オフィサー・アンド・スパイの紹介:2019年フランス, イタリア映画。1894年フランス。ユダヤ系陸軍大尉ドレフュスが、ドイツに軍事機密を流したスパイ容疑で終身刑を言い渡される。ところが軍の中で対敵情報活動を指揮するジョルジュ・ピカール大佐は、ドレフュスの無実を示す証拠を発見する。上官に対処を迫るが、軍の信用を損なうことを理由に事実は隠蔽され左遷を命じられた。ピカールは全てを失ってもドレフュスの無実を晴らすため国家権力に抗いながら、真実と正義を追い求める。19世紀末にフランスで実際に起こった冤罪事件“ドレフュス事件”をもとにしたロバート・ハリスの『アン・オフィサー・アンド・ア・スパイ』を原作としている。ベネツィア国際映画祭では銀獅子賞、本国フランスではセザール賞で3部門を受賞し大ヒットを記録した。
監督:ロマン・ポランスキー 出演:ジャン・デュジャルダン(ジョルジュ・ピカール大佐)、ルイ・ガレル(アルフレド・ドレフュス大尉)、エマニュエル・セニエ(ポーリーヌ・モニエ)、グレゴリー・ガドゥボワ(ユベール・アンリ)、メルヴィル・プポー(フェルナン・ラボリ弁護士)、マチュー・アマルリック(アルフォンス・ベルティヨン筆跡鑑定人)、ヴィンセント・グラス(ジャン=バプティスト・ビヨ将軍)ほか
映画「オフィサー・アンド・スパイ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「オフィサー・アンド・スパイ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「オフィサー・アンド・スパイ」解説
この解説記事には映画「オフィサー・アンド・スパイ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
オフィサー・アンド・スパイのネタバレあらすじ:起
1895年1月5日。
フランス、パリの広場で糾弾され、集まった民衆にさらされながら不名誉な官位剝奪式で剣を折られるドレフュス大尉。さらには除隊を宣告され、身の潔白を叫びましたが、言い渡されたのは監獄島である悪魔島での終身刑でした。
その1年前、フランス陸軍省は陸軍機密文書が記された手紙を入手しました。手紙はドイツ陸軍武官へ宛てたもので、フランス陸軍内部に情報漏洩者がいるとの疑惑が浮上。筆跡が似ていたことからユダヤ人砲兵大尉のアルフレド・ドレフュスが逮捕されたのでした。
かつてドレフュスを教えたことがあるジョルジュ・ピカール大佐は過去の記憶を思い出していました。採点結果に納得がいかず意見を求めてきたドレフュスに、ピカールは「ユダヤ人は好きではないが、それによって成績を不当に下げるようなマネはしない」と言い放ちました。
オフィサー・アンド・スパイのネタバレあらすじ:承
上司が梅毒で退任したことをきっかけに防諜局長に抜擢され対敵情報活動を指揮することになったピカール。ふとしたことがきっかけとなり、機密情報を漏洩した人物がフランス陸軍少佐フェルディナン・バルザン・エステルアジであることを突き止めました。
ピカールは真犯人がいることを上司に報告しました。しかし、将軍は「軍の決定を覆すことは信用問題に関わる。君が言わなければ誰にも分からない」と言い放ち、それ以上取り合おうとしませんでした。
軍はこの真相を隠蔽すべく、ピカールにそれ以上の調査を禁止し、チュニジアの奥地へ左遷しました。それでも諦めず調査を続けるピカールを上官は呼び出し、ドレフュスが犯人だというでっちあげられた証拠を読み上げました。
さらにはピカールの自宅から押収した愛人ポーリーヌからの手紙の束を突きつけ、弱みにつけ入るような真似までしてきました。馬鹿げた尋問にピカールは途中で退席してしまいました。
エステルアジは軍法会議にかけられましたが、無罪となりました。
オフィサー・アンド・スパイのネタバレあらすじ:転
ユダヤ人を擁護したとして激しく叩かれるピカールでしたが、彼の熱意に賛同する人も出てきました。協力者を名乗り出た友人やドレフュスの兄らを集め、ピカールは自らの逮捕が迫っていることを伝えました。特に作家エミール・ゾラは共に戦う決意をしていました。
その翌日ピカールの自宅に逮捕状を持った役人が訪れ連行されることに。刑務所に向かう途中、ピカールは街中で新聞が撒かれていることを知ります。そこにはエミール・ゾラによる『私は告発する』と題する公開状が掲載されていました。
ゾラはこの公開状で軍の不正を弾劾。ドレフュスを犯人に仕立て上げた軍の高官たちを一人残らず名指しで告発しました。この寄稿によりゾラは罪に問われましたが、世間ではドレフュスの再審を求める動きが活発になっていきました。
その後の裁判でピカールは有罪判決を受けましたが、軍の疑惑を決定的にする証拠が出て政府もドレフュスの再審請求を無視できない状態となっていました。
しかし裁判所に向かう途中、ドレフュスを弁護していたラボリ弁護士が何者かに射殺されてしまいます。ピカールはあとを追いましたが、犯人に逃げられてしまいました。
ラボリ弁護士を欠いた裁判でドレフュスの身の潔白を証明できないまま有罪判決が下りました。軍幹部は歓喜の声をあげました。情状酌量はあったとはいえピカールにとっては納得のいかない結果でした。
オフィサー・アンド・スパイの結末
1899年9月19日。
大統領の特赦によりドレフュスは悪魔島より釈放されることになりました。さらにその後、無罪が確定しました。
ピカールは一時収監されるまで追いやられていましたが、最終的には昇格し高官になりました。軍務に戻ったドレフュスは一度だけピカールと面会しました。そして無罪の罪で投獄されていた期間を考慮して、自分を昇格させるよう要求しました。
ところがピカールはこれを拒否。まだ軍の高官はユダヤ人反対派が多くを占めており、自分の力で地位をあげることができなかったからです。
この日以降、ピカールとドレフュスは二度と会うことがありませんでした。
以上、映画「オフィサー・アンド・スパイ」のあらすじと結末でした。
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