アメリカン・クライムの紹介:2007年アメリカ映画。実在した当時16歳で亡くなった女性、シルヴィア・ライケンスの虐待死を「ジュノ」で一躍有名になった女優、エレン・ペイジが熱演。シルヴィア本人の生き写しかと思うぐらい容姿が似ているエレン・ペイジの熱演を見逃さないで!
監督:トミー・オヘイヴァー 出演:エレン・ペイジ(シルヴィア・ライケンス)、キャサリン・キーナー(ガートルード・ヴァ二シェフスキー)、ジェームズ・フランコ(アンディ)、フェイリー・マクファーランド(ジェ二ー・ライケンス)、アリ・グレイナー(ポーラ・バニシェフスキー)、ジェレミー・サンプタ-(コイ・ハバード)、ほか
映画「アメリカン・クライム」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「アメリカン・クライム」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「アメリカン・クライム」解説
この解説記事には映画「アメリカン・クライム」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
アメリカンクライムのネタバレあらすじ:起
36歳にして子沢山なガートルード・ヴァニシェフスキー。彼女は年の離れた彼氏のアンディーとの間に子どもを授かるのですが、アンディーは彼女にお金を求めるだけでした。そんな生活ギリギリのシングルマザーであるガートルードは、週20ドルで日曜礼拝の時に知り合ったライケンス夫妻の娘、シルヴィアとジェニーの面倒を引き受けました。アイロンがけの内職をしながら上の娘、ポーラのアルバイト代で食い繋ぐのが精いっぱいのヴァニシェフスキー家。ライケンス夫妻は移動遊園地の仕事をしていますが、彼らも経済的に厳しい状況にあったので子ども達をガートルードに預けることにしたのです。しかし、これこそが後に最悪の結末を迎える事になるのです。ガートルードは初めのうちは実子含め、シルヴィアとジェニーを家族の一員として迎えようと試みます。2人を子ども達と同じ学校に通わせたり、ヴァニシェフスキー家の子供たちともシルヴィアとジェニーは本当の姉妹のように打ち解け合えました。しかし、ライケンス夫妻からの小切手が途切れたことで、事態は一変するのです。
アメリカンクライムのネタバレあらすじ:承
シルヴィアとジェニーは唐突に理不尽にもガートルードから折檻を受けるようになってしまいます。最初は姉妹二人をベルトで叩きます。しかし、シルヴィアは脚に障害をもつ妹を懸命に庇い、妹の分まで自分をぶつようガートルードに伝えます。勿論、ガートルードはその通りにしますが、妹のジェニーもやはり打たれてしまうのでした。この映画はシルヴィアが自分の身に起きたことをナレーション形式で裁判となった現代と過去を往復しながら物語が進んでいきます。初めは気の毒に思っていた子ども達も徐々に虐待への加担がみられます。10代の子供や中には小学生の下の子ども達まで「家族」の立場を利用し、母親の言う通りにしながら行動してしまうのです。ガートルードは持病の喘息とうつ病の為に定職に就けない体質でもありました。自身の健康状態に加え、子どもを6人女で一つで育てなくてはいけない環境、子育てに協力すらしてくれない年下の恋人、引き取ることにしたシルヴィアとジェニー姉妹・・・。彼女の中で黒い渦が日々、渦巻いていたのでした。ガートルードはシルヴィアにコーラ瓶を膣の中に入れようとしたり、息子たちの力を利用して華奢で小柄なシルヴィアを押さえて地下室に連れてゆき、そこで繰り返し暴力の嵐にさらします。ポーラは母親似で意地が悪い子でした。それでも、ごく最初のうちはシルヴィア達と仲良く出来ていました。彼女は母親譲りで男運についておらず、不倫による自身の妊娠をシルヴィアに打ち明けました。相手との関係が悪化すると、シルヴィアのせいにして虐待がエスカレートしてしまうのです。シルヴィアは地下室に軟禁され、ガートルードの子供たちによる暴力の対象になってしまったのでした。そんな過酷な環境の中シルヴィアの妹、ジェニーは脚の障害故に姉を助けることが出来ません。更には、近隣住民たちもシルヴィアの身に起きたことを知っていながら「見て見ぬふり」をしていたのです。
アメリカンクライムのネタバレあらすじ:転
ジェニーはいたたまれず、反撃の行動に出ます。公衆電話で両親に電話をかけますが、ガートルードと子ども達に発覚して家に連れ戻されてしまいます。ジェニーは公衆電話をかけるためのお金のことを問い詰められ、シルヴィアが瓶拾いをして稼いだと言いますが、本当はそのお金はジェニーがバニシェフスキー家から盗んだものでした。彼女は「嘘吐き」と罵られ、煙草を押し付けられてしまいます。シルヴィアはありとあらゆる身体的及び精神的苦痛を受けました。煙草による火傷、殴打、縄で柱に縛られること、棒で殴られること・・・。ガートルードは子ども達にシルヴィアの事について何か周りに聞かれたら「施設へ行った」と言えと脅迫されていました。学校にも行かせてもらえないシルヴィアはまさに生き地獄の中にいました。
アメリカンクライムの結末
シルヴィアに恋心を寄せていた学校のクラスメートであるリッキーが虐待に加わってしまう。ガートルードにシルヴィアが彼以外の男の子全員と性的交渉を持ったと嘘をついて唆し、彼はシルヴィアの腹部に「私は売春婦、そしてそれを誇りに思う」という文字をライターで炙った針を刺して刻みいれたのです。あまりにシルヴィアの悪化する状況と家族の崩壊を目にしてきたポーラがシルヴィアを助けようとします。そのとき彼女はコイ・ハバードと言うクラスメートの男の子と協力してシルヴィアを脱出させて家に帰そうと試みます。シルヴィアは両親の元へ危機一髪で到着します。母にお腹の傷を知られ、涙ながらに娘を撫でる母・・・。漸く、シルヴィアは地獄から生還できるかと思いきや、彼女はバニシェフスキーの家にいます。ぼんやりと立つシルヴィアの眼先には倒れている自身の姿があります。そう、シルヴィアは両親の元へ帰れずに亡くなったのです。裁判の現実に話が戻ります。子ども達は「ママのしつけであり自分達はなんでこんなことになったか分からない」と言います。歪んだ価値観と正常さを失わせる「マインドコントロール」をガートルードから受けていた子ども達は善悪の区別がつかなくなっていたのです。シルヴィアの両親は自分たちが他人に預けた事を後悔して涙しますがシルヴィアは戻りません。ジェニーは助かったのですが心に深い傷を負っています。警察がついにバニシェフスキー家に侵入した時、「ここから出して!何でも話すから」とジェニーは藁を掴む思いで助けを求めました。これは本物のジェニーが起こした行動でもあります。ガートルードは拘置所に入りながらシルヴィアの幻覚を見て涙を流します。
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