象は静かに座っているの紹介:2018年中国映画。中国、炭鉱業が廃れた小さな田舎町。少年ブーは友達をかばい、不良同級生をはずみで階段から突き落としてしまう。不良少年の兄チェンに追われるように町を出ようとするブー。しかしチェンも親友を自殺に追い込んでしまったことで自責の念にかられている。そして居場所がなく教師と関係を持つことで心の拠り所を見つけるリンと、娘夫婦に邪険にされ老人ホーム行きを迫られるジン。それぞれに事情と思いを抱えながら、遠く離れた満州里を目指す。そこには一日中ただ座り続けているという奇妙な象がいるという。どうすることもできない不条理な日常に疲れた年齢のバラバラな男女が傷つきながらも希望を求め動きはじめる物語。ベルリン映画祭にて最優秀新人監督賞、国際批評家連盟賞のW受賞という栄冠に輝きながらも本作完成直後、29歳の若さでこの世を去ったフー・ボー監督。ハンガリーの鬼才タル・ベーラ監督を師と仰ぎ、登場人物たちの繊細な感情を、自然光での撮影や長回し、カメラアングルなどにこだわって表現。234分に及ぶ大作。
監督:フー・ボー 出演:ポン・ユーチャン(ウェイ・ブー)、チャン・ユー(ユー・チェン)、ワン・ユーウェン(ファン・リン)、リー・ツォンシー(ワン・ジン)ほか