アンデス山脈上を飛行中でした。機内は若者達の活気で溢れ、ふざけて注意される者もいます。突然、機体が雲に包まれて揺れ始め、操縦士の尽力も虚しく山壁に突進していきます。猛スピードで下降しながら機体後部が吹き飛び、幾人かの乗客が空中に放り出されます。真っ二つに割れた機体の前部は雪の中に突っ込み停止します。意識を戻したチーム・キャプテンのアントニオは悪夢のような光景を目にします。仲間のアレックスは即死し、フェデリコは脚に大怪我を負っています。医学生のカネッサは瀕死の操縦士に無線機を使えと言われますが、見ると破損しています。生き残った者達は、座席のカバーを剥がして毛布代わりにします。雪に埋もれて死んだと思われていたナンドが息を吹き返しました。ナンドの母親は墜落時に死亡しており、妹のスザンナは大怪我を負っていました。
生きてこそのネタバレあらすじ:承
翌朝、アントニオ達は機内の遺体を外へ運び出します。27人の生存者はわずかなチョコレートやクラッカー、ワインを分け合いました。意識を戻したナンドは、母親の死と妹の怪我を見て打ちひしがれます。翌日、頭上に現れた捜索隊の飛行機が翼を振って消えて行きます。それを救助の合図だと思った彼らは抱き合って喜び、食料を管理していたアントニオの了承を得ずに残りのチョコレートやワインをたいらげてしまいます。躊躇したのはハビエルとリリアナの中年夫婦だけでした。しかしいくら待っても救助隊は現れず、食料がなくなっていることに気づいたアントニオは激怒します。5日間が過ぎ、カネッサ達は脚の怪我で動けないフェデリコにハンモックを作ってやります。荷物の中からラジオを発見したアントニオは、捜索は失敗だと伝えるニュースを聞きます。無線機を動かすバッテリーが機体の尾翼部分にあるかもしれないという意見が出て、カネッサを含めた5人が尾翼部分を探して雪の中を歩きます。しかし雪山はあまりに危険すぎるため途中で断念。9日目、亡くなったスザンヌの遺体が機外へ運び出されます。アントニオはラジオのニュースで捜索打ち切りと言うのを聞き絶望します。自力で脱出するべきだと言うナンドは、チリまで歩く体力をつけるため死者の肉を食べるしかないと主張します。宗教観や道徳観で彼らの意見は分かれ、答えが出ぬまま夜が明けます。意を決したカネッサが遺体の一部を口にし、1人1人が後に続きますがリリアナは拒否します。肉を食べて体力をつけた3人が、尾翼部分の捜索に出発しました。
生きてこそのネタバレあらすじ:転
3人は焼け焦げた遺体とスーツケースを発見。遺品と食料を集めてソリで元気に戻ってきました。その夜、希望を抱いた彼らは、火を囲んで語り合います。アントニオは「オレが死んだら食ってもいい。許す」と言って皆を笑わせ、リリアナも、子供達のもとに生きて帰るためには肉を食べなければとハビエルに諭され同意します。真夜中、大きな雪崩が起こって機体は雪に埋もれます。雪の中から這いだした者達が必死で仲間を掘り出しますが、アントニオとリリアナをはじめ8人の命が消えました。機内から雪をかきだす作業は何日も続き、その間に脚を怪我していたアルベルトが亡くなります。50日が過ぎました。ナンドがカネッサを説得し、ティンティンと共に3人で尾翼部分の捜索に出発することになります。ナンドは小さな子供の赤い靴を取りだすと、何日もふさぎ込んでいるエドアルドに片方を渡して言います。「この靴が2つ揃った時に家に帰れる」。エドアルドは頷きます。ナンド達は無事に機体を見つけ、食料や衣類を見つけて大喜びします。しかし肝心のバッテリーは重すぎて運べません。仕方なしに修理の経験者ロイを呼び寄せますが、ロイは途中で修理を断念。投げやりになるロイをナンドが担ぎ、4人は仲間の待つ機体へ戻ります。脚の怪我が悪化したフェデリコが亡くなっていました。
生きてこその結末
61日目。精神不安に陥る者が増えてきました。ナンドは再びカネッサを説き伏せ、ティンティンと共にチリを目指して西へ進むことにします。湖を見つけ岩陰で眠り、どうにか山頂へ到着。しかし戻ろうと言うカネッサと進もうと言うナンドで意見が決裂。ティンティンは困り果てます。1人山頂へ登ったナンドは、山脈の向こうに雪のない山を発見します。躊躇するカネッサにナンドは、70日も生き延びたのだからできるはずだと言います。「たとえ死ぬとしても歩きながら死のう」。ナンドのその言葉にカネッサも決意します。2人はティンティンを仲間のところに帰らせて再び歩き出します。谷を越えると徐々に緑の山が見えてきます。滝が川へと繋がり、緑の大地が広がっていました。機内でひたすら命を繋いでいた仲間達は、プロペラ音を耳にします。外に出ると救助隊のヘリがこちらへ向かっています。ヘリには大きく手を振るナンドとカネッサが乗っていました。全員が抱き合い喜びます。ナンドの手には赤い靴が握られていました。エドアルドも靴を握りしめます。死者は29名となり、生き残った16人はのちにアンデス山脈に十字架の墓を建てます。「我々は究極の経験で結ばれた」と、当時を思い返したカルロスが言います。
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