あなた買いますの紹介:1956年日本映画。プロ野球人気が上がるにつれて加熱していった選手のスカウト合戦を題材に、札束に踊らされる人間のエゴイズムを辛辣に描いた作品。主演の佐田啓二が数多くの賞を獲得。演技面での代表作となった。
監督:小林正樹 出演:佐田啓二(岸本大介)、岸恵子(谷口苗子)、大木実(栗田五郎)、伊藤雄之助(球気一平)、水戸光子(谷口涼子)
映画「あなた買います」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「あなた買います」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「あなた買います」解説
この解説記事には映画「あなた買います」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
あなた買いますのネタバレあらすじ:起
大学リーグで大活躍している昭和大学の栗田選手はマスコミの注目の的です。卒業も間近となり、そろそろその争奪戦がプロ野球のスカウトマンの間で開始されるところでした。
東洋フラワーズでスカウトを担当している岸本は、雑居ビルの中にある小さな商事会社を訪ねます。そこに勤める球気一平という中年男が、少年だった栗田の資質を見出し、野球を仕込んだのです。栗田が注目されるにつれ、球気は彼のマネージャーとなり、球団との折衝も行うようになりました。
あなた買いますのネタバレあらすじ:承
球気は中国からの復員兵。戦争中はスパイをやっていたと噂もあり、煮ても焼いても食えない人物です。栗田を獲得しようと目の色を変えている球団のスカウトを手玉に取り、自分の懐も潤す魂胆でした。スカウトたちは球気の手のひらで踊らされる形となり、彼への接待に余念がありません。それでも「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ」とばかり、球気の過剰ともいえる要求に応えていたのです。岸本もその要求に踊らされているひとりでしたが、その誠実さを見込まれたのか、球気とプライベートなつきあいもするようになります。球気を通じて栗田の恋人である笛子と知り合い、その内実を色々と聞かされます。球気は時々胆石発作を起こしますが、笛子によればそれも周りを騙す手段だということでした。
あなた買いますのネタバレあらすじ:転
大学リーグも終わり、いよいよスカウトは本格化します。各球団の代表者たちは栗田の帰省に合わせ、四国の実家へ。それまで球気に交渉を一任していた家族たちですが、球団からの賄賂に目がくらみ、勝手に彼らと交渉を始めてしまいます。彼らの利己的な行動に手を焼いた球気は、胆石症が悪化。発作も芝居ではなく、本当に命にかかわるものとなります。
あなた買いますの結末
スカウト合戦も大詰めとなりました。今や立ち上がることも出来ない球気はその病床へ栗田を呼び、岸本の目の前で東洋フラワーズに入団するよう促します。しかしここでいきなり栗田は反旗を翻し、「大阪ソックスにゆく」と言い出すのです。それを聞いた球気は落胆し、胆石発作で苦しんだ末、悶絶死します。岸本は結局は全員が利己的に振る舞っていたことを知り、スカウト稼業の虚しさを思い知らされます。そしてそんな裏側を知らない大観衆の前で栗田はプロとしてバッターボックスに立ち、スターへの一歩を踏み出します。
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